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マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイ DUNAS-ドゥナス-

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Bunkamura 東京都渋谷区道玄坂2-24-1

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見どころPoint

パヘスとシェルカウイの情熱は、熱い砂塵を巻き起こしながら、
フラメンコの故郷へと、心逸らせる

突風に乗って、遠くかの地から吹き付ける熱い砂塵。白く煙ったこの世界で、ふと思い出す。灼熱の砂丘を踏みしめ、この地を目指した先人たちの想いを。
現代フラメンコを代表する舞踊家マリア・パヘスが、コンテンポラリーダンスの鬼才シディ・ラルビ・シェルカウイと共に創り出す世界は、ミステリアスな美しさに満ちている。
北インド地方からアラブ諸国を通り、北アフリカを西に向かって、スペインの南端、アンダルシア地方にたどり着いたジプシーたち。彼らが、訪れた土地で吸収し何世紀もかけて育んできた文化が、後にスペインのそれと融合し、生まれたのがフラメンコだった。
パヘスは、そのフラメンコの原点を、そしてモロッコ人の父を持つシェルカウイは、彼自身の核を、砂丘の神秘―ドゥナス―の中に見出す。
しかし、フラメンコとコンテンポラリーダンスという、まったく違ったジャンルの舞踊を融合させることが、彼らの目的では決してなかった。
パヘスにはフラメンコに対する確固とした信念がある。彼女はどんな音楽でも、シチュエーションでも、フラメンコの動きやリズムを逸脱することはない。またシェルカウイも、自身の踊りを守る。既成の動きに捕らわれることのない、魂の自由は、決して損なわない。
この作品で彼らがやりたかったこと。それは、それぞれの想いを共有することに他ならなかった。
体の奥底に眠る、自分とは何かを知りたいという欲求。それは人間ならだれでも持つ感情。だからこそ、それを観る私たちも、異国の風景でありながらも、自分と共通する何かを、心臓の奥深くに感じることができる。
同じ想いを胸に秘めた彼らが出会い、この作品を作りだしたことは、まさに必然だった。そうして彼らの原風景は、ステージの上で壮大なスペクタクルとなった。
かつてのエンターテイメント性に満ちたパヘス作品を知るオーディエンスは、アーティスティックな魅力が加わった今回の作品で、彼女のさらなる進化を感じることだろう。惚れ直すとは、まさにこのことだ。
『ドゥナス』では、煽情的な熱さ、荒々しさ、静けさと言った砂丘の神秘が、布、光、スクリーンを使った巧みな演出で見事に表現され、その空間を埋めるフラメンコとアラブ音楽の美しい融合に導かれ、まるで別世界にワープしたような気分になる。
パヘスの美しく、かつ力強いフラメンコの動き。彼女の体が正確に刻むするどいリズムは、シェルカウイの内なる魂を刺激し、躍動させる。
動く絵画を思わせるような、想像を掻き立てる壮大なビジュアルで、『ドゥナス』は、単なる舞踊作品を超えた。

東 敬子(フラメンコジャーナリスト)

マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイMaría Pagés & Sidi Larbi Cherkaoui

©David Ruano

María Pagésマリア・パヘス

15歳でアントニオ・ガデス舞踊団に入団。1990年に、自身の舞踊団María Pagés Compañía(マリア・パヘス舞踊団)を設立、振付家としての才能も開花。1994年には『リバーダンス』で主演ダンサーとして出演、世界的な人気を博した。近年日本では『UTOPÍA~ユートピア~』(2013年)『Yo, Carmen 私が、カルメン』(2015年)で鮮烈な印象を残し、そのドラマチックでスタイリッシュなフラメンコスタイルはファンが多い。

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©Wouter Van Vaerenbergh

Sidi Larbi Cherkaouiシディ・ラルビ・シェルカウイ

現代舞台芸術を牽引する天才振付家で、ローレンス・オリヴィエ賞を2度受賞。2014年には母国ベルギーでその活動が高い評価を得て国王から爵位の名誉称号が授与される。Bunkamuraとは、手塚治虫の思想・生涯をダンスで展開した『テ ヅカ TeZukA』(オーチャードホール/ 2012年)、『プルートゥ PLUTO』(シアターコクーン/ 2015年、2018年1月上演予定) があり、振付・演出家として馴染み深い。

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