ツダマンの世界

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    INTRODUCTIONみどころ

    松尾スズキ2年ぶりの新作!!
    小説家ツダマンをめぐる
    狂気のメロドラマ

    「師匠である私から、弟子である君に、悪いお知らせがあるんだ…」

    作・演出を務めるのは、シアターコクーン芸術監督松尾スズキ。2年ぶりとなる期待の新作『ツダマンの世界』では、日本の昭和初期から戦後を舞台に、主人公「ツダマン」を取り巻く人々の濃密な愛憎劇を描きます。

    今回松尾は作・演出のみならず、劇中に登場するオリジナル楽曲の作曲を自ら手掛けます。これまでの公演でも作詞や作曲を行ってきましたが、全編にわたる作曲を自らが手掛けるのは初の試みとなります。

    物語の主人公・ツダマンこと、弟子に翻弄される小説家・津田万治を演じるのは、阿部サダヲ。自己愛と名声欲の強い弟子・長谷川葉蔵には間宮祥太朗。この物語の語り部となる女中・オシダホキには江口のりこ。葉蔵の世話係・強張一三には、村杉蝉之介。劇団員で歌手志望の津田の愛人・神林房枝には笠松はる。葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女・兼持栄恵には見上愛。ツダマンの友人の小説家・大名狂児には、皆川猿時。そして津田万治の妻・津田数には吉田羊。さらに町田水城井上尚青山祥子中井千聖八木光太郎橋本隆佑河井克夫ら実力のある舞台俳優らが集結。

    松尾スズキが描く濃密な人間ドラマ『ツダマンの世界』にご期待ください。

    STORYあらすじ

    小説家・津田万治つだまんじ(阿部サダヲ)家の女中・オシダホキ(江口のりこ)や、縁ある人々からの視点で振り返る、津田万治=ツダマンの半生。それは昭和初期から戦後にかけての物語。

    生まれてすぐ母と離れ離れになり、義母に育てられた万治。十歳で父が他界すると、育ての母からいびられて何かと反省文を書かされたことが彼ののちの文章力につながっていく。万治の小説家人生はそこから始まった。

    地味に小説を書き続ける中、中年にさしかかった頃、ようやく新作が文壇最高峰の月田川賞の候補作に。それを機に、賞の選考委員でもある万治の幼なじみ、大名狂児だいなきょうじ(皆川猿時)が薦める戦争未亡人のかず(吉田羊)と結婚することとなる。だが万治には、劇団の女優にしてカフェで歌も歌う神林房枝かんばやしふさえ(笠松はる)という愛人がいた。また、数との結婚話が進む中、弟子になりたいとやってきたのが佐賀の豪商の三男坊、長谷川葉蔵ようぞう(間宮祥太朗)で、彼のそばには常に世話係で番頭の強張一三つよばりいちぞう(村杉蝉之介)の姿もある。

    やがて大名に続き、万治のもとにも徴用令状が。戦地へと向かうことで人間関係は微妙に変貌し始め、そこに葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女、兼持栄恵けんもちさかえ(見上愛)なども現れ、万治と数と葉蔵を取り巻く人間たちの愛憎関係は、さらに複雑に絡み合っていく……。

    PLAYWRIGHT & DIRECTOR作・演出

    松尾スズキ

    ©細野晋司

    松尾スズキ

    PROFILE

    1988年に大人計画を旗揚げ、主宰として作・演出・出演を務めるほか、小説家・エッセイスト・脚本家・映画監督・俳優など多彩に活躍中。『ファンキー!~宇宙は見える所までしかない~』(97)で第41回岸田國士戯曲賞を、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2008)で第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を、『命、ギガ長ス』(19)で第71回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞。小説『クワイエットルームにようこそ』、『老人賭博』、『もう「はい」としか言えない』は芥川賞候補となった。主演したテレビドラマ『ちかえもん』は第71回文化庁芸術祭賞ほか受賞。20年よりBunkamuraシアターコクーン芸術監督に就任。最近の公演としては『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』(16・作・演出・出演)、『キャバレー』(17・演出)、「日本総合悲劇協会vol.6『業音』」(17・作・演出・出演)、『ニンゲン御破算』(18・作・演出・出演)、『世界は一人』(19・出演)、『命、ギガ長ス』(19・作・演出・出演)、『キレイ-神様と待ち合わせした女-』(00・作・演出、『フリムンシスターズ』(20・作・演出)、『シブヤデアイマショウ』(21・総合演出・構成台本・出演)、『パ・ラパパンパン』(21・演出)、『命、ギガ長スW(ダブル)』(22・作・演出)、『ドライブイン カリフォルニア』(22・作・演出)などがある。

