マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイ DUNAS-ドゥナス-

アーティストArtists

©David Ruano

María Pagésマリア・パヘス

フラメンコの聖地アンダルシア州の州都セビージャに生まれ、4歳からフラメンコとスペイン舞踊を学び始める。15歳からプロとしての活動をスタート。スペイン舞踊を伝統舞踊からパフォーミング・アートへと昇華させた第一人者アントニオ・ガデス率いる舞踊団に入団。1990年には自身の舞踊団María Pagés Compañía(マリア・パヘス舞踊団)を設立。1994年には、アイリッシュダンスをショーアップして世界的に大ヒットした『リバーダンス』に主演ダンサーとして出演。マリア自身が振付け、ソロで踊った「ファイアー・ダンス」で爆発的な人気を博し、フラメンコダンサーマリア・パヘスの名を世に広く知らしめることとなった。コレオグラフィー国家賞を受賞し、2002年にはスペイン舞踊界の最高賞と言えるナシオナル・デ・ダンツァ・デ・エスパーニャ賞など、他にもさまざまな賞を受賞。それまでのキャリアや芸術性を高く評価された同年には、スペイン国立バレエ団からも振付を依頼された。そのほかに映画作品への出演も多く、中でもフラメンコの魅力を 積極的にカメラに収め続けているカルロス・サウラ監督の『Carmen』(1983年)、『El amor Brujo』(1985年)、『Flamenco』(1995年)は特筆すべきである。

©Wouter Van Vaerenbergh

Sidi Larbi Cherkaouiシディ・ラルビ・シェルカウイ

ベルギー・アントワープでモロッコ人の父親とベルギー人の母親の間に生まれる。2000年にダンスカンパニーLes Ballets C. dela B.の一員として『Rien de Rien』を振付。この作品が欧州各地で上演され、ベルグラード・フェスティバルで特別賞、2002年モンテカルロにてニジンスキー賞を受賞。今に至るまで、世界中の劇場やフェスティバルでめざましい活躍を続けている。手塚治虫の思想/生涯をダンスで展開した意欲作『テ ヅカ TeZukA』を、2011年ロンドンで初演したのち、翌年にBunkamura オーチャードホールで上演し、注目をさらった。近年、日本ではダミアン・ジャレとの共同演出による『BABEL (words)』(2014年)や、中国河南省少林寺で禅僧たちと対話しながら振付けた『sutra』(2016年)を上演している。また演出・振付を手掛けた『プルートゥ PLUTO』は、2018年1月から、シアターコクーンほか、欧州3都市で上映。これまでにローレンス・オリヴィエ賞を2度受賞、2014年には母国ベルギーでその活動が高い評価を得て国王から爵位の名誉称号が授与されるなど、現代舞台芸術を牽引する世界的天才振付家・ダンサー・演出家である。

ミュージシャンMusician

Ana Ramon<歌> アナ・ラモン

パコ・ペーニャ、エバ・ジェルバブエナ、アントニオ・カナレス、カニサレスなど、現代を代表するフラメンコ界の巨匠と共演するカンタオーラ(歌手)。
マリアからの信頼も厚く、マリア・パヘス舞踊団では1998年よりほぼ全ての公演でカンタオーラを務め、そのドラマティックな声でステージの核を担っている。オーチャードホールでは『UTOPÍA ~ユートピア~』(2013年) 『Yo, Carmen 私が、カルメン』(2015年)にも登場し、ときには泣き叫ぶかのような声で、マリアが思いを込めた詩を熱情的に歌い上げ、 深い感動へと誘ったことは記憶に新しい。

Mohamed El-Arabi Sergini<歌> モハメド・エル・アラビ・セルギニ

モロッコ出身のムガンニ(伝統音楽歌手)およびアラブ音楽演奏者。タンジール音楽院で学び、タンジール・オーケストラと共演した経歴を持つ。日本では、中世スペインの音楽を演奏するエドゥアルド・パニアグア(伝説的な録音を残した、アトリウム・ムジケーを率いるグレゴリオ・パニアグアの弟)の古楽団での活動で知られ、サイード・ベルカディ、オマル・メティウィ等のアラブ音楽奏者とも共演を重ねている。
アラブ音楽で重要視される、音楽がもたらす深い恍惚“タラブ”をまさに体現するかのように、美しくゆらぐ声で祈るように歌い上げる。フラメンコのカンテとは違う味わいをもつ彼の歌声と、アナ・ラモンとの共演も、今回の見どころのひとつだ。

©Jess Amat

Bernardo Miranda<歌> ベルナルド・ミランダ

1988年生まれ、近年注目を浴びている若手カンタオール。
コルドバのフェルナン=ヌニェスに生まれ、セビリアのクリストバル・デ・モラーレス音楽院で学ぶ。
コンクールでは数多くの入賞歴を誇り、各地のタブラオでステージを重ねているほか、子ども達へのフラメンコ教育普及活動にも積極的に取り組んでいる。
若いミランダの繊細な歌声が、ラモンやセルギニとどのような重唱を繰り広げるのか、楽しみである。

Jose A.Carrillo "Fyty"<ギター> ホセ・カリージョ“フィティ”

1969年セビリア生まれ。独学でギターを学ぶ。マリア・パヘス舞踊団の創立以来、25年以上マリアと共に活動している。舞踊団のすべての作品に参加し、一部の作曲も担当するなど、カンパニーの音楽を支える中心人物。
『DUNAS』楽曲のフラメンコパートは、彼が手がけている。思わず聞き惚れてしまう美しいメロディの数々に、ご注目いただきたい。

Barbara Drazkowska<ピアノ> バルバラ・ドロンシュコフスカ

現代音楽の演奏を得意とする、ポーランド出身のピアニスト。ドイツ政府の奨学金を得て、ポズナン、ケルン及びリューベックで学ぶ。当代最高のピアニストの一人・ピエール=ローラン・エマールをはじめ、ジェームズ・トッコ、グシェゴシュ・クルチンスキらにピアノを師事。第13回クラクフ国際現代音楽室内楽コンクール(2009)でグランプリ&サウンドニューアワードを受賞。
ヨリット・タミンガ、ホセ・マリア・サンチェス=ベルドゥ、セサル・カマレロらヨーロッパの音楽シーンで注目を浴びる作曲家たちの楽曲を演奏する実力者。

David Moniz<ヴァイオリン> ダビッド・モニス

コルドバ音楽院、セビリア高等音楽院で学ぶ。卒業後、マリア・パヘス舞踊団をはじめとするアーティストと共演を重ねている、フラメンコ・ヴァイオリン奏者。『DUNAS』の印象的なテーマは、彼のヴァイオリンから紡ぎだされる。

Chema Uriarte<パーカッション> チェマ・ウリアルテ

パーカッショニストとして数々のフラメンコダンサーと共演。
これまでに、史上最年少でスペイン国立バレエ団の芸術監督に就任し、フィギュアスケートの振付師としても活躍しメダルへと導いている俊英アントニオ・ナハーロをはじめ、アントニオ・マルケス、エバ・ジェルバブエナ、ローラ・グレコらの作品に参加している。マリア・パヘス舞踊団には10年以上にわたり参加、音楽を支えている。カホンやタブラなど、様々な打楽器でリズムを刻み、神秘的なステージを盛り上げていく。

©David Ruano