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岩松了が描くヤクザシリーズ第一弾!?

シダの群れ

作・演出:岩松了

22010年9月5日(日)~29日(水)/p>

Bunkamuraシアターコクーン

女を描く名手・岩松了が挑む任侠の世界に"重量感"ある男たちが集結。

 意外な組み合わせだ。複雑にして魅惑的な女性の心理を多く描いてきた岩松了が、男の世界に挑むという。しかも題材にするのは"ザ・男"が集まるヤクザ社会。
 「たとえば男女の感情を扱う時に"好き!"と言って済むほど、社会も人間も単純に出来ていないと思うわけです。でも最終的に何が重要か考えたら、欲しいものを欲しいと言うシンプルさかもしれない。それを(演劇的に)託せる可能性をヤクザ社会に感じたんです」
 そう語る岩松が選んだキャストは"重量感"がキーワード。「人数ではなく質感で、観たあと"たくさん男が出ていた"と感じてもらえる人達だと思います」
 中心となるのは、風間杜夫と阿部サダヲ。一昨年の『恋する妊婦』に続き、2度目の岩松作品出演となる風間は、「岩松さんの世界に、すっかり惚れちゃったんです。『恋する~』は僕の周囲でも"おもしろかった"と"わからなかった"のふたつに意見が分かれたんですが、僕はすごくよくわかったし大好きで、前回公演が終わってすぐに自分から"またぜひ参加させてください"とお願いしました。今回もきっとおもしろい話になるだろうと、無条件に信頼しています」
 岩松作品は初めての阿部は、「シリアスな話になると聞いてますけど、このメンバーならきっと、狙いじゃなく自然に笑いが起きる気がしています。僕は風間さんの演技でずいぶん笑わせてもらったし、江口さんや小出さんも、勝手な予想ですけど、おもしろいことが好きそうな気がして」と。受ける小出恵介もまた、「コテコテではなく岩松さん流の任侠。最終的には人間ドラマになるんじゃないかな」と予想し、江口洋介は「タランティーノも深作(欣二)さんのヤクザ映画が好きだっていうし、『ゴッドファーザー』だって、いわばイタリアのヤクザ物。いいですよね。地上波のドラマではなかなかない世界ですから楽しみです」と期待を寄せる。すでにスイッチが入った感のある男たち。彼らの心理的な闘争と、その間で漂う女性たちのドラマが、秋の渋谷を不穏に、艶やかに揺らすことだろう。

文:徳永京子(演劇ジャーナリスト)

出演者

  • 阿部サダヲ
  • 江口洋介
  • 小出恵介
  • 近藤公園
  • 江口のりこ
  • 黒川芽以
  • 尾上寛之
  • 裵ジョンミョン
  •  
  • 伊藤蘭
  • 風間杜夫