渋谷・コクーン歌舞伎 第十六弾「切られの与三」

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Bunkamura 東京都渋谷区道玄坂2-24-1

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世話物の大長編『切られ与三』を七之助、梅枝で
串田和美がコクーン歌舞伎に新風を吹き込む

美男美女が別れと再会を繰り返す『与話情浮名横櫛』は、「切られ与三」とも「お富与三郎」とも呼ばれる歌舞伎の人気演目の一つ。現在では木更津海岸で二人が出会う「見染め」と再会する「源氏店」が、一番よく上演されるが、その後のお富と与三郎はさらに運命に翻弄されていき、お家騒動もからんだ大長編だ。通し上演が難しいこの作品に真っ向から取り組むのが、今回のコクーン歌舞伎。これまでにも、様々な新しい試みに取り組んで進化してきたコクーン歌舞伎だが、今回は更に新展開をみせそうだ。

与三郎には、花形の女方として活躍が続く中村七之助。七之助はすでにお富は経験しているが、本作で初役に挑む。お富には、コクーン歌舞伎初登場となる若手の成長株、中村梅枝。フレッシュなコンビの誕生に期待が膨らむ。梅枝の弟、中村萬太郎も初参加、そして、中村扇雀、片岡亀蔵、笹野高史など、コクーン歌舞伎を支えて来たメンバーも出演する。

演出は串田和美、上演台本を担当するのは木ノ下歌舞伎を主宰する木ノ下裕一。木ノ下歌舞伎は歌舞伎の現代的な要素や手法を持ち込み、高い評価を得ている注目の集団で、コクーン歌舞伎には、もちろん初めての参加となる。一昨年のコクーン歌舞伎『四谷怪談』を見た木ノ下は、省略と凝縮の絶妙さに感心して、串田との信頼関係も厚い。串田は以前に与三郎を中心として『ヨサブロゥ』(2011年)を上演していて、それだけ深い関心を寄せて来た。串田と木ノ下の間では「世間や周囲の人々に翻弄される与三郎を中心に疾走感を大事にしたい」「ロードムービーのように」「与三郎のたどる人生の変転は現代にも通じる」など、熱い話し合いが続いている。これまで、世話物の名作をわかりやすく上演してきたコクーン歌舞伎。今回はこれまでの多くの蓄積が花開くことになりそうだ。歌舞伎の古典と現代をつなぐ挑戦は、まだまだ続く。

文・沢美也子

あらすじ(原作)Story

江戸の大店の息子、与三郎は木更津の浜で美しいお富と出会い、互いに一目で恋に落ちる。しかし、お富は囲われ者、逢瀬の現場を押さえられ、与三郎は顔も身体もめった斬りにされ、お富は海へ飛び込んでしまう……。

3年後、お富は溺れた自分を助けてくれた男の世話になっている。そこへ蝙蝠安と強請に来たのは、刀傷を売りにする小悪党に変貌した与三郎だった。一度は夫婦になるものの、またまた引き裂かれてしまう二人。ふとした恋が運命を狂わせていく、その先は……。

与三郎に中村七之助、お富にコクーン歌舞伎初出演の中村梅枝という清心な配役で、同じく初出演となる中村萬太郎に、コクーン歌舞伎を支えてきた片岡亀蔵、笹野高史、そして中村扇雀の出演により、名作『与話情浮名横櫛』の真実の姿を浮き彫りにする、コクーン歌舞伎、待望の最新作、『切られの与三』が幕を開けます!

演出・美術Direction & Artwork

串田和美 くしだかずよし

1942年8月6日生まれ。
66年文学座退団後、劇団自由劇場(のちにオンシアター自由劇場と改名)を結成。
以降、演出家・舞台美術家・俳優として数多くの人気作品を生み出している。
85年から96年まで、Bunkamuraシアターコクーンの芸術監督を務め、劇場レパートリー制の導入やコクーン歌舞伎の立ち上げなど、新たな試みで劇場運営の礎を築く。
2003年からまつもと市民芸術館の芸術監督を努める。
05年コクーン歌舞伎第六弾『桜姫』、『コーカサスの白墨の輪』で芸術選奨文部科学大臣賞。
06コクーン歌舞伎第七弾『東海道四谷怪談北番』で第14回読売演劇大賞最優秀演出家賞受賞。08年紫綬褒章、13年旭日小綬章を受章。歌舞伎の演出はコクーン歌舞伎のほかにも、平成中村座の『法界坊』『夏祭浪花鑑』で日本にとどまらずニューヨーク、シビウなど世界中でも賞賛を浴びている。

