クマのプーさん展

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2019.03.27 UP

【イベントレポート】「クマのプーさん ストーリーテリングナイト ―石井桃子のことばの魅力」


■石井桃子さんと『クマのプーさん』
『クマのプーさん』が日本語に翻訳され、初めて出版されたのは、1940年のことでした。岩波書店から『熊のプーさん』と題して刊行されたこの本を翻訳したのは、翻訳家で編集者の石井桃子さん(1907-2008)。

今回、石井桃子さんのお誕生日である3月10日に「クマのプーさん展」会場内で開催した本イベントでは、石井桃子さんと一緒に東京子ども図書館を設立された、松岡享子さん(東京子ども図書館名誉理事長)に、石井桃子さんと『クマのプーさん』との出会い、そして、プーさんのお話を耳で聞く魅力について語っていただきました。

石井桃子さんと『クマのプーさん』の出会いについては、石井桃子の随筆集『プーと私』に詳しく書かれています。この本のなかで、石井桃子さんはプーさんの本から「流れ出る波長をキャッチ」したと書かれているそうです。

■「語られたプーを聞く」
松岡さんは、その波長をキャッチすることができれば、誰でもすっぽりとプーさんの世界に入り込むことができると話されました。そして、プーのなかにすっと入る道というのは、“語られたプーを聞く”ということだとか。「クマのプーさん」の本に大人になってから出会った方でも、“語られたプーを聞く”ことによって、子どもの頃にこの本に出会ったように、すっとこの世界に入り込み、プーのお話を楽しめるそうです。

石井桃子さんの本というのは、その言葉を耳で聞いていただくのが1番良い方法だということで、イベントの後半では、張替惠子さん(東京子ども図書館理事長)、金城節子さん(お話の語り手)によるストーリーテリング(お話をおぼえて、本を持たずに語ること)で、耳で聞く「クマのプーさん」の世界をご堪能いただきました。

■ストーリーテリング
張替惠子さんには、「プーがお客にいって、動きのとれなくなるお話」(『クマのプーさん』石井桃子訳、岩波書店)を、金城節子さんには、「プーがあたらしい遊戯を発明して、イーヨーが仲間にはいるお話」(『プー横丁にたった家』石井桃子訳、岩波書店)をお話しいただきました。

まるで目の前にプーと仲間たちがいるような臨場感たっぷりのストーリーテリングで、会場からは思わず笑い声がもれ、原画に囲まれながらプーの物語の舞台・百町森へと思いを巡らす素敵なひとときとなりました。

■貴重な書籍をお見せいただきました
松岡さんが、『クマのプーさん』の初版本と同じカバーデザインの、初期の出版の貴重な本を持ってきてくださいました。

※佐藤英和コレクションより

1926年出版の『クマのプーさん』(左下図)、1928年出版の『プー横丁にたった家』(右下図)の初版本と想定される本などもお見せいただき、貴重な本の数々に参加者からは驚きや感激の声があがりました。

※佐藤英和コレクションより


■松岡享子さんからのメッセージ
今回、松岡享子さんから「クマのプーさん」をより深く楽しむためのメッセージをいただきました!
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<松岡享子さんからのメッセージ>
もし、あなたがプーの世界にはいりこんで、プーたちといっしょにその世界をたのしみたいと願うなら、目で読むよりは、声に出して読んだほうがいいでしょう。もっといいのはだれかに読んでもらうことです。展覧会でごらんになったシェパードの挿絵を思い浮かべながら。
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みなさまも、この機会に「クマのプーさん」の本をどなたかに読んでみてはいかがでしょうか?