meet at crosspoint
人と地域をつなぐ アンテナショップ探訪/ふくいアンテナショップ291(東京・銀座/南青山)

首都圏にある全国各地のアンテナショップは、その地域を訪れないと手に入らない名産品が揃っているのが大きな魅力。でも実は、それだけではありません。商品の販売だけでなく、さまざまな取り組みを通じて地域の魅力を発信しているのもアンテナショップならではの役割です。
そんな“地域文化の入口”としての視点から、毎回ひとつのアンテナショップを訪ねる「meet at crosspoint 人と地域をつなぐ アンテナショップ探訪」。今回は、東京の銀座と南青山でコンセプトの異なる2店舗を展開している「ふくいアンテナショップ291」にお邪魔しました。東京で体験できる福井との新しい出会いやつながりを、さっそくご案内しましょう。
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・北陸の豊かな自然・歴史・文化が調和した「地味にすごい」福井
・食と交流から福井とつながる「ふくい南青山291」(南青山)
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北陸の豊かな自然・歴史・文化が調和した「地味にすごい」福井
2024年の北陸新幹線福井・敦賀開業に合わせて、福井県が発表したキャッチコピーは「地味にすごい、福井」。奥ゆかしく控えめな県民性を象徴する言葉ですが、実際に福井を知れば知るほど、このコピーが言い得ていることがわかります。
日本海に面して三方を山に囲まれた福井は、四季の移り変わりがはっきりした土地です。春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪と越前水仙など、季節ごとに移ろう風景は、どこか懐かしい日本の原風景を見せてくれます。また、南西部の若狭地方は古くから「御食国(みけつくに)」として塩や海産物など豊かな食材を京の都に納めてきた歴史があり、海と都をつなぐ鯖街道沿いには当時の賑わいを伝える古い町並みや宿場町、そして人の往来によってもたらされた食や祭礼の様々な文化が今も息づいています。
さらに食文化も豊かで、冬の味覚「越前がに」や郷土料理「越前おろし蕎麦」をはじめ絶品グルメの宝庫! 伝統工芸に至っては、越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前焼・越前箪笥・若狭塗・若狭めのう細工の7品目が国の伝統的工芸品に指定されているほど。
「地味にすごい」は、むしろ控えめな表現だったのかもしれません。

稲穂が色づき始めた越前市の田園風景。山々に抱かれたこの静かな風景が、福井の豊かな食文化を長きにわたって支えてきました。

若狭と京都を結ぶ鯖街道沿いに今も残る宿場町・熊川宿。かつて多くの人や物資が行き交ったこの町並みに、往時の記憶が静かに漂っています。
そんな “福井の今” への入口が、東京に2つあります。銀座の「ふくい食の國291」と、南青山の「ふくい南青山291」。それぞれどんな福井と出会えるのか、実際に足を運んでみました。
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暮らすように福井を味わう「ふくい食の國291」(銀座)
2013年に銀座に開設されたアンテナショップは、2023年2月にさらなる充実を図って銀座柳通りと銀座レンガ通りが交差する場所で「ふくい食の國291」として新たに生まれ変わりました。
1階が銘菓・海産物・地酒などを扱う食品コーナーと、観光情報や県内の暮らしの情報を提供する観光移住案内所。地下1階が工芸品コーナーとイートインスペース「越前若狭 食と酒 福とほまれ」。内装には笏谷石(しゃくだにいし)、越前瓦、越前和紙、福井県産のスギなどをふんだんに用い、福井らしさを感じられる空間となっています。スタッフさんの約3分の1が福井出身で、福井の魅力を伝えるため、一人ひとりのお客様に丁寧な接客を心がけているそうです。

店内に入ってまず驚いたのが、圧巻の品揃え。「1つの店舗で福井県内の商品がここまで揃っているお店は他にない」とスタッフさんが言うのも納得。羽二重餅のような定番みやげはもちろん、消費量日本一である福井のソウルフード・油揚げや、保存食として古来より伝承されている鯖街道の伝統食「鯖のへしこ」も地域ごとに風味の違う商品がずらり。
縦に長い福井県内を一度の旅行で回り切るのはなかなか大変ですが、ここなら離れた地域の名産品を手軽に手に取ることできます。売場の商品は季節によって入れ替わり、たとえば11~3月には冬季限定の水ようかんも店頭に並びます。ショップで福井の四季を体験できるというのは、なかなかの贅沢です。

