制作発表

撮影:大久保惠造

フィリップ・ブリーン氏(演出)

この国で仕事をすること、そして蜷川幸雄さんが芸術監督を務める劇場で皆さんとご一緒出来ることを大変光栄に思います。この作品は、テネシー・ウィリアムズの戯曲の中では、「欲望という名の電車」「ガラスの動物園」のように頻繁に上演されている作品ではありませんが、素晴らしい戯曲です。主人公はテネシー・ウィリアムズが書いた登場人物の中でも繊細で素晴らしく、出演される皆さんと一緒により素晴らしいものを作れるのが楽しみです。この作品の中で描かれている愛や、愛することの難しさなどをユーモアを持ってどう表現するか、皆さんとコラボレーションする精神でつくり上げていきたいと思います。

大竹しのぶさん

以前、テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」に出演した時は、やってもやりきれずどこまで追求すればいいんだろうと思う毎日でしたが、久しぶりに新たな作品に出演できることを嬉しく思います。フィリップさんが私たちをどこに連れて行ってくれるのか楽しみで、すごくおもしろい作品になる予感がしています。観劇する人が刺激的な時間を過ごせる、心地よい疲労感の残る芝居にしたいと思います。次の日から日常に戻るとしても、劇場は本来そのような場所であることを伝えたいです。蜷川さんや栗山(民也)さんとご一緒するときはある一定の信頼関係をもってやらせていただいていますが、フィリップさんとは初めてご一緒するので、久しぶりに初めての演出家の方と向き合うトキメキを感じています。いっぱい話をして刺激的な稽古にしたいですね。

三浦春馬さん

この作品でストレートプレイを初めて経験させていただきます。諸先輩方の中で自分とも作品とも向き合える機会をいただきました。こんな機会は一生の中であるかないかだと思うので、一瞬一瞬を大切にして行けたらと思います。フィリップさんとお話しさせていただいたのですが、とてもユーモアがあり、この作品に対する哲学を持っているなと感じました。お話し好きのようなので、ずっとお話をされていますが、センスがあり聞き入ってしまいます。役やテーマの話から、人としてどうあるべきかなども話せたらと思います。遠慮せずに先輩方の胸を借りてがんばりたいです。

水川あさみさん

私は舞台の経験は浅く、正直今は不安な気持ちでいっぱいです。私が演じるキャロルは、自分を表現しようとすればするほど世間から遠ざかる、心が飢えていないと出来ない役です。今どのように役作りをしたらよいか自分の中で模索中です。からっぽになって、飢えた気持ちで演じられたらと思います。フィリップさんの第一印象は かわいいくまさん (笑)。稽古はわからない事ばかりなので、導いてほしいと思います。

三田和代さん

最初にこの作品を読んだと時は日本人にできるのかなと心配になりました。ですがとてもわかりやすく、三浦さんがギターを弾いて歌うシーンもあり楽しいと思います。"溜息"とか"息の詰まり"など1人1人の息がドラマになって、お客様に伝わっていく生々しい作品です。私の役はラブストーリーを悲劇に変える役なので、なぜいるのかをお客さんに伝え、躍動的なラブストーリーを作って行きたいです。フィリップさんの若さが魅力だと思うので、若い感覚のいい刺激をもらいたいと思います。