トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017

Programプログラム

ザハーロワが愛を込めて贈る、気鋭の振付家3名とのコラボレーション!
今最も見せたい3作品に、ボリショイ・バレエのスター達も共演!

©H.Iwakiri

「フランチェスカ・ダ・リミニ」
全1幕
音楽:
P・I・チャイコフスキー
振付:
ユーリー・ポソホフ
出演:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン、デニス・ロヂキン 他

「愛された以上愛し返すのが愛の定め、
この男が好きでもう我慢のできぬほど愛は私をとらえ、
ご覧のように、いまもなお愛は私を捨てません」 ―ダンテ「神曲」
[訳注:地獄篇、第五歌103]*河出書房版(平川祐弘訳)

チャイコフスキーの25分の幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ダンテの「神曲」に登場する若きフランチェスカとパオロの悲劇に基づいている。ラヴェンナ領主の娘フランチェスカは、対立するリミニ領との争いを終わらせるため、リミニの城主、ジャンチオット・マラテスタに政略結婚させられることになった。城主の弟パオロが、本当の花婿の身代わりに結婚の手続きにフランチェスカの家を訪ねる。

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フランチェスカはパオロを新郎と思い込み、たちまちこの美青年に恋をするが、彼女の夫となるのは醜いせむしのジャンチオットだった。ジャンチオットの宮殿で、フランチェスカとパオロが一緒に騎士ランスロットの悲恋の物語を読んでいる。思わず二人は互いの情熱に屈してしまう。裏切られた夫は恋人たちの不意を襲い共に二人を殺してしまう。今やパオロとフランチェスカは地獄の第二の圏谷に堕とされ、業風に打たれ、互いの手が届くほど近くにいるも、二度と一緒になることはない。
振付家ユーリー・ポソホフは、世界の音楽史に於いて最も浪漫的な楽曲の一つと自身が考えるチャイコフスキーのこの幻想曲に目を向けた。振付家曰く、そのフィナーレは「啓示的」である。「この幻想曲の音楽があまり強力なので、相応しいアプローチが見つからないのではないかと危惧した。でもたった3回のリハーサルで、これと思うダンス言語を見出すことができた」と、彼はこの選曲にまつわる不安を語る。
パオロ、フランチェスカ、ジャンチオットというバレエの主な登場人物の他に、5人の侍女が登場する。それら侍女たちの踊りは、演出家の意図によれば、フランチェスカの感情体験の反映であり、また三人の登場人物の踊り手は、ロダンの名高い彫刻「地獄の門」の冠にある三つの亡霊を体現する。「この音楽からの逃避はありえない」と、あたかも振付家が踊り手たちに告げるかのように、地獄の門番たちは悲運の恋人たちを下界へと引きずり込む。
「長いことユーリー・ポソホフと仕事してみたいと思っていました。彼の作品はどれも類がありません。ユニークで複雑なデュエットはドラマに富んでいます。彼の演出の特徴のすべてが考え抜かれ、作品のイメージと感性を伝えています。チャイコフスキーのこの音楽の出だしを聴いてすぐ、これは私のものだとわかりました。出演者たちが舞台に登場した途端、メインの主人公たちの間に彼ら自身思いもよらぬ何かが起きるとわかります。感情の大きさと悲劇。
私はこのバレエが大好きです」―スヴェトラーナ・ザハーロワ

©H.Iwakiri

「レイン・ビフォア・イット・フォールズ」
音楽:
J・S・バッハ、O・レスピーギ、カルロス・ピノ・クィンターナ
振付:
パトリック・ド・バナ
出演:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、パトリック・ド・バナ、デニス・サーヴィン

「降る前の雨が好きです。そんなものは勿論ありませんと、彼女は言いました。だから、僕は好きなのです。本当はないのに、それでも人を幸せにできるものがあるのです」

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振付家パトリック・ド・バナは、このバレエを特別にスヴェトラーナ・ザハーロワのために演出した。モーリス・ベジャールとナチョ・ドゥアトの両バレエ団のプリンシパルでもあったド・バナはまた、この作品で演者でもある。彼特有の冷ややかなよそよそしさと抽象的な振付スタイルが、スヴェトラーナ・ザハーロワの見事に流れるようなムーヴメントを、予想を全く超えた新たな光で映し出す。
スヴェトラーナとパトリックのデュエットがバレエを綴っていくと、デニス・サーヴィン演じる第三の人物が彼らに加わる。部屋、女、二人の男、愛、三角関係、調和、欲望、敗北、孤独、虚無。
降る前の雨…
「私たちの関心は、観る人に情感とヒロインの内なる葛藤が伝染し、観た後でその人が自身の気持ちや思いに独り向き合うことにありました」―スヴェトラーナ・ザハーロワ

