深く知り、さらに楽しむウェブマガジン

歌舞伎ビギナーのための鑑賞ガイド⑪

コンサートホールや劇場で生のコンサートやお芝居を体験してみたいけど、分からないことが多く、何となく敷居の高さを感じてしまう…。そうした不安を払拭して最初の一歩を踏み出すきっかけになるよう、初めて文化芸術を楽しむための入門知識をまとめた初心者向け企画「Start!Bunka ビギナーのための鑑賞ガイド」。第11回は歌舞伎を楽しむコツや鑑賞時の基本的なマナーをご紹介します。

観劇する演目はどうやって選ぶ?

江戸時代から400年以上にわたって受け継がれてきた、日本が誇る伝統芸能・歌舞伎。その演目は製作年代によって、江戸時代に確立された「古典歌舞伎」と、明治時代以降に誕生した「新作歌舞伎」に大きく分かれます。古典歌舞伎は基本的に江戸時代の言葉を使っているので「分かりづらい」と感じるかもしれませんが、歌舞伎には歌や演奏、きらびやかな衣装に派手な化粧など理屈抜きで楽しめる要素が満載! 元々は江戸時代の大衆娯楽だったので、まずは肩の力を抜いて気楽に鑑賞しましょう。
歌舞伎の観劇が初めてで、数ある演目の中からどれを選べばいいか迷ってしまうという方は、まずは映画やドラマで見たことのある歌舞伎俳優が出演する公演を鑑賞してはいかがでしょうか。馴染みのある俳優が魅せる迫真の演技と圧倒的な存在感に、たちまち引き込まれるはずです。また歌舞伎には、江戸時代よりも古い時代の出来事を題材にした“時代物”という演目ジャンルがあります(『仮名手本忠臣蔵』や『義経千本桜』が代表的)。「この出来事は聞いたことがある」という演目だと、物語の展開を理解しやすく作品の世界観に入り込みやすくなるでしょう。江戸時代の庶民の日常を舞台にした“世話物”も、ストーリーが分かりやすく台詞も聞きとりやすいのでおすすめです。

歌舞伎の観劇前に予習は必要?席選びのポイントは?

演目を選んだら観劇前の“予習”として、公演のホームページなどをチェックしたり、当日に会場で販売される筋書き(芝居のパンフレット)を入手し、あらすじ・人物関係・時代背景を大まかに把握しておくことをおすすめします。先入観なしで観劇して歌舞伎の世界に浸るのも面白いですが、昔の言葉づかいを用いた台詞の解釈やストーリーを追うことに気を取られることなく、歌舞伎のさまざまな見どころをより楽しみやすくなります。特に“世話物”を鑑賞する場合は、江戸時代の生活習慣や金銭価値の目安を頭に入れておくと、人物の心情や世界観がより分かりやすくなるでしょう。また、舞台の進行に合わせてあらすじや俳優や衣装などについて解説してくれる“イヤホンガイド”の貸し出しを行っている劇場もあり、初心者にとって大いに参考になるのでぜひご利用ください。
歌舞伎の座席区分は会場や公演によって異なりますが、一般的に舞台からの距離や見やすさによって座席の等級が分けられています。会場によっては桟敷席や一幕見席などが設けられていることもありますので、各会場の客席設計や特徴をホームページでチェックして、舞台上の役者を間近で見たいか、あるいは舞台全体を見渡したいかなど、優先したい目的によって座席を選ぶとよいでしょう。なお、歌舞伎では客席から舞台に向かって右側を「上手」、左側を「下手」と呼び、会場によっては下手側の客席を貫くように舞台への花道が設けられています。花道を闊歩する役者を近くでご覧になりたい方には下手側の席、花道全体の演出を見通したいならば上手側の席から見るのがおすすめです。

歌舞伎の観劇マナーは?どんな服装で行けばいい?

歌舞伎公演における観劇マナーは、基本的には演劇と同じです。観劇中に会話や音を立てることは控えましょう。面白い場面で笑ったり、舞台を盛り上げるために大向こう(「〇〇屋!」「待ってました!」などの掛け声)や拍手を贈ることは一般的なことですが、掛け声や拍手はタイミングを間違えるとかえって芝居の妨げになります。大向こうは専門に行う常連客がいるのでその人たちに任せ、拍手も周りのタイミングに合わせるとよいでしょう。

また、歌舞伎は江戸時代に一日かけて鑑賞する娯楽として発展し、幕間(休憩)に食事やお菓子を楽しむのが当たり前でした。その名残から、歌舞伎上演時に限り、劇場によっては“幕間のみ客席での軽食・飲料を可”としている場合があります。事前に主催者や劇場のホームページで最新の情報を確認しておきましょう。なお、客席内での撮影・録音・録画は禁止。携帯電話・アラーム付き時計など、音の出る電子機器の電源は切っておきましょう。補聴器をお使いの方は、開演前に正しく装着されているか確認することをおすすめします。あと、意識したいのが鑑賞時の姿勢。正面席は前のめりに座ると後方のお客様の視線をさえぎることになるので、座席の背もたれに背中を付けた状態で座りましょう。バルコニー席は身を乗り出して鑑賞する席になりますが、その際も周囲の方への配慮をお忘れなく。他にも分からないことや鑑賞中に困ったことがあれば、案内スタッフに相談してみるとよいでしょう。

もう1つ歌舞伎の観劇マナーとして気になるのは、服装ではないでしょうか。「伝統芸能=着物に身を包んで観劇する」というイメージがあるかもしれませんが、基本的には歌舞伎鑑賞に決まったドレスコードはなく、長時間座っても疲れないよう普段から着慣れたカジュアルな服装で大丈夫です。もちろん、日本の伝統芸能を装いからも楽しめるよう着物で鑑賞するのも一興でしょう。なお、周囲の方への配慮のため、帽子は開演中には脱いで、香りの強すぎる香水は避けた方がよいでしょう。

会場で快適にお過ごしいただくために/チケット購入方法

公演当日に最低限必要なものはチケットですが、会場内の空調の寒暖の感じ方には個人差があるので、ショールやカーディガンなど軽く羽織って体温調整を行えるアイテムや、咳やくしゃみが出てしまう時に口元を押さえられるハンカチもあると便利。他にも、役者の表情や仕草まで細かく観察できるオペラグラス、公演前後に購入したグッズを入れるエコバッグなど必要に応じて持参しましょう。市販のオペラグラスは持ち運びやすいよう軽量かつシンプルに設計されているため倍率3倍が一般的ですが、大きめの会場や2~3階席で鑑賞する場合は4~10倍程度の高倍率タイプ(あるいは双眼鏡タイプ)がおすすめです。なお、公演によっては会場ロビーでオペラグラスを販売あるいは貸し出している場合があります。
チケットは、おもに各プレイガイドや公演会場のチケットカウンターなどで販売されます。販売方法は公演によって異なるので、詳しくは主催者のホームページをご覧ください。Bunkamura主催公演では、オンラインチケットMY Bunkamuraをはじめ、Bunkamuraチケットセンター(電話)・東急シアターオーブ/Bunkamuraチケットカウンター(店頭)または各プレイガイドでのご購入、ご予約が可能です(詳細はBunkamuraチケットガイドでご確認ください。)。公演によっては学生向けのシートや料金を用意しているものもございますので、公演のホームページでご確認ください。

Bunkamuraの歌舞伎公演はここからチェック!