12月16日、ぽかぽかと温かくお出かけ日和の日曜日、オーチャードホールにて
第72回N響定期演奏会が開催されました。
プログラム ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
サン・サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22
リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
出 演 指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:児玉 桃
本公演のチケットは、前売りですでに完売御礼。N響オーチャード定期に5年ぶりに
登場するデュトワへの期待が劇場中に満ちていました。
ラヴェルのワルツは、8つの小さなワルツが彩り豊かに重なる一曲。
迷いのない明快な出だしから、オーケストラと指揮者の息もピッタリに感じられました。
2曲目、児玉さんをソリストに迎えての協奏曲は、ピアノをたっぷりと聴かせてくれる
みごとなコンビネーション。力強く凛とした演奏でした。
休憩をはさんで後半は、「千一夜物語(アラビアン・ナイト)」を描いた壮大な
交響組曲「シェエラザード」。
コンサートマスター篠崎氏の奏でるシェエラザード姫のメロディに誘われて目を閉じると、
そこに大海原が広がり、客席にいながら波に揺られるような感覚さえ覚えます。
時に戦闘的だったり、舞踊風だったり・・・ただ耳を傾けるだけでその場面が目の前を
よぎるような、ストーリー感にあふれた音楽。
聴き終えればまるで一本の映画を見たかのように、物語の残像が脳裏に焼きつきます。
シェエラザード姫(独奏ヴァイオリン)やカランダール王子(ファゴット)など、
登場人物を特定の楽器が担って演奏するのも聴きどころ。
こういった楽曲では、2階・3階席からステージ全体を眺め、代わる代わる登場人物が
現れるさまを見守るのも楽しいものです。
アンコールにはロシアからのクリスマスプレゼント、
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』から「行進曲」が演奏されました。
最後は両手を振って鳴りやまぬ拍手にこたえる巨匠デュトワ、
フランスのエスプリに満ち溢れた素晴らしいひとときでした。