CAST

森山未來 as アトム

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

『テ ヅカ TeZukA』で初めてラルビ氏の創造の現場に参加。その身体能力を存分に発揮し、篤い信頼を得た森山未來。"俳優"、"ダンサー"というジャンル分けすら不要となる唯一無二の【表現者】たる存在が評価され、平成25年度文化交流使として本年10月までベルギー・イスラエルで活動。まさにワールドワイドな視野を得ての帰国、そして今作が待望の帰国後新作第一弾!演じるのは、全世界に愛されるAstroBoy、アトム!『PLUTO』におけるアトムの多面性をどのように表現するのか期待が高まります。

  • 『PLUTO』は以前から読ませて頂いていました。自身が敬愛する手塚治虫氏の作品を下敷きにしながら、浦沢直樹氏による大胆でそれでいて緻密なストーリー展開とキャラクター造形の新解釈に非常に興奮したことを覚えています。
    また、文化交流使の活動報告の一つとして『PLUTO』を日本の観客の皆様に提示できることを嬉しく思うと同時に、この作品のクリエーションが、一年を通じて変化してきたであろう自分自身を見つめる良い機会になればと考えています。
    ラルビが『テ ヅカ TeZukA』に続き、日本の漫画を題材に選んで作品を創作する。とても有意義な試みになると信じています。大きなストーリーの流れや社会的なテーマを見せたかと思えば、次の瞬間には原子や分子の世界が繰り広げられたり……ラルビの作品は常にミクロとマクロを行き来しながら、その間に置かれた人間の存在を見せているような気がします。
    『テ ヅカ TeZukA』でのクリエーションを体験して以来、ずっと、もう一度ラルビと何かやりたいという気持ちは持ち続けてきました。今回はいわゆる「ダンス」ではなく、「演劇」をつくることになりましたが、きっと素敵なものができあがるはずです。ラルビの稽古場では、瞬発力も勇気も必要ですが、コミュニケーションを深めてきた今では、自分なりに、難しく考えすぎず、楽に居られる方法も分かってきたので、この『PLUTO』では、前回よりもっと深く、クリエーションに関わっていければいいなと思います。

永作博美 as ウラン&ヘレナ

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

映画、ドラマ等映像作品での活躍はもちろん、舞台での豊かな情感と凛とした姿が演劇ファンの心を掴む永作博美が、キャスト陣の紅一点として参加!不思議な能力を持つウランと、ゲジヒトの妻であるヘレナ、両極ともいえる二役で永作の魅力が最大限発揮されることでしょう。

  • 実は、このお話を頂いた直後に、撮影中のセットの本棚に、原作の『PLUTO』が置いてあるのを見つけて。これはもう「出会いだな」と。原作はすごく面白かったですね。不穏な空気がずーっと流れていて、そのことがかえって「この世界を最後まで見届けたい」と思わせるんです。ラルビさんは、表現しようとするエネルギーにあふれていて、見たもの、感じたことを、誠心誠意、身体の奥底から、そのまま出そうとしていらっしゃるようでした。スッとした佇まいで、何にも害されることなく、自分の世界を創造している。その姿はとても素敵で、これからの稽古で私はどう動かされていくのか、どんなハードルの高い要求をされるのか、ちょっと心配にもなりましたが、それは覚悟するしかない。覚悟しちゃったら、もう、「これから何が起こるんだろう」って楽しみしかないです(笑)。

柄本明 as 天馬博士

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

日本を代表する個性派俳優であり、近年、舞台出演は、自身が主宰する劇団東京乾電池を軸足としている柄本明、まさかの出演決定!!重厚さと軽やかさ、冷静沈着さと共に狂気を感じさせる佇まい…。人間の持つ不可解さまで感じさせるその強烈な個性で、アトムの生みの親であり、ロボットに複雑な想いを抱く天馬博士に扮し、舞台に更なる奥行と刺激を与えます。

