Story物語
19世紀ロシア。美しく魅惑的な社交界の華アンナ・カレーニナは、著名な政府高官の夫カレーニンと一人息子と共にサンクトペテルブルクに暮らしていた。
ある日、モスクワを訪れたアンナは、若き青年将校ヴロンスキー伯爵と出会う。
一目で惹かれ合う二人。熱烈なヴロンスキーからのアプローチを拒絶し続けるアンナだったが、自分の心を偽ることができず、ついにヴロンスキーと恋に堕ちる。
カレーニンは妻アンナの気持ちと行動を知りつつ、体面を保つために妻に忠告するにとどめていたが、当然心中穏やかではいられない。そんな夫にアンナは、堂々と「ヴロンスキーを愛している」と告げるのだった。
若くして結婚したアンナにとって、それは“初めての恋”にほかならなかったのだ。
カレーニンとの離婚が成立しないまま、アンナはヴロンスキーとの間に娘をもうけ、一緒に暮らし始める。
だが社交界の掟を破ったアンナに周囲が注ぐ視線は、当然冷たい。
ヴロンスキーとの愛に全てを捧げる覚悟を決めていたアンナだったが、次第に精神的にも追い詰められていく。
一方、アンナの兄オブロンスキーは、自身の浮気が原因で妻ドリーとの夫婦仲が危機に瀕していたが、アンナの取りなしでどうにか事なきを得ていた。
オブロンスキーの若き友人リョーヴィンはドリーの妹キティに一度求婚するも、ヴロンスキーに夢中だったキティにあえなく振られ、田舎で農地経営に精を出していた。
キティもまたヴロンスキーへの淡い恋心を踏みにじられ、愛を信じられなくなっていたが、勇気を出したリョーヴィンからの二度目のプロポーズを受け入れる。
リョーヴィンとキティは真実の愛を手に入れ、地に足の着いた暮らしを始めるのだった。
不安定なアンナを支えるヴロンスキーには、母が勧める縁談が持ち上がっていた。
疑心暗鬼にかられたアンナは朦朧と街をさまよい、自ら列車の前に身を投げる──。
宮沢りえ
プロフィール
11歳でモデルデビュー。89年初主演映画『ぼくらの七日間戦争』で日本アカデミー賞新人賞を受賞。01年には香港映画『華の愛~遊園驚夢~』でモスクワ国際映画祭主演女優賞、03年『たそがれ清兵衛』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、04年『父と暮せば』でブルーリボン賞主演女優賞を、更に7年ぶりの映画主演作となった『紙の月』(14)では東京国際映画祭最優秀女優賞ほか多数の賞を受賞。17年には映画『湯を沸かすほどの熱い愛』において第41回報知映画賞で史上初の3度目となる主演女優賞、第40回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞も受賞している。また、昨年公開された『人間失格 太宰治と3人の女たち』で5度目となる日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞したのも記憶に新しい。映画・ドラマ・CMといった映像作品だけでなく、舞台にも積極的に出演し、2018年に第25回読売演劇大賞の大賞および最優秀女優賞を受賞している。近年の舞台出演作として『死と乙女』(19)、『近松心中物語』(18)、『クヒオ大佐の妻』『ワーニャ伯父さん』『足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~』(17)、『ビニールの城』『コペンハーゲン』『元禄港歌-千年の恋の森-』(16)、『海辺のカフカ』(15)など。
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