補綴Prosthesis

木ノ下裕一 きのしたゆういち

1985年7月4日生まれ。
小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。
2006年に古典演目上演の補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。代表作に『黒塚』『東海道四谷怪談—通し上演—』『三人吉三』『心中天の網島』『義経千本桜—渡海屋・大物浦—』など。15年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。16年に上演した『勧進帳』の成果に対して、平成28年度文化庁芸術祭新人賞を受賞。
17年度芸術文化特別奨励制度奨励者。その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。
コクーン歌舞伎には今回が初参加。

木ノ下歌舞伎とは

出演者Cast

  • 中村七之助 なかむらしちのすけ /与三郎

    屋号
    中村屋

    1983年5月18日生まれ。十八世中村勘三郎の次男。86年9月歌舞伎座『檻』の祭りの子勘吉で本名で初お目見得。87年1月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の弟の桃太郎で二代目中村七之助を名のり初舞台。女方の大役を数々勤める花形。今回は立役。コクーン歌舞伎には第四弾『三人吉三』の十三郎で初参加。今回で11回目。

  • 中村梅枝 なかむらばいし /お富

    屋号
    萬屋

    1987年11月22日生まれ。中村時蔵の長男。91年6月歌舞伎座『人情裏長屋』の沖石一子鶴之助で本名で初お目見得。94年6月歌舞伎座『幡随長兵衛』の倅長松ほかで四代目中村梅枝を襲名し初舞台。古風な面差しに品格のある舞台姿が魅力の若手女方として活躍。コクーン歌舞伎には今回が初参加。

  • 中村萬太郎 なかむらまんたろう /伊豆屋与五郎

    屋号
    萬屋

    1989年5月12日生まれ。中村時蔵の次男。94年6月歌舞伎座『道行旅路の嫁入』の旅の若者にて初代中村萬太郎を名のり初舞台。父の中村時蔵、兄の中村梅枝は女方だが、立役として活躍。歯切れの良い台詞回しと、清新で溌刺とした所作が魅力の花形。コクーン歌舞伎には今回が初参加。

  • 笹野高史 ささのたかし
    /下男忠助

    屋号
    淡路屋

    1948年6月22日生まれ。自由劇場に裏方として入り、その後、1年半の船乗り生活を経て、再び俳優として劇団へ。81年退団後は、座友として舞台に立つ。映画、テレビでも個性派俳優として活躍。コクーン歌舞伎には、第三弾『盟三五大切』の徳右衛門同心了心・ますます坊主で初参加。今回が11回目。

  • 片岡亀蔵 かたおかかめぞう
    /海松杭の松五郎

    屋号
    松島屋

    1961年9月15日生まれ。五世片岡市蔵の次男。65年12月歌舞伎座『忠臣蔵』の天川屋義平の一子・由松で片岡二郎で初舞台。69年11月歌舞伎座『辨天娘女男白浪』の丁稚三吉で四代目片岡亀蔵を襲名。独特な存在感が魅力。コクーン歌舞伎には第三弾『盟三五大切』のごろつき勘九郎・出石宅兵衛で初参加。今回で12回目。

  • 中村扇雀 なかむらせんじゃく
    /観音久次

    屋号
    成駒屋

    1960年12月19日生まれ。坂田藤十郎の次男。67年11月歌舞伎座『紅梅曾我』の箱王丸で中村浩太郎を名のり初舞台。95年1月大阪・中座『本朝廿四孝』八重垣姫ほかで三代目中村扇雀を襲名。女方から二枚目の立役まで幅広く演じる。コクーン歌舞伎には第二弾『夏祭浪花鑑』の釣船三婦で初参加。今回で9回目。

  • 中村歌女之丞 なかむらかめのじょう /小笹

  • 中村鶴松 なかむらつるまつ /おつる

  • 真那胡敬二 まなこけいじ /赤間源左衛門