2015.01.22 UP

プロダクションノートVol.4公開!

 

 初日レポート

 原作への愛に満ちたユニークかつ正真正銘の「漫画の舞台化」!

 初日のシアターコクーン。劇場内に入ると、舞台前面、客席との境エリアに、灰をかぶったような白い瓦礫が積まれているのが目に入る。その多くは廃棄されたロボットの部品=彼らの身体の一部だ。プロローグで舞台全面を覆うスクリーンも白紙のような白さで、そこに7つのコマ割りが施され、原作漫画の世界最強ロボットたちの顔がひとりずつ映し出されて、物語が始まった。

  

スクリーンが上がると、今度は、コマ割りされた7つの白いブロックをそのまま縮小したような、7つの白いパネルが登場。これが同系色の衣裳に身を包んだダンサーたちによって、「踊る装置」として機能してゆく。7つのパネル=コマは、壁、テーブル、椅子、階段、墓石など、さまざまな事物に変容してゆくと同時に、頻繁に原作漫画を映し出すスクリーンの役割も果たしている。さらに、舞台後方には上下に3個ずつ並んだ白いボックス型の装置があり、各ボックスで、時に同時に俳優によるドラマが展開。それが漫画の1ページを立体化したかのように見える構造になっている。初めて人間を殺したロボットとして幽閉されているブラウ1589の登場場面にいたっては、原作漫画のコマ割りをそのまま踏襲する(映像・装置を手がけた上田大樹さん談)という凝りようだ(『プルートゥPLUTO』第1巻76ページ参照)。

 

ことほどさように、ラルビは漫画という形態にこだわり、あらゆる方法を駆使して、ユニークかつ正真正銘の「漫画の舞台化」を成し遂げてみせた。根底にあるのは漫画への、そして手塚治虫と浦沢直樹+長崎尚志への深い敬意であることが、明白に見て取れる舞台化だ。

この日は手塚眞さんを始めとする手塚家と手塚プロダクションのみなさん、そして浦沢直樹さんご本人が、観劇に訪れていた。関係者一同、顔がこわばるほど緊張していたけれど、終演後のキャスト・スタッフなど関係者の乾杯の席で、手塚眞さんと浦沢直樹さんからうれしい賛辞をいただき、随喜の涙(心の中で)。ホッと胸をなで下ろしていた(原作者のコメントは改めて掲載します)。

 

 

『TeZukA』の際は、手塚治虫をリスペクトし、本人役を舞台に登場させるほどだったために、当人の不在という現実がより露わになる面もあって、寂寞とした想いがよぎることも少なくなかった。でも、今回は違う。原作者がこうして初日の舞台を観てくれて、一緒に乾杯し、言葉までかけてくださった。この作品の稀に見る幸運度を、感謝せずにはいられない。

そんな多幸感に包まれているところへ、演出助手の長町多寿子さんから、明日の稽古の集合時間のアナウンスが入った。そうそう、この舞台はやっと初日があけたところ。まだまだラルビのエンジンはフル稼働で、変更や追加など乗り越える課題も多々。先は長いのだ。

 

 

 文:演劇ジャーナリスト 伊達なつめ  撮影:小林由恵