    コメント

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    シアターコクーン芸術監督 松尾スズキ

    松尾スズキ コメント

    昭和の文豪たちの逸話を読むたび“この人たちやってること滅茶苦茶だな”と思うのに、今では人から許され、愛され、尊敬されている。そうやって近代文学というジャンルを切り開いたパイオニアたちが、コンプライアンスという概念がない時代に、意外と狭い世界でもつれあい周囲を巻き込んで愛憎を繰り広げる悲喜劇姿にはエモさを感じるんです。そんな彼らの生き様を、文学に憑りつかれたエリートたちに巻き込まれた名もなき人々への鎮魂の意味も込めて描いていきたい。

    また、個人的には自分の父親が佐賀県にいて原爆のキノコ雲を目にしていたりして、年齢的に戦争というものと地続きのところにまだ自分はいると感じられる今だからこそ、ここで少し戦争の話を書いておきたいという考えもありました。期せずして、まさに戦争が身近に感じられるタイミングになってしまったわけですが。とはいえ、実はちょうど現在のこの紛争が起こった当初、自分はギックリ腰になってしまっていて、それはそれで大変な時期だったんです。個人の中の宇宙とは、現実の戦争に匹敵するほどのカオスでもある。そういうことも今回、書きたいと思っています。実際に戦時中も、まったく関係のないことばかりをのんきに書き綴っていた作家もいて、そういう人たちの中の個人的な宇宙では、きっと戦争はまた別の世界線という認識で捉えられていたはず。とにかくそれぞれの人間の中に広がる宇宙というものは、どでかいんです。振り返ると結局、自分はこれまでそういうことばかり書いている気もしますけど。

    今回、阿部に演じてもらう津田万治という男は、周囲の人たちがみんな極限状況で、直情的に気持ちを表す中、一人だけちょっと何を考えているかわからない、不気味な空洞のような人物。彼に関わる人がみんな、抱く印象がそれぞれ違ってくるような不思議な人物像で、その彼の世界をいろいろな人が口々に語るような話になると思います。

    僕が芝居を作る時にいつも思うのは“人間の頭の中は何があろうと自由だ”、ということ。そして同時に“劇場の中も常に自由でありたい”、ということ。今回はそれを上回り、“日常生活にまで自由が溢れ出してしまっている”、そんな人たちの頭の中を覗ける劇体験をぜひとも味わっていただきたいと考えています。

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    CAST出演者

    • 阿部サダヲ

      阿部サダヲ

      プロフィール

      コメント

      阿部サダヲ プロフィール

      1970年4月23日、千葉県生まれ。
      92年より大人計画に参加。同年、舞台『冬の皮』でデビュー。以降大人計画の舞台以外にも、『シダの群れ』『髑髏城の七人 season鳥』などに主演。2018年に映画『彼女がその名を知らない鳥たち』にてブルーリボン賞主演男優賞、22年にNODA・MAP番外公演『THE BEE』にて読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』、映画『死刑にいたる病』など、多くの話題作に主演。主演映画『アイ・アム まきもと』が9月30日公開。

