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傑作音楽劇、奇跡のカムバック。

Bunkamura25周年記念 もっと泣いてよフラッパー

作・演出・美術:串田和美

2014年2月8日(土)~3月2日(日) Bunkamuraシアターコクーン

コメント

串田和美 コメント

自由劇場時代に、僕はまずこの『もっと泣いてよフラッパー』('77年初演)を上演し、その後に『上海バンスキング』(同'79年)を創りました。『――バンスキング』は、物語がグッとひとつに集約されて、みんなが同じ方向を向いていく作品だけど、『――フラッパー』は、話がどんどん散らかり広がっていって、観る人ごとに勝手な感じ方をするような舞台です。もともと僕らは「演劇は文学のためにあるんじゃない。演劇は演劇のためにあるんだ!」と、戯曲偏重の新劇へのアンチテーゼとして演劇を始めた世代。今回久しぶりに『――フラッパー』をやることになって、改めて「こういうものがやりたくて、ずっと芝居をやってきたんだよなあ」と実感しているところです。
 日本人が想像する、たぶん誤解だらけの'20年代のシカゴ。それを「事実と違う」と怒るのではなく、絵空事としておもしろがるのが、『――フラッパー』の世界。文字にも映像にもできない、舞台の上にだけ存在する「空想のシカゴ」は、劇場に来なければ見られませんよ。

松たか子 コメント

中学に入って「お芝居の世界ってどんな感じなんだろう」と興味を持ち始めたころ、ほぼ初めて自分の意志で観に行った舞台が、『もっと泣いてよフラッパー』だったんです。夢があって、いろんなものがゴチャゴチャと入り交じっていて、「これは絵空事なんだよ」と言われているうちにいつのまにか引き込まれている。そういう感覚が、私の好みだったんでしょうね。とても印象深い舞台として、いまも強く記憶に残っています。
 今回もきっと、お芝居を観たという気分になる人もいるでしょうし、歌や踊りがたくさん入っているので、ショーを観た感覚になる人もいると思います。ミュージシャンも様々なジャンルの人が集まっているので、串田さんならではの「いろんな人が何かの縁で一か所に居合わせるおもしろさ」を味わえる舞台になるでしょうね。お芝居好きな方はもちろん、そうではない方も含めた多様な方に来ていただくことが、私の仕事かなと思っています。

取材:伊達なつめ