奔放な想像力、疾走感溢れる筆力で、 予定調和を破壊する奇才小説家古川日出男が 蜷川幸雄に書き下ろす渾身の戯曲!
作:古川日出男×演出:蜷川幸雄
2014年1月9日(木)~2月1日(土) Bunkamuraシアターコクーン
これは、清濁の血を併せ持つ伝説の熊猟師と、熊、そして犬との聖なる戦いの物語。
熊猟師の子孫である川下兄弟の愛憎が100年の時を越えて絡み合う。兄とじゃれあいながら、実に楽しそうに笑う弟、その名は川下多根彦。
ライフル競技でオリンピック代表に選ばれた自衛隊員の兄、川下一を尊敬し、競技に熱中する兄の代わりにエリートとして育ち、家訓である[25歳で一子を設ける]を実践せんとしている。兄弟が海をながめるその港は、かつて、越後から放たれる石油が積み出されていた―。
そして語られ始めるのは、100年前の<欲望するエネルギー>石油の物語。
祖先である<伝説の熊猟師>の自然に翻弄されながらも全てを司るような視点と、兄弟の視線が交差する。
絶対の信頼で結ばれていた兄弟の前に、ひとりの奇妙な女が現れる。多根彦の婚約者、女詩人のひばりである。
惹かれあう一とひばり。兄弟の絆が揺らぎ始める。その揺らぎは時空を超え、日本の歴史の暗部に光をあてることに―。
北陸の吹雪のその先に見えてくるものは、兄弟の邂逅なのか。それとも―。