K-BALLET Opto 「プティ・コレクション」

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2022.08.26 UP

『プティ・セレモニー』『プティ・バロッコ』 2作品の公開リハーサルレポートが到着!

8月22日(月)、23日(火)にOptoの公開リハーサルが行われた。旗揚げ公演で上演する2作品、どちらも全編通して行われたのだが、公演までまだ1カ月もあるのに、そのクオリティの高さ、気迫に終始圧倒された。ダンサー一人ひとりの意識の高さがビシビシ伝わる、熱いお披露目となった。

 

完成度が高い『プティ・セレモニー“小さな儀式”』

最初にメディ・ワレルスキー振付の『プティ・セレモニー』が披露された。男女合わせて15名、可動式の座れるくらいの白いキューブが両サイドに置かれている。最初は音楽なしでダンサーが足先を動かすだけ、体内リズムを感じながら動くダンサーは、全員がまとまって一つの生き物のような様だ。その生き物のような塊が一気にうねる。かと思うと、すぐにソロ、男女のペア、男性二人、ペアと他のダンサーというようにさまざまなフォーメーションに変化する。いきなり笑ったり、ジャグリングが登場したりとユーモラスな場面もあるのだが、ときどき全員揃って踊るシチュエーションが入る。この時、もしかしてずっとなにかしらの儀式の最中なのだろうかと意識させられる。それとも作品創作のきっかけとなった問い「ダンサーが箱の中で人生を過ごすとなったら、どう過ごすのか」に対する答えなのだろうか、と考えさせられる。ヴィヴァルディの『四季』の「冬」が流れる中、ダンサーはキューブをすごい勢いで走って動かし(会場となったリハーサル室では風が起きた)、キューブが効果的に使われる。
早い場面転換、舞台全体の空間の使い方など予想のつかない展開で気が抜けず、最後までスリリングな気持ちで楽しめた。



 

大きな評判を呼ぶ予感『プティ・バロッコ“小さな真珠(ゆがんた真珠)”』

続いて渡辺レイ振付の『プティ・バロッコ』。男性6名、女性4名の計10名で踊られる。冒頭、女性はハイヒールを履いており、このハイヒールはかなりかかとが高い! 挑発的である。ハイヒールを脱いでからは早い動きが多く、目が離せない。この疾走感と、女性ダンサーの怒っているのではないけれど終始挑むような強い視線がとても印象的だった。中心にいる飯島望未の存在感も圧倒的。渡辺レイの説明によると、男性にとっての理想の女性像ではない、つまり完璧な美ではなくバロック=歪んだものにひそむ美しさを表現しているとのこと。女性に本来備わっている強さ、しなやかさ、美しさが伝わってきた。

いつもは様式美を追求するバレエを踊っているダンサーが、不思議な体の使い方をして踊る。普段コンテンポラリー・ダンスを見ない方はそれに戸惑いを感じるかもしれないが、しばらく見ていると、ダンサー個々の顔、姿が目に入ってくるようになる。役柄ではなくダンサー自身を感じることができるのは大変な魅力だ。
公演まであと1カ月。本番まで、ダンサーとスタッフ、全員がブラッシュアップを続け、より洗練され、より深く成熟させて本番に臨む。本番では、『プティ・セレモニー』は男性が黒のスーツ、女性は黒のドレス、『プティ・バロッコ』では女性はワコールが展開するブランド「Salute(サルート)」 のキャミソールの衣装を身につける。そしてヘアメイクを施し、照明、音響が整ったステージで踊る……。今から本番の公演が楽しみだ。

文:結城美穂子