2025.10.22 UP
第3回:「クレマン」のすすめ〜スパークリングワインを日常に
シュワシュワという音とともに絶え間なく微細な泡が立ち上るスパークリングワイン。場がぱあっと華やぎ、気持ちも高揚します。この泡の正体は発酵によって生まれる炭酸ガス。ワインに溶け込んでいるガスが抜栓によって瓶内の圧力から解放され、泡となって姿を表すのです。白ワインやロゼワインをベースに造られるので、すっきりとした爽快感や泡によるなめらかな口当たりが魅力。乾杯やアペリティフにはもちろん、リフレッシュしたいときにもぴったりですね。

古城が点在するロワール地方も発砲ワインの産地
中世のヨーロッパでワインが普及した背景は修道院と関係が深く、スパークリングワインも同様。16世紀前半に南仏のカルカッソンヌにほど近いリムー村で、ベネディクト派の修道士が瓶内で再発酵した発泡ワインを発見し、これが最古のスパークリングワインといわれています。その約100年後、シャンパーニュ地方でドン・ペリニヨン修道士が瓶内二次発酵方式と呼ばれる製法を大成させ、スパークリングワインの生産と品質に革命をもたらしたことを知る方も多いでしょう。スパークリングワインは今や世界各国で造られていますが、このように始まりはフランス。長い歴史とともに発展し、人々に食の楽しみと喜びを与えてきました。

ペティヤンと呼ばれる微発泡のワインは、一度発酵を止めて瓶の中で再発酵させる古代製法で造られたもの。タンク内で2度目の発酵を行うシャルマ方式はイタリアが発祥で安定した質と量を生産できます。今回おすすめするのは、フランスが誇る瓶内二次発酵のスパークリングワイン、「クレマン(Cremant)」。アルザスやロワール、ブルゴーニュなどシャンパーニュ以外の産地で造られ、地域ごとにブドウ品種や熟成期間などの規定を守って生産されるので品質はお墨付き。手間暇かけて造られたフレッシュな味わいとフレンドリーな価格で、まさに親しみやすいスパークリングワインです。タイミングを選ばず、デイリーの食卓やふとシュワシュワしたくなったときに、気軽に開けたいもの。乾杯やお疲れ一杯を、「とりあえずクレマン」にシフトしてみてはいかがでしょうか?
今回の“おいしい”クレマン
発泡ワイン誕生の地はシャルドネの適地
クレマン・ド・リムー クロズリー・デ・リ NV / アルトニャック
750ml ¥3,190
産地:ラングドック
ブドウ品種:シャルドネ60%、シュナン・ブラン30%、ピノ・ノワール5%、モーザック5%
リムーは最古のスパークリングワインの産地。粘土石灰質土壌のエレガントなシャルドネを主体に、伝統品種のモーザックをブレンド。
アルザスの新星がひたむきに造る泡
クレマン・ダルザス NV(2021) / ルイ・モーラー
750ml \4,180
産地:アルザス
ブドウ品種:ピノ・ブラン70%、リースリング20%、ピノ・ノワール10%
バイオダイナミック農法でブドウを栽培し、ブドウ果汁で再発酵を促すナチュラルな造り。黄色いフルーツのニュアンスのジューシーな旨みがたっぷり。
心躍るロゼ色のスパークリングワイン
クレマン・ド・ロワール・ブリュット・ロゼ NV / ラングロワ
750ml ¥3,410
産地:ロワール
ブドウ品種:カベルネ・フラン72%、ピノ・ノワール28%
ロワール地方の黒ブドウを使用した、チャーミングながら骨格のあるロゼスパークリング。ときを選ばず飲みたい。
※記載価格は税込。2025年7月時のものです。
本連載はBunkamuraドゥマゴ文学賞が発行する小冊子「LES DEUX MAGOTS PARIS Littéraire」にて掲載しています。
取材・文:谷宏美
