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Bunkamura25周年記念 渋谷・コクーン歌舞伎 第十四弾 三人吉三

作:河竹黙阿弥 演出・美術:串田和美 かつてないコクーン歌舞伎が幕を開ける!

2014年6月6日(金)~6月28日(土) Bunkamuraシアターコクーン

串田和美が思いを語る

第二次コクーン歌舞伎、いよいよ始動
演出の串田和美が思いを語る

 一昨年の『天日坊』から2年、待望のコクーン歌舞伎が上演される。演目は『三人吉三』。コクーン歌舞伎では3回目の挑戦となる。第一弾から20年の節目に、演出家、串田和美は思いを新たにしている。

 「『天日坊』には、中村勘三郎さんは出ていなかったけど、存在としては大きかったし、亡くなってからは、コクーン歌舞伎の方向性をどうするのかが僕の課題になりました。いわば〝第二次コクーン歌舞伎?の姿勢をちゃんと考えなくてはいけないと。制作スタッフとも話し合いをしてきました。作品選びだけではなく、作り方の問題も含めてね。この 20年で歌舞伎の習慣を変えたことはいろいろあるんだけど、もっと徹底してやっていこうと思っています」

 今回の『三人吉三』では、中村勘九郎、中村七之助、尾上松也を中心に新しい出演者が多くなる。

 「勘九郎君と七之助君は『三人吉三』に出ているし、コクーン歌舞伎のことはよく分かっていると思う。松也君は一度、博多座で『夏祭浪花鑑』に出ていて、初めてじゃないので、心配はしていません。笹野高史さんと片岡亀蔵さんは2回目に続き入ってもらいますが、あとは全部新しい人になるので、相当違うものになっていくだろうし、原作からもう 一度読み直して、検討することをきちんとやっていこうと思っています」

 1回目の『三人吉三』では、水を張ったり、回り舞台を使ったりと斬新な演出で、話題となった。常に新しい試みがあるのはコクーン歌舞伎の特徴で、期待される部分でもある。

 「長く続く習慣を変えるのは革命みたいなものだから(笑)、いろいろ大変でした。衣裳も決まりがあるんだけど、それも変えたし。振り返れば、かなりの緊張感の中で作ってきた気がする、いつも。だんだん認知されるようになって、最近ではトランペットなんか 使っても、文句を言われないけど。ただの賑やかしとか話題作りでやっているわけではなくて、演劇的な本質の表現として一番いいと思う方法をやっているだけなんですね。だか ら今回も、無理に変えるのではなく、変えるところ、元のままでいいところが出てくると思う」

 串田が作品の本質に寄り添いつつ、演劇的な面白さを追求する姿勢は現代劇でも歌舞伎でも変わらない。

 「20年やって来て、歌舞伎と僕の作り方と、お互いに受け入れあったのは、歌舞伎の荒唐無稽さとか、文学的にはちょっと軽視されがちな要素の中に、演劇的面白さがあるからだと思う。歌舞伎の本質にあることは、僕が考えていたことと共通してたんだなと。それは、『もっと泣いてよ、フラッパー』を、もう1回やったことで、最初に僕らが何をやろ うとしていたかを思い出すことにつながってるんですね。戯曲、つまり文学性に頼らないで、ある意図を持ってコラージュの手法を使うことで、全体としては、ある世界が見えてくる。それも演劇の面白さであって、歌舞伎でも同じじゃないかと思っていて、意図的にやる要素と、ただ習慣になっている部分を整理しようと思っている。もちろん、これまでやってきたように、登場人物の背景をきちんと掘り下げることはしていきます。その上でもう少し奇想天外さ、自由さみたいなものを、やりたいなあと。できるかどうかは分からないけど」

 具体的にどんなものになっていくかは、まだこれからの作業だが、串田はひとつヒントをくれた。

 「予感として、世間からはじき出された人たちの話なので、彼らを嫌ってはじき出した平和な世間というものがあることは確かですよね。そうした世間というものが見えるようにしたいなと。それがシーンとして出てくるのか、吉三たちを通して見えるのかはわからないけど。世間からはじき出された人たちの物語を作りたいね」


取材・文:沢美也子