ソール・ライターの原点 ニューヨークの色

COMPOSITION展覧会構成

New York 1950S - `60Sニューヨーク 1950-60年代

1950~60年代頃、
黄金期ニューヨークを写し撮った未公開スナップ写真

文化の新たな中心地として抽象表現主義などの芸術の新潮流が次々と生まれたニューヨーク。この地でソール・ライターは、意欲的な若い芸術家たちとの交流の中で、写真の表現メディアとしての可能性に目覚め、絵筆とともにカメラで自分の世界を追求していくようになります。

モノクロによるスナップ写真は、絶妙な構図と黒と白で織りなされる美しいプリント表現(大部分のプリントはソール・ライター自身によるもの)によって詩情あふれる日常の物語を想起させます。

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  • 1《無題》 1950 年代
  • 2《無題》撮影年不詳
  • 3《歩道》 1954 年頃
  • 4《無題》撮影年不詳
  • すべてソール・ライター© Saul Leiter Foundation

ソール・ライターによる後の巨匠たちのポートレート

撮影活動を始めたころ、ソール・ライターは身近なアーティストたちのポートレートを数多く残しています。これらの写真は、彼が野心あふれる芸術家たちの輪の中にいたことを示す興味深い資料であるとともに、当時、爆発的なエネルギーで新しい表現が日々生み出されていたニューヨークのアートシーンの息吹を感じさせてくれます。

“有名人を撮ったからって、良い写真になるとは限らない。”

ソール・ライター

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  • 5《アンディ・ウォーホル》 1952 年頃
  • 6《無題(ユージン・スミス)》 1950 年代
  • 7《無題(セロニアス・モンク)》 撮影年不詳
  • 8《マースとジョン(マース・カニングハムジョン・ケージ )》1952 年頃
  • 9《ジョン・ケージと絵を見に来た際、ストロボ・テストのためにポーズをとるロバート・ラウシェンバーグ》撮影年不詳
  • すべてソール・ライター© Saul Leiter Foundation

SAUL LEITER IN FASHIONソール・ライターとファッション写真

1958年から1960年代の『ハーパーズ・バザー』におけるソール・ライターのファッション写真を一堂に公開。商業性の求められるジャンルにおいても自らの美意識を存分に発揮し、斬新でありながらエレガントなソール・ライターの写真からは、世界の中心地として黄金期を迎えた豊穣なアメリカ文化の芳香を感じていただけます。

“人生には、それぞれの美を追求する価値がある。そのことを否定したくない。”

ソール・ライター

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  • 1ソール・ライター『ハーパーズ・バザー』1963年2月号のための撮影カット ©Saul Leiter Foundation
  • 2『ハーパーズ・バザー』1958年10月号表紙(ソール・ライター撮影)
  • 3『ハーパーズ・バザー』1959年4月号表紙(ソール・ライター撮影)
  • 4『ハーパーズ・バザー』1963年8月号表紙(ソール・ライター撮影)
  • 2,3,4は©Harper’s Bazaar/Hearst Magazine Media, Inc.

COLOR INSPIRATIONSカラーの源泉 — 画家ソール・ライター

ソール・ライターは「画家の眼を持つ写真家」でした。写真家として成功したのちも、彼は生涯絵筆を折ることはなく、世間から隠遁後も日記を綴るように絵を描き続けました。「絵画は創造であり、写真は発見だ」と語っていた彼にとって、絵画は自らの生きる原動力でもありました。ソール・ライターの絵画には、印象派や日本の浮世絵や特にピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤールといったナビ派の影響が見られますが、特筆すべきはその色彩感覚です。縦横無尽に色と一体化し、遊ぶように描かれた絵画作品は、ソール・ライターが唯一無二のカラー写真の世界を創り上げることが出来た秘密を解き明かす鍵となります。

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  • 1《無題》1960年頃
  • 2《お気に入りの1点》1960年頃
  • 3《無題》制作年不詳
  • すべてソール・ライター ©Saul Leiter Foundation

DISCOVERIES IN COLORカラースライド・プロジェクション

大規模プロジェクションで体感するソール・ライターの色彩の世界

生前のソール・ライターがプリントの状態で確認したカラー作品はわずか200点余りであり、彼にとってカラー写真はアトリエ壁面に投影するなど、光を通した状態で見るカラースライドでした。会場では、厳選したカラースライドの複製を多数展示し、覗き込んで写真を楽しむというソール・ライターの鑑賞方法を追体験します。

また、本展の目玉として、ヒカリエホールの大空間を利用し、10面の大型スクリーンに最新の作品群約250点を投影します。カラー写真をスライドショーで投影して見るという、古くて新しい鑑賞方法で、ソール・ライターの卓越した色彩の世界に誘い出し、迫力の展示によってカラー写真の魅力の新たな扉を開きます。

“ソールは、スライドの1枚1枚が
写真としての価値を認められるべきだと信じていた。”

マーギット・アーブ
(ソール・ライター財団代表)

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  • 1《無題》撮影年不詳
  • 2《無題》撮影年不詳
  • 3《無題》撮影年不詳
  • 4《無題》撮影年不詳
  • 5《無題》撮影年不詳
  • 6《無題》撮影年不詳
  • 7《無題》撮影年不詳
  • 8《無題》撮影年不詳
  • すべてソール・ライター ©Saul Leiter Foundation
ソール・ライター《セルフ・ポートレート》1960年頃 ©Saul Leiter Foundation