ラ・バヤデール

Point見どころ

熊川哲也の輝かしきスターダムへの道はここから始まった―
バレエ界にさらなる伝説を刻んだスペクタクル超大作、待望の再演!

 英国ロイヤル・バレエ入団直後、17歳にしてオペラハウスの観客を熱狂させたブロンズ・アイドル、その3年後に異例の抜擢を受け、プリンシパル昇格への道筋を確実なものとしたソロル――熊川哲也が自身のキャリアにおいて重要な位置を占めるこの『ラ・バヤデール』を新プロダクションとして手掛けたのは2014年、Kバレエ カンパニー設立15周年のことだった。古代インドへとタイムスリップさせる荘厳な美術は圧倒的スケールを誇り、作品を熟知すればこその視点で緻密に編まれた物語は、愛憎渦巻く人間ドラマとして精彩を放ちながら熊川独自の想いを込めたかつてない結末へと観客を運んでいく。
 もちろん、名場面として知られる影の王国での群舞の圧倒的な美もKバレエならではだ。待望の再演となる今回は、5月『白鳥の湖』で19 歳にして主演デビューを果たした矢内千夏と、彼女との共演によるアシュトン振付『ラプソディ』で注目を集めたばかりの山本雅也という、次代を担う新たな才能の抜擢にも期待が高まる!

Storyストーリー

 舞台は古代の南インド。寺院の舞姫ニキヤと高名な戦士ソロルは密かに愛し合い、神に結婚の誓いを立てる。しかしソロルを気に入った領主ラジャは、娘である王女ガムザッティとの結婚を彼に命じる。権力と彼女の美しさに抗えず結婚を承諾してしまうソロル。
 ニキヤに求愛を拒絶された大僧正はソロルを貶めるため、ニキヤとソロルの関係をラジャに密告する。一方、ソロルに心惹かれるガムザッティはニキヤに身を引くよう迫るが、ニキヤも一歩も引かず二人は言い争いとなる。そしてラジャは邪魔なニキヤを亡き者とするため、毒殺を画策する。
 ガムザッティとソロルの婚約の宴で悲劇が起こる。ソロルに裏切られて悲嘆に暮れるニキヤは命じられるままに祝いの舞いを踊る。その最中、ソロルから花籠を手渡され喜びを感じたのもつかの間、ラジャたちによってその籠に仕組まれていた毒蛇にかまれたニキヤは、絶望のうちに死んでいく。ニキヤの死に衝撃を受け罪悪感に苦しむソロルは、幻影の中でニキヤと出会う。愚かな人間たちが引き起こしたこの愛憎劇の末路は――。

Castキャスト

photographs: Jin Kimoto/ Shunki Ogawa/ Hidemi Seto/ Bettina Stoess