  • 子供のころは、僕だけじゃなく、みんな『鉄腕アトム』を読んでましたよ。そりゃあ、そういう時代でしたから。「月刊 少年」を貸本屋で借りてね。でも、今回の舞台のように原作があるものに限らず、古今東西どんな作品も、何かをなぞって真似して作られていくわけでしょう。結局は、誰がどのように演出し、演じても、個人個人の身体を通れば、常にそれぞれに異なった新しいものが現れるはずだと思います。それが生きている、ライブということでもありますしね。芝居はほとんど自分のところの劇団(東京乾電池)にしか出ないから、どんな演出家、作品でも、僕には未知との遭遇です。とにかくやってみなくちゃ分からない。相手がいて、その時その時にやりとりしていくことですから。だからね、常に分からないはずのことを謎解きしようとしてる。僕はずーっと、そういうことをやり続けてるような気がしてます。

吉見一豊 as お茶の水博士

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

誰もが知る人気キャラクターには、緩急自在の頼もしきベテラン、吉見一豊!シニカルで一癖ある役も印象的ですが、大きな包容力でアトムとウランを見守り続けるお茶の水博士に、確かな演技力で生命を吹き込むことが期待されます。

松重豊 as アブラー

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

物語の発端となるキーパーソン、天才科学者であるアブラーを演じるのは、飄々とした佇まいと、滲み出る哀愁…。女性のみならず、大人の男性からも熱い支持を集める、松重豊!!近年は映像での繊細な演技も注目の的ですが、やはり舞台はその長身も更に生き、圧倒的な存在感で観客を魅了します。

  • これまで自分から漫画を買ったことってほとんどなかったんですが、『PLUTO』は手塚さん、浦沢さん、アトム……っていうキーワードが目に飛び込んできて、思わず手にしたんです。1巻の最終ページにやられちゃいましてね。「これはすごいぞ!」と。その魅力はやはり、「普遍的な愛」や「人間とは何か」といったテーマが緻密に描かれているところでしょうか。とても器の大きな作品だと思います。このお話しを聞いて「え!『PLUTO』? しかも舞台で!?」と驚きました。でも、ラルビさんの作品『テ ヅカ TeZukA』の映像を観て、このクリエイターとだったら何か新しいものが生まれる予感がしたんです。ラルビさんはきっと、一筋縄ではいかないアイディアを豊富に持っているはず。この年齢になると出来ない事が増えてくるけれど、「空を飛んでくれ」「走り回ってくれ」と言われたとしても(笑)、それに応えられるだけのものは用意していかなきゃいけないと思っています。

寺脇康文 as ゲジヒト

イラスト©浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館

物語の謎を追う刑事ゲジヒトには、華と実力を併せ持つ、寺脇康文!!地球ゴージャスの舞台やドラマなどで発揮されるエンターテイナーとしての魅力と同時に、ハードボイルドな匂いを放ち、大人の成熟を演じ切る寺脇が、ロボットでありながら自身のアイデンティティを追い求める難役に挑みます!

  • 手塚治虫さんの作品はもちろん、浦沢直樹さんのマンガもすごく好きでよく読んでいましたから、このお話をいただいた時には「あの世界観をいったいどうやって?」と思いましたね。でもだからこそ、作品ができあがっていく過程を一緒に見ていきたいと思ったし、もともと自分が好きな作品の舞台版に携われるのは嬉しいことです。それに僕自身、「地球ゴージャス」という演劇ユニットをやっていますので、何か新しい刺激がもらえるかもしれないという期待もあります。『PLUTO』は、闘うロボットたちの姿を通じ、真っ正面から「暴力を用いない平和はないのか」と問いかける作品です。僕はこの舞台に参加することで、観客の皆さんにはもちろん、世界中に平和を思う強いエネルギーを見せたいです。それが今この作品に取り組む意義だとも思います。また、泣く、笑う、楽しい、悲しいといった感情は、人間なら誰もが持っているはずだけど、今の時代、せっかくの感情をうまく使えない人も多いですよね。だから、少なくともこの作品においては、ロボットの方が人間らしいと言えるのかもしれない。僕も特に意識して「ロボット」を演じるつもりはないし、そんな僕らの姿が、より多くの人に、初めて恋をした時の気持ちや大切な人を失った時の気持ち……そういった感情の大切さを思い起こさせることになれば、嬉しいですね。