©H.Iwakiri

「ストロークス・スルー・ザ・テイル」
音楽:
W・A・モーツァルト
振付:
マルグリート・ドンロン
出演:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン、デニス・サーヴィン 他

「このバレエ、<ストロークス・スルー・ザ・テイル>で特に素晴らしいと思うのは、振付家の繊細なユーモアとモーツァルトの音楽です。俗な部分や茶化しは一縷もここにはありません。
ただ垢抜けた洒脱なユーモアがあり、それはダンスではなかなか到達しえないものです」
―スヴェトラーナ・ザハーロワ

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このバレエのアイディアが生れたのは、モーツァルトが40番の交響曲を作曲した時、彼が実に奇抜な記譜法を用いたことを振付家マルグリート・ドンロンが知った時だった。彼は演奏者が好きに長さを選べるように、音符の符尾に線を入れ消した。
「アートでは、自由は何であれ素晴らしい!」―マルグリート・ドンロン

「当初私は、登場人物を白い空間の中で踊る小さい黒い音符と見ていました。実際ダンサーたちを入れてやってみると、それらの音符が個性を帯びてきました。演じ手一人一人が各自貢献してよいのだし、だから音符たちがユニークなものとなり、各自独特の味わいが出ました」
5人の男に一人の実に幸運な女。全員がステップを競い合う。自分が一番聡明だ、一番独創的だ、奇想天外だと。そこへまた一人がやってくる。斬新で独創的で唯一無二、なんと創意に溢れたことかと皆が称賛する。皆、彼を超えようと手を変え品を変えるが、刻々と変わりゆく生は、誰も追いつくことも超えることもできない…
この追いつけ追い越せのどたばた劇、そして優位の競い合いがなんともおかしく滑稽なのだが、これが心底おかしく思えるのは、バレエの作者が登場人物たちを、まるで小さな子供たちを見るかのような寛大さと愛情で見ているからだ。
「何を私がしたかったか?ちょっとふざけてみたかった、面白いことをやってみたかったのです。公演の後、観た人が軽やかな気持ちで、嬉々として帰ってほしかった。これが何なのか、自分で分析したことは一度もないです。
恐らく貴方もご自分で観ればわかるんじゃないかしら?」―マルグリート・ドンロン

世界最高峰のカップル、レーピンとザハーロワの愛に満ちたコラボレーション。
真のヴィルトゥオーゾ、レーピンと、南紫音率いる精鋭達の演奏で、ザハーロワが舞う!

3点とも©Massimo Danza

演奏:
ワディム・レーピン(ヴァイオリン)、フェスティバル・アンサンブル(リーダー:南紫音)
予定キャスト:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン、デニス・ロヂキン、ウラジーミル・ヴァルナヴァ、ドミトリー・ザグレービン
N・パガニーニ:“ヴェネツィアの謝肉祭”による変奏曲 op.10 ☆
バレエ「ライモンダ」より“グラン・アダージョ”
音楽:
A・グラズノフ
振付:
牧阿佐美
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン
※振付家が変更となりました。
 
P・I・チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」より“レンスキーのアリア”☆
編曲:
レオポルト・アウアー
「プラス・マイナス・ゼロ」
音楽:
アルヴォ・ペルト「フラトレス」
振付:
ウラジーミル・ヴァルナヴァ
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ウラジーミル・ヴァルナヴァ
M・ラヴェル:「ツィガーヌ」☆
「レヴェレーション」
音楽:
ジョン・ウィリアムス「シンドラーのリスト」より
振付:
平山素子 *録音音源を使用いたします。
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ
F・ワックスマン:カルメン幻想曲 ☆
「ヘンデル・プロジェクト」
音楽:
G・F・ヘンデル
振付:
マウロ・ビゴンゼッティ *録音音源を使用いたします。
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン
P・I・チャイコフスキー:「ワルツ・スケルツォ op.34」☆
「瀕死の白鳥」
音楽:
C・サン=サーンス
振付:
ミハイル・フォーキン
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ
M・M・ポンセ:「エストレリータ」☆
「レ・リュタン」より
音楽:
H・ヴィエニャフスキ「カプリース イ短調」(クライスラー編曲)より
A・バッジーニ「妖精の踊り」より
振付:
ヨハン・コボー
バレエ:
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン、ドミトリー・ザグレービン

☆は器楽曲

「パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers」演目変更のお知らせ

出演者の希望により予定しておりました演目を一部変更させていただきます。
何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

V・モンティ:チャルダーシュ → F・ワックスマン:カルメン幻想曲(器楽曲)
「メロディ」 → 「ヘンデル・プロジェクト」

※出演者・演目は2017年9月11日現在のものです。