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フェルメールからのラブレター展 コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ

ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer 《手紙を読む青衣の女》 "Girl Reading a Letter" 1663-64年頃 油彩・キャンヴァス アムステルダム国立美術館 c Rijksmuseum, Amsterdam. On loan from the City of Amsterdam (A. van der Hoop Bequest)

2011年12月23日(金・祝)-2012年3月14日(水)

Bunkamura ザ・ミュージアム

17世紀の手紙事情

17世紀オランダでは、市民たちの識字率の高さと、郵便制度の飛躍的な発達にともなって、手紙のやり取りが普及した。
当時はまだ「封筒」を使わずに、一枚の紙を折りたたみ、表面に送り先を書き込み、中面に本文をつづるのが一般的だった。蝋を炎で溶かし、紙の上にスタンプで刻印する「封蝋」を用いることによって、手紙を受け取る本人しか、それを開けることができない、つまり「個人文書」のやり取りが可能となったとされている。
手紙のやり取りができるようになって、仕事のやり方、人との付き合い方などに劇的な変化が訪れた。自分の気持ちを整理して紙にしたためるという行為そのものが、人々にとっては新しいことであり、感情や気持ちに対する意識にも変化があらわれた。
オランダの室内画でも、手紙をテーマにしたものが人気を博し、絵画の新しいジャンルにまで発展した。フェルメールも6点におよび手紙の作品を描いていることからも、「手紙の流行」という時代の強い影響の中で絵を描いていたことがうかがえる。

<ラブレター文例集>

手紙の流行にともない、17世紀のオランダでは「手紙の文例集」が相次いで刊行された。商売の盛んなオランダだけあって、職種別のビジネスレターの書き方、そして季節の挨拶やお礼状の文例が礼儀作法のあり方とともに 綴られている。「ラブレター」の文例は、そのなかでもひときわ多く、「年が離れた相手」や「身分違いの相手」など、状況を細かく分けたものや、「順調な恋の相手」「交際の申し込みを断る」ものなど、あらゆる恋のパターンが想定されていた。