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2024.06.19 UP

コラム

【コラム】「渋い」をたしなむ~和菓子で涼やかに~

6月水無月(みなづき):June

さわやかな5月も終わり、梅雨の時期になりました。今年は例年より梅雨入りが遅れていて、関東では統計史上最も遅い梅雨入りに並ぶ可能性もあるそうです。

6月の和風月名は“水無月”。これと同じ名前の和菓子があります。ういろう生地の上に小豆をのせた三角形の「水無月」は、京都の夏の定番。最近では関東の和菓子屋さんでもよく見かけるようになりました。


白ういろうだけでなく、抹茶や黒糖のういろうを使ったものなど、お店によってさまざま。

その昔、宮中では氷室(ひむろ:山間部などに穴を掘るなどして作った施設)に貯蔵していた氷を口にして暑気払いしていました。清少納言は『枕草子』の中で、<あてなるもの=上品なもの>として「削り氷にあまづら入れて…」と「削った氷に甘い蜜をかけたもの」をあげており、これが日本最古の「かき氷」の記述とも言われています。

冷蔵庫がない時代の氷は大変な高級品ですから、庶民が口にする機会はありません。時代が下がりこの風習が民間に伝わると、氷のかたちを模した菓子を食べるようになったのだとか。
「水無月」の三角は氷片に見立てて涼やかさを表し、小豆の赤い色には邪気を払う魔除けや厄除けの願いがこめられています(豆は“魔滅”に通じるとも)。小豆は栄養価も高いため、夏バテ予防に食すのに丁度良かったのかもしれません。

京都では「水無月」は「夏越の祓(なごしのはらえ)」に合わせて食べる行事食として親しまれていて、さまざまな種類の「水無月」が店頭に並ぶのだそう。
「夏越の祓」とは、6月30日に全国の多くの神社で執り行われる神事で、<茅(ち)の輪くぐり>や<人形流し>などが行われ、半年間に心身についた穢れを落とし、残りの半年の息災を祈願します。
茅の輪の設置期間は神社によって異なりますが、もし、お近くの神社で、茅(かや)を束ねて大きな輪にした茅の輪を見かけたら、ぜひくぐってみてください。この輪をくぐることで身を清められるそうです。

季節の変わり目でもあるこの時期、無病息災や家内安全を祈りつつ、暑気払いには目に嬉しく食べて美味しい和菓子を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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