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2024.12.20 UP
[report]
Bunkamura×キッズベースキャンプ
展覧会鑑賞&アートワークショップ「手の石鹸をつくろう」
Bunkamuraでは、文化との新たな出会いが見つかる「学び」と「体験」の場として、渋谷をはじめさまざまな場所で文化・芸術のすそ野を広げる、新たな文化情報発信やアウトリーチ活動を展開しています。
夏本番の8月1日、Bunkamuraは、東急グループの民間学童保育施設であるキッズベースキャンプ(KBCα二子玉川、KBC∞二子玉川)を利用している小学生の皆さんと共に、二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催中の『鈴木康広展 ただ今、発見しています。』の鑑賞とアートワークショップ「手の石鹸をつくろう」を行いました。このワークショップは、本展覧会の展示作品である《手の石鹸》の制作を実際に体験し、自分の手と粉石鹸と水だけを使って「自分の手の石鹸」を作ってみようというプログラムです。
子どもたちの想像力を刺激する「発見」と「見立て」の体験
ワークショップ当日、キッズベースキャンプ(以後、KBC)を「いってきます!」と元気に出発した11名の子どもたちは、まず展覧会場で作品を見学。この後ワークショップで体験する《手の石鹸》の展示はもちろん、今回は触れることが出来る体験型の作品もあり、たっぷり「発見」を楽しんだようす。
《手の石鹸》の展示は、参加者全員で展覧会担当スタッフから作品の説明を聞きました。みんな、真剣な表情です。
《まばたきの葉》は、開いた目と閉じた目が裏表にプリントされた白い葉を白い筒に入れると、上から吹き出て落ちてくる様子がまるでまばたきをしているように見える作品。子どもたちはみんな夢中になって、何度も体験しました。
展覧会のチラシやポスタービジュアルにもなっている《足元の展望台》に乗るといつも見ている景色が変わって見えます。
大人と同じ目線になったら何が見えましたか?
鑑賞後はKBCに戻って少し休憩。子どもたちに「展覧会は楽しかった?」と聞くと口々に「楽しかった!」「目のやつ(《まばたきの葉》)が楽しかった!」と大きな声で感想を聞かせてくれました。また休憩中に身近なもので「見立て」をする姿も見られ、展覧会での体験をすぐに生かすことが出来る子どもたちの柔軟な感性が印象的でした。
自由な発想で十人十色の「手の石鹸」を制作
小休憩のあとは、いよいよアートワークショップ「手の石鹸をつくろう」の体験へ。
講師をつとめる展覧会担当学芸員からの説明のあと、いよいよワークショップのスタートです。まずは材料の粉石鹸を触ったり、匂いを嗅いでみたりしてよく観察します。粉石鹸を初めて見る子どもたちがほとんどで、みんな興味津々。「小麦粉みたい!」「塩みたい!」「形が富士山みたい!」といろんなものに見えてくる「見立て」のおもしろさをここでも実践していました。
この時点ではまだサラサラの粉石鹸を自由に触ってみます。
次は、粉石鹸に少しずつ水を足しながらだんだんひとまとまりにしていきます。1滴ずつ水を入れる慎重派から全体に水を振りかける大胆派まで、ひとつひとつの作業にも子どもたちの個性を感じ、サポートするBunkamuraスタッフも自然と笑顔に。粉から小さなかたまり、小さなかたまりから大きなかたまりへの手触りの変化を感じながら、一つの球にまとまった粉石鹸をいよいよ「手」の形にしていきます。
「だんだん固まってきたよ!」と手触りで変化を楽しみながら笑顔で報告してくれる子どもたち。
まずは親指部分。親指のパーツを作って取り付けるのではなく、かたまりの一部を伸ばして親指を形づくっていきます。子どもたちは、自分の手と隣の人の手や粉石鹸のかたまりを見比べたり、指を動かして観察したりしながら親指を出現させようとしますが、なかなか形が定まらず悪戦苦闘。「むずかしい・・・」「こうかな?」「こんなのはどう?」とBunkamuraスタッフやキッズコーチ(KBCで子どもたちをサポートするスタッフ)、お友だちと相談したり、何度もやり直したりしながら自分が納得のいく形を目指します。
手をよく観察して、粘土のような粉石鹸で親指を作っていきます。
次に親指以外の4本の指をつくります。この時、Bunkamuraスタッフから「手の形はパーじゃなくてもいいですよ。」と声をかけられると、子どもたちは目の前のかたまりを思い思いのかたちにし始めました。ですが、「道具を一切使用しない」というルールが思いのほかむずかしく、1つのかたまりをどう4本の指にわけるか、指の動きや手の厚みをどう表現するか、試行錯誤をくり返します。かたまりに手を押し付けて型を取ったり、指で線をつけたり、彫ったり、伸ばしたり。時には初心に戻って自分の手を観察しなおしたり、いろいろなことを試しながら、自分なりの手の形を完成させていきました。
「このかたちを作りたいけど・・・」「手を広げた感じになっているかな?」自分の手を観察して、形になってきた粉石鹸とよく見比べます。
そうして、出来上がった子どもたちの「手の石鹸」はこちら。
自分だけの「手の石鹸」が完成。ちょっとむずかしかったけれど、がんばりました!
最後に、一人一人のがんばりが見える個性豊かな「手の石鹸」をみんなで見ながら、コンセプトや工夫したところ、感想などを発表し合いました。展覧会鑑賞後にアートワークショップを体験していただくという盛りだくさんのプログラムでしたが、子どもたちは発見したり見立てたりすることの楽しさを体験できたようでした。
自分の作品のお話をするときは、ちょっと緊張して照れてしまいましたが、思ったこと・感じたことをしっかりとお話してくれました。
このプログラムで鑑賞した「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」は二子玉川ライズ スタジオ & ホールにて9月1日(日)まで開催中です。
会場を出た後も日常生活の中に新しい小さな発見が起こることに気づかせてくれる作品や、直接触れることで完成する作品など、子どもも大人も楽しめる、発見に満ちた展覧会をどうぞお見逃しなく。
※9/1(日)をもちまして、閉幕いたしました。
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このイベントは、Bunkamuraとキッズベースキャンプが協働し、子どもたちとアートをつなぎ、本物を体験することを目的として開催されました。
●キッズベースキャンプ
株式会社東急キッズベースキャンプが運営する民間学童保育施設。個性を引き出すプロのコーチングと、キッズMBA、SDGs、STEAM、食育、本の世界、スポーツ、キャンプ、海外ツアーなどキッズデザイン賞受賞の多彩な体験プログラムで非認知能力「社会につながる人間力」を育みます。