左上)福井の名産品・羽二重織にちなんで絹の風合いを和菓子で表現した羽二重餅。プレーンなものから、つぶあんやチョコクリームを包んだタイプまで、各菓子店ごとに風味も食感も異なる商品が一堂に揃っています。
左下)厚さ3cm・一辺14cmと食べごたえ満点な油揚げ「谷口屋の、おあげ」はショップで常に上位の人気商品。油揚げや昆布など、福井の暮らしに根ざした食品もしっかり揃っています。
右)福井が生んだご当地パン。大福もちが丸ごと入ったブリオッシュ生地の「大福あんぱん」は、和と洋が溶け合った鯖江市発祥の一品。あわら温泉の源泉とパネトーネ菌で120時間かけて熟成させた「あわら温泉ぱん」は、とみつ金時と丹波黒豆の2種類があり、どちらもごろごろと入った芋や豆の素朴な甘さが魅力です。
また、福井といえば日本有数の酒どころ。こちらの売場では、酒造組合に加入している蔵元の日本酒がすべて揃っていて、その数はなんと180~200種類! 福井の地酒がこんなに揃っているお店はもちろんここだけ。すべて冷蔵保管で品質管理にもこだわっています。一升瓶だけでなく、飲み比べに適した小サイズの瓶もあるので、「まず試したい」という方にも嬉しい品揃えです。

地下1階の工芸品コーナーは、越前漆器や越前刃物などの伝統的工芸品から、国内生産シェア90%以上を占める鯖江市産フレームのリーディンググラスやサングラスまで、毎日の生活に取り入れやすいものを中心に揃えています。種類が豊富でもカテゴリーごとにまとめられていて、お目当てのものを見つけやすく工夫されています。福井の職人による伝統工芸ワークショップが開催されることもあるので、匠の技に触れてみたい方は公式サイトで開催スケジュールをのぞいてみてください。

越前漆器、越前打刃物、鯖江の眼鏡フレーム。用途は違えど、根底にあるのは福井の職人が代々受け継いできた、丁寧な手仕事。「一生もの」との出会いが、ここにあります。
同じ地下1階のイートインスペース「越前若狭 食と酒 福とほまれ」は、土蔵を思わせる居心地の良い空間。江戸時代からつづく郷土食の越前おろし蕎麦、福井の漁港から届く旬の魚介の海鮮丼、若狭牛しぐれ丼、ソウルフードのソースカツ丼や「谷口屋の、おあげ」など、福井の海・山・里の幸が揃っています。いろんな味を楽しみたいなら、蕎麦と各種料理を合わせた膳や地酒3種飲み比べセットがおすすめ。越前漆器や越前焼の器で料理が運ばれてくるのも、さりげない贅沢です。

福井の伝統を受け継ぐ喉ごし豊かな越前おろし蕎麦は、大根おろし・削り節・刻みネギでさっぱりといただくのが流儀。写真は1階食品コーナーでも販売している「谷口屋の、おあげ」をフライパンで焼いた料理とのセット(税込2,500円)。外はカリカリ、中はふわふわの油揚げは、一度食べたら忘れられない味。ちなみに福井の食卓では、カリカリした"はしっこ"が取り合いになるのだとか。
【「ふくい食の國291」(銀座)スタッフさん*イチオシ!】
福井県が育成したオリジナル酒米「さかほまれ」を使った地酒を多数取り揃えています。鯖江市の老舗酒蔵が醸す完全無添加の純米酒「梵」や、JR北陸新幹線のグランクラスでも提供されている「九頭龍」などが人気です。福井の日本酒は淡麗辛口のものが多く、どんな料理にも合うので、食事と一緒にぜひ味わってみてください。

黒龍酒造が醸す「九頭龍」。「黒龍」と並ぶ福井を代表する銘酒のひとつで、お燗で味わうのがおすすめです。
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食と交流から福井とつながる「ふくい南青山291」
銀座店と並んで、南青山にもアンテナショップ「ふくい南青山291」があります。こちらも2023年3月に食とビジネスの両面で福井とつながる交流拠点として全面リニューアル。ハイセンスなショップが並ぶ南青山の静かな一角に立地しています(江戸時代には越前藩の所有地だった由緒ある場所なのだとか)。全面ガラス張りのモダンな建物が街並みにすっと溶け込んでいて、南青山という場所がよく似合います。

1階入口横のカフェスペース「Cultive291」は、明るい日差しが差し込む開放的な空間。福井が誇るブランド米「いちほまれ」を使ったおにぎりをはじめ、越前市発祥のご当地グルメ「ボルガライス」(チキンオムライスにカツを乗せ、デミグラスソースをかけた食べごたえ満点の一皿)や、福井県産の甘海老をサクサクのフライにして、甘海老パウダーを追いがけした「甘海老カレー」など、落ち着いた空間で福井の食をカジュアルに味わうことができます。
ほかにも、越前そば粉を使ったロールケーキや羽二重餅を包んだベイクドチーズケーキなど、福井名物にひと工夫を加えたスイーツも。しっかり食事したい時も、ちょっとひと息つきたい時も、どちらにも応えてくれるラインナップです。