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      津田万治役阿部サダヲ コメント

      昭和初期の小説家の役を演じるのは、たぶん初めてです。だから、特に引き出しはないんですけど…、なんだか怪しいイメージがあるので、そういうところは松尾さんの世界に合っている気がしますね。ここ最近のシアターコクーンでの松尾さんの作品は、音楽や踊りがあったり、楽器の生演奏が入ったりしていましたけど、今回はどういう演出になるんだろう? すごく楽しみです。小説家の話でこのタイトルだとちょっと暗めな印象ですけど、きっとそこを裏切ってくるんでしょうね。それにしても、松尾さんが描いたチラシの絵。「この人、松尾さんじゃん!」って思ったんですけど、違うんですか?(笑)
      ツダマンは軸を自分で持たずに、人から振り回されている感じがあるけれど、出演者の顔ぶれを見るとそれはそれで楽しそうにも思えます。吉田さんや間宮さん、江口さんたちが松尾さんのセリフをしゃべる姿も早く見たい。松尾さんの舞台が初めての方が多いから、僕、きっと参考にされるんだろうな……だけど「そうはいかないぞ!」と思ってもいます。だって、僕だってこの作品に取り組むのは初めてなんですから。毎回、新作は緊張するしプレッシャーはあるんです。どんな世界観になるのか、まだ僕らはわかりませんが、おそらくいろいろな新しい挑戦が盛り込まれているのではないかと思います。
      どうぞ期待していてください。

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    • 間宮祥太朗

      間宮祥太朗

      プロフィール

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      間宮祥太朗 プロフィール

      1993年6月11日、神奈川県生まれ。
      2008年ドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生〜』で俳優デビュー。以降、映画・舞台・ドラマなどで広く活躍。19年、桜井日奈子とダブル主演を務めた『殺さない彼と死なない彼女』は第32回東京国際映画祭にて特別招待作品として上映された。本年のドラマ『ファイトソング』に出演するほか、『ナンバMG5』『魔法のリノベ』や映画『破戒』で立て続けに主演。

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      長谷川葉蔵役間宮祥太朗 コメント

      僕、松尾さんが監督された映画『恋の門』が以前からすごく好きなので、そういう意味でも今回はお声がけいただいて純粋に嬉しかったです。松尾さんの演出に、どんどん乗っかっていくような気持ちで挑んでいきたいと思っています。物語としては、登場人物たちのそれぞれのナルシシズムと思惑が複雑に交差してこんがらがっているような、今はそんな印象です。混沌としているんだけれど、それを引きで見た時に人間の滑稽な部分が現れて、すごく面白くなるというか。その中で自分が演じる葉蔵は、現金な人間にしていければいいのかな、と。思うこと、行動すること、やることなすことがとても罰当たりな人に思えるんですよね。まだ自分の想像の範囲を出ない話ではありますけど。状況とか、人に対しては甘えながら生きている感覚もある。だけど、小説家になりたいと思う気持ちはわからなくもないんです。自分は葉蔵みたいにお坊ちゃんではなく、裕福でも貧乏でもない一般家庭の出ですけど。ただ、自分が進んでいくレールみたいなものが見えちゃうと、そこから「逸脱したい!」と思う気持ちは、僕にも理解できますから。とにかく今回の舞台に立った時にどんな景色が観られるか、本当に楽しみで仕方がないですし、とてもワクワクしています。『ツダマンの世界』、みなさま楽しみに待っていてください。舞台でお会いしましょう!

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    • 江口のりこ

      江口のりこ

      プロフィール

      江口のりこ プロフィール

      1980年4月28日、兵庫県生まれ。
      2002 年三池崇史監督『桃源郷の人々』で映画デビュー。04年タナダユキ監督『月とチェリー』では本編初主演をつとめ注目を集める。その後、話題作に多数出演。ドラマ『時効警察』シリーズにレギュラー出演し個性を発揮。ベテランから新鋭監督まで多くの監督の作品に出演し活動の場を広げている。21年には、中⽥秀夫監督『事故物件 恐い間取り』にて第44回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞を受賞。本年は舞台『夜の女たち』にて主演のほか、映画『“それ”がいる森』が公開中。

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    • 村杉蝉之介

      村杉蝉之介

      プロフィール

      村杉蝉之介 プロフィール

      1965年9月7日、群馬県生まれ。
      94年より大人計画に参加。舞台のみならず、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のストーカー役や『あまちゃん』のアイドル評論家“ヒビキ一郎”役、『失恋めし』の仕事はダメだが優しい上司“1号”役などドラマでも個性的な役で数多く出演。本年は舞台「日本総合悲劇協会Vol.7『ドライブイン カリフォルニア』」や、ドラマ『私のエレガンス』、『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ 逃走の道』、『刑事7人』に出演。

