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第15回「そ」

クラシック音楽、演劇、アートなどには独特の専門用語が使われていて、知っておくと文化芸術をもっと楽しめるようになるものがたくさんあります。そうした用語の数々を、誰かに話したくなるようなトリビアを交えて解説する「Bunka Dictionary Bunka辞典」。第15回は「そ」です。

【ソテ(ソッテ)】Sauté/バレエ/フランス語

「ソテ」とはフランス語で「跳ぶ」という意味で、バレエにおけるジャンプの基本動作の用語として使われています。1番、2番、5番など各ポジションの状態で、プリエ(膝を曲げる動作)から床を押してふわっと跳び、同じポジションに静かに着地するシンプルな垂直跳躍のことを指します。5番ポジションから両足で踏み切って片足で着地するシソンヌと合わせた「シソンヌ・ソテ」、5番ポジションに閉じた足を2番もしくは4番ポジションに開くエシャッペと合わせた「エシャッペ・ソテ」など、他のステップ名と組み合わせることで跳躍の性質が変わります。

ところで、ソテと聞くとポークソテーやチキンソテーなどフライパンに油を引いて炒め焼く「ソテー」が思い浮かびませんか? 実はいずれも同じ語源で、調理中に油がパチパチと弾けるように飛び跳ねることが由来なのです。

【袖】そで/音楽・演劇・ミュージカル・歌舞伎/日本語

劇場やホールの舞台には下手側と上手側の両脇に幕が吊るされ、一般的には幕の奥が客席から見えないように隠されています。こうした幕の奥の空間は「袖」(または舞台袖)と呼ばれ、出番を控えた出演者が待機したり、次の場面で使う大道具・小道具・舞台装置などを用意する場所となっています。また、一度舞台から退場して次のシーンにも登場する役者が、楽屋まで戻らず袖で早替え(素早く衣装を着替えること)を行うこともあります。

本番の間、舞台監督ステージマネージャーなどの進行係が袖に控え、出演者の誘導や大道具・小道具の出し入れの合図を送るなど、舞台が滞りなく進行するよう管理しています。ほかにも歌舞伎では、進行係を務める狂言作者が芝居の幕開きや舞台転換を知らせるために袖で柝(き)を打ちます。

【ソナタ】Sonata/音楽/イタリア語

クラシック音楽の楽曲は、人の声を含まず楽器のみで演奏する「器楽」、人の声を楽器として用いる「声楽」、オペラなどの舞台芸術で演奏する「舞台音楽」の3つに大きく分けられます。さらに複数の楽章を演奏する器楽曲を「ソナタ」(イタリア語で「鳴り響く」の意味)と呼び、交響曲や協奏曲などの「管弦楽」、弦楽四重奏曲などの「室内楽」、ピアノソナタなどのソロ演奏と多くの形態があります。

またソナタという言葉は、形式美を重視する古典派音楽において主流だった楽曲形式「ソナタ形式」の名称にも用いられています。ソナタ形式は第1主題と第2主題を提示する「提示部」、提示された主題や動機を変化・発展させる「展開部」、提示部の主題を再現して曲を締めくくる「再現部」の3部分で構成。交響曲やピアノソナタなど3~4楽章構成の楽曲において主に第1楽章で用いられ、音楽に明確な構造を形作っています。

なお、ソナタと似た言葉としてピアノ学習の教材の定番である「ソナチネ」がありますが、これは「小さいソナタ」という意味で、ソナタよりも規模が小さく技術的にやさしい楽曲を指します。

【ソワレ】Soirée/音楽・演劇・ミュージカル/フランス語

音楽や演劇など舞台芸術全般において、昼に行う公演を「マチネ」(フランス語で「朝・午前」の意味)、夜に行う公演を「ソワレ」(フランス語で「夕方・夜」の意味)と呼び分けています。また、1日のうち昼と夜に同じ公演がある場合、両方の公演を合わせて「マチソワ」と略す造語もあります。たとえば、同じ日に昼と夜の2公演とも観劇することを「マチソワする」と言い、同じ公演を複数回観劇することで新たな発見や感動を得たいファンにとって贅沢な体験とされています。

オペラ公演やバレエ公演などでは、まったく同じ内容の公演でも、マチネとソワレでは公演全体の雰囲気や印象が少し異なります。昼間のマチネは比較的カジュアルな雰囲気でお客様もゆったり鑑賞する傾向なのに対し、「夜会(夜の社交的な集まり)」という意味も持つソワレはマチネと比べて非日常的な高揚感が感じられ、特別な場を楽しむためにエレガントな装いで着飾るお客様も少なくありません。