福井県産のスギのテーブルや恐竜の卵をイメージしたランプシェードなど、スタイリッシュな内装のあちこちに遊び心のある"福井らしさ"が顔をのぞかせています。明るく開放的な空間が、食事の時間をさらに心地よくしてくれます。
同じ1階に併設されているイベントスペースでは、職人による新商品発表会やトークイベントなど、福井の魅力を発信するさまざまな催しが行われています。普段は伝統的工芸品が展示されていて、ふらりと立ち寄るだけで福井の文化に出会えます。
「Cultive291」でも食やお酒にちなんだイベントが随時開催されているので、食事をきっかけに「福井のことをもっと知りたい」という気持ちが芽生えたら、ぜひ公式サイトで詳細をチェックしてみてください。

2階には「Connect291」というワークスペースがあり、会員登録すればコワーキングデスク・会議室・シェアオフィスを利用できます。この施設のユニークな点は、福井と都市圏の事業者マッチングを目的としているところ。伝統的工芸品に現代の視点を加えて生まれた「F-TRAD」のような新しいプロダクトも、ここでの交流から誕生しています。ビジネスを通じて福井の人とつながりたい方は、まずはイベントへの参加がおすすめです。

左)ワークスペースの受付カウンターに用いられた越前瓦。いぶし銀の落ち着いた色合いが、モダンな空間に静かな風格を添えています。
中)会議室の入口壁面に使われている石材は、福井市足羽山周辺で採掘された笏谷石。現在は採掘されていない希少な石材で、福井の歴史と風土を今に伝えています。
右)30分300円から利用できるコワーキングデスクなど、シーンに応じて働く場所を選べる空間が揃っています。
最後にスタッフさんに「ふくいアンテナショップ291が目指すもの」を聞いてみました。
「アンテナショップで福井に興味を持っていただき、実際に現地へ訪れていただくことが理想です。食事でも工芸品でも、何か1つでも福井を知っていただくきっかけになればいいなと願っています」とのこと。
アンテナショップは、旅の代わりではなく、旅の入口。まずは気になるものをひとつ手に取ってみることから、その土地との距離は少しずつ縮まっていきます。銀座で、あるいは南青山で——それぞれの入口から、あなただけの福井との出会いが始まります。
【「ふくい南青山291」(南青山)スタッフさん*イチオシ!】
福井はとにかく食が豊かで、海の幸も山の幸も美味しいものがたくさんあります。「Cultive291」ではお米を美味しく味わえるメニューを中心に提供していて、なかでもおぼろ昆布やもみわかめなど名産品をトッピングしたおにぎりがおすすめです。福井では、風味豊かなおぼろ昆布を塩むすびに巻くのが定番の食べ方なので、ぜひその味を確かめてみてください。

10種類の具材から選べるおにぎりと、上庄里芋や塩麹唐揚げなどのおかずを合わせた「選べるおにぎりセット」(税込600円+おにぎり各種類の料金)。店内の大きな銅釜でふっくら炊き上げた「いちほまれ」がとにかく美味しい! ふっくらとした食感とやさしい甘みが格別です。
2026年4月訪問
取材協力:ふくいアンテナショップ291
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【ショップ情報】

ふくい食の國291
〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-8 Ginza Willow Avenue BLDG 1階・地下1階
[TEL]
03-5159-4291
[営業時間]
ショップ:10:30~19:00
イートイン:平日11:00~15:00(L.O.14:30)/17:00~21:00(L.O.20:00)、土日祝11:00~20:00(L.O.19:00)
[定休日]不定休(年末年始を除く)
[アクセス]JR山手線・京浜東北線「有楽町」駅より徒歩5分/東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・銀座線「銀座」駅より徒歩5分/東京メトロ 有楽町線「銀座一丁目」駅より徒歩1分
https://fukui291.jp/ginza/ ※外部サイトに遷移します。

ふくい南青山291
〒107-0062 東京都港区南青山5丁目4-41 グラッセリア青山内
[TEL]
Cultive291:03-5778-0291
Connect291:03-5778-0290
[営業時間]
Cultive291:10:00~21:00(フードL.O.20:15/ドリンクL.O.20:30)
Connect291:9:00~21:00
[定休日]不定休(年末年始を除く)
[アクセス]東京メトロ千代田線・銀座線・半蔵門線「表参道駅」より徒歩4分
https://fukui291.jp/minamiaoyama/ ※外部サイトに遷移します。
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\ あわせてお楽しみください /
【出典】
- 県庁所在地:国土交通省ウェブサイト
https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/toukei/birn38p.html - 人口:総務省統計局ホームページ
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html - 面積:国土地理院ウェブサイト
https://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO-title.htm