序章 出会いゴールドマンコレクションの始まり
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象 とたぬき》もともとは50点ほどの絵を収めた画帖の一枚であった。大きな象に対し、小さなたぬきが可愛らしい小品。
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蛙 の学校 》教師が指す黒板は蓮の葉、生徒が腰掛ける椅子は蓮根。開化以降の西洋的な集団教育を蛙の姿で描いたもの。
ハーバード大学で美術史を学んだイスラエル・ゴールドマン氏は、浮世絵に興味を抱き、ロンドンで画商の道を歩み始めました。江戸時代の挿絵本、浮世絵の大家ジャック・ヒリアー氏の薫陶を受け、日本文化に対する深い知識を育みます。
あるときゴールドマン氏はオークションで暁斎の「半身達磨」(第6章)を入手しました。その質の高さに驚愕した彼は、その後「暁斎」の署名の入った作品を意識的に集めるようになりました。「象とたぬき」の小品はもともと画帖であったものを、ニューヨークの画商がバラバラに市場に出したうちの一枚でした。ゴールドマン氏はそのうちの数点を入手し、ある顧客に転売してしまいました。しかし「象とたぬき」のことが忘れられず、後日その顧客に頼み込んで返してもらいます。今日では世界有数の質と量を誇るゴールドマン氏の暁斎コレクションは、ここから始まったのです。
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