
野田弘志Hiroshi Noda
『写実は哲学』と謳い、戦後の抽象絵画全盛時代にも写実を貫き続け、写実界を常にリードしてきた先駆者。真摯に作品を描く姿勢から、その作風は『魂のリアリズム』と呼ばれている。
日本写実絵画界の牽引者による、生と死を見つめた作品。
北海道の洞爺湖のそばの森に建つアトリエの庭で画家が見つけた鳥の巣。鳥がくちばしのみで木や草を集めて創り出した、驚異ともいえる細かなつくり。画家は崇高で神聖なものと捉え、この作品を描いた。やがて卵は孵化したが、ある日突然、雛も巣も全て跡形もなく消えていた。