Bunkamura Re-OPEN記念 Stage Floor Products | オーチャードホール・シアターコクーン ステージ床で作成 オリジナル限定品

1989年の開業以来数々の名演に彩られてきたステージが生まれ変わり感動の記憶を残す記念品に!

ふたりのプロフェッショナル

それぞれの個性を持つふたりのプロフェッショナルにより、20余年の歳月を経た木材は、その確かな技術と繊細な表現力で、人の手に渡る新たな製品へと見事に生まれ変わりました。床材の下見からはじまり、打合せと試作品をくり返しながら、色味も傷み具合も様々な木材の風合いを活かすべく丁寧に加工し、どれをとってもひとつとして同じものが無い製品が完成しました。
多くの人が想いを寄せたそのステージに、新たな幕開けの手はずを整えてくれたふたりの製作者。彼らはどんな想いでステージの床材と向き合い、製作にあたったのでしょうか。今回のプロジェクトを終えたばかりのおふたりの心境を伺いました。

フォトフレーム製作 工房塩津村 井崎正治

役目を終えたステージの、新たな出番。

出番という言葉を気に入っている。
人間をやっていると色々な出番というのがあって、時として人生を支えることになったり、逆に人生を変えてしまう程のものにも出食わす。普段も小さな出番の重ねの毎日であるが、その事に気が付かず、やり過ごしてしまうことが多い。とかく、思い描く舞台ばかりに重きを置いてしまうが、舞台の出番はどうも、やりたい事、やらなければならない事、できる事のくり返しのようだ。
この度、Bunkamuraのお役目を終えた舞台の床材を預かり、小さなガクブチを制作するという出番をいただいた。使い込まれて、汚れ、キズだらけになった床材を加工していると、かつて出番を担った沢山の演者たちの踏みしめた足音や声が、静かに聞こえてきそうな気がして楽しかった。
三種類のガクブチに姿を変えた床材たちは、工房の手を離れ、次はどこで出番を迎えてくれるのだろうか。

工房塩津村 井崎正治

作業台のひとつ。あらゆる木材に対応する工具が並びます。

切り抜かれたばかりの3 種類のフォトフレーム。次はフレームを取り付ける作業です。

工房には大量の木材が。木の香りに包まれています。

工房に隣接されたギャラリー。木のぬくもりを感じる作品が並びます。

打合せもできるギャラリー内は、陽の光が差し込み開放的な空間。

工房塩津村
井崎正治

1948年愛知県蒲郡市生まれ。
木工ろくろの技術を主とする工房で修行した後、23歳で独立。蒲郡市に、生まれ育った場所のかつての地名を名称として残した、工房塩津村を設立。暮らしの中の木工を目指して、食器、家具はもとより彫刻、建築空間にいたるまで幅広い分野で活動。
作りたがり屋の虫にまかせて手を動かし発表を続けている。
2003年よりBunkamura Galleryにて毎年開催されている、全国のクラフト作家による作品を集めた展覧会への出展多数。
2012年2月Bunkamura Box Galleryにて、個展「-木もれ陽の音-」を開催予定。

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スツール・トレイ・ブックエンド製作 STANDARD TRADE. 渡邊謙一郎

大規模改修は内側を。

「使い易くなったので、どうぞお使いください。」
「可能性が増えましたので、どうぞ広げてください。」
僕は今回の大規模改修はこんな風に聞こえました。
音響・照明・舞台機構等の舞台関係の設備を一新し、床の張替え。楽屋やお客様用トイレの改修、空調、電気設備の改修。あくまでも地味だ。
 僕が担当させて頂いた書店NADiff modernは床の改修と照明の入れ替えと接客カウンターの入れ替え整理。約半年も閉じて大規模改修していたのに、表立って見えるものは限りなく少ない。そのほとんどがお客様の為に行った「ウラ」の施設設備の充実化だ。マイナーチェンジという感じでしょうか。お客様の為により良くする為の半年間、商業的な改修とはずいぶんと違う、とても素晴らしい大規模改修だったと思います。
 使い続けてきた舞台の床は記念品として、思い出すきっかけとなるような、デザインと製作を致しました。華やかなものではありませんが、何度も踏まれ、手入れされた床材を歴史と共に残したつもりです。

STANDARD TRADE. 代表 渡邊謙一郎

スツールの設計図。
シンプルながら、そのフォルムの美しさは緻密に計算されています。

取り外された床材の裏面。
舞台下手に設置されていた事が分かります。

ブックエンド用に裁断された床材。
左がコクーンで右がオーチャードの床材。

スタンダードトレードの自社工場。あらゆるマテリアルに向き合う、製作の現場。

スタンダードトレードのショップ。上質でシンプルな美しさを持つ家具が並びます。

STANDARD TRADE.
渡邊謙一郎

1972年生まれ横浜育ち。
神奈川大学工学部建築学科を卒業し、品川職業技術訓練校木工技術科へ。卒業後はいくつかの木工家具工場で修行し、1998年千駄ヶ谷に特注家具製作所としてSTANDARD TRADE.を設立。現在では五本木と等々力にSHOPをもち、オリジナル家具をデザインから製作・販売・修理まで手がけている。また、自社製品の買取り・メンテナンス・再販をし、家具の自社循環である「REPAIR&SALES」の仕組みをもつ。
2010年Bunkamura内NADiff modernにて「STANDARD TRADE. × NADiff modern」スペシャルフェア開催。

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