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    • 笠松はる

      笠松はる

      プロフィール

      笠松はる プロフィール

      1982年1月23日大阪府生まれ。
      2007年に劇団四季入団。初舞台よりヒロインに抜擢され『オペラ座の怪人』『ウェストサイド物語』など約1800回のステージで主演・ヒロインとして活躍。退団後は『フリムンシスターズ』『アニー』など数多くのミュージカル作品に出演するほか、19年には「日本オペラ協会創立60周年記念公演 オペラ『紅天女』」のタイトルロールにてオペラデビ ューするなど、俳優・歌手としてミュージカル、ストレートプレイ、コンサート、オペラと幅広く活躍。

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    • 見上愛

      見上愛

      プロフィール

      見上愛 プロフィール

      2000年10月26日、東京都生まれ。
      19年にデビューし、以降ドラマ・映画・MV・CMと幅広く活躍。21年ドラマ『きれいのくに』に出演し注目を集める。映画『衝動』にて倉悠貴と共にダブル主演、22年にはドラマ『liar』にて佐藤大樹とダブル主演を務め、映画『異動辞令は音楽隊!』にて主人公の娘役として出演するなど活躍中。同年、JRA 年間プロモーションキャラクターに抜擢され、現在CM放送中。ほか、花王「キュキュット」のCMに出演。

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    • 皆川猿時

      皆川猿時

      プロフィール

      皆川猿時 プロフィール

      1971年2月1日、福島県生まれ。
      94年より大人計画に参加。ドラマ『あまちゃん』のコミカルな熱血教師“磯野心平”役、『あなたの番です』の人情派刑事“水城”役、映画『クライマーズ・ハイ』でのアクの強いいやみな新聞社販売局長“伊東”など、あらゆる個性を演じ分ける実力派俳優。本年は「クボタ」のCMや映画『ウエディング・ハイ』に出演。2022年10月から放送のTBS日曜劇場『アトムの童』への出演を控える。

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    • 吉田羊

      吉田羊

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      吉田羊 プロフィール

      2月3日、福岡県生まれ。
      1997年にデビューし、舞台を中心に活動。2015年に報知映画賞やブルーリボン賞、日本アカデミー賞などで数多くの助演女優賞を受賞。16年には第24回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞、昨年には第56回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。本年は主演舞台『ザ・ウェルキン』やドラマ『妻、小学生になる』など幅広く活躍し、映画『沈黙のパレード』と映画『マイ・ブロークン・マリコ』の公開を秋に控えるほか、今後は10月28日からAmazon Prime Videoで配信される『仮面ライダーBLACK』やNetflix映画『クレイジークルーズ』など、ますます活動の幅を広げる。

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      津田数役吉田羊 コメント

      小劇場出身の私にとって、大人計画というのは雲の上の上の上の存在で、いつか自分もここに立てたらという憧れは、漠然と抱いていました。なので、松尾さんの作・演出で、大人計画の俳優さんたちとも共演できる今回のお話をいただいて夢のようです。松尾さんの作品を拝見するたびに感じるのはその眼差しの優しさと温かさ。不器用ながら懸命に生きている人々に自分を重ね「不完全でもいいよ」と背中を押された気持ちに、いつもなります。今回の舞台に登場するのは"ドラマティックな人生"に憑りつかれている文士たち。女も愛も憎しみも生も死も悲しみもすべて小説の糧としてしまう彼らは非道でどうしようもないですが、魅力的な俳優さん達が演じられることを想像するとこれがなかなかに憎めないから困ったものです。それに、俳優も似たようなものか、とも。今回私が演じる数さんは、非常に不幸な境遇にある女性です。無学な故にないがしろにされて振り回される人。実は私、松尾さんからいただいたあらすじにあった数の言葉を読んでボロボロと泣いてしまって。あらすじで泣くなんて初めて。思うに、数さんに自分を重ねてしまったのでしょう。今作はドロドロの愛憎劇ではありますが、やはり人間の弱さや痛みに寄り添う、松尾さんらしい優しさが根底に流れる物語です。一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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    • 町田水城

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