「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」特別企画
『フランスを楽しむ一冊』第3回
2020.07.22 UP
Bunkamuraドゥマゴ文学賞ホームページで展開中の「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」。
「ドゥ マゴ パリ祭」にちなんで、様々な書店の方から“フランス”をキーワードに、おすすめの一冊を選書いただきました。フランスの食、生活、文化についての文学作品や注目のフランス作家、フランス語の絵本など……書籍を通してフランスに旅してみてはいかがでしょうか?
<第3回>
『ロベール・クートラス作品集 僕の夜』
ロベール・クートラス エクリ
ブックショップ ナディッフモダン 飯塚 芽
現代のユトリロとも評された1930年パリ・モンパルナス出身の画家、ロベール・クートラス。
私はとりわけ彼が6000枚あまりつくったといわれる“carte”(カルト)の作品が大好きだ。
彼は街で拾ったボール紙を切り、手札大のカードにしてそこに絵を描くことに没頭し、毎夜それは続いたといわれているので、この一連の作品群を“僕の夜”と名付けたようである。
画材を買えないほど貧困に苦しみながらも、きっとこのカルトを描く時間は、彼にとって
自らの絵の中の劇場世界で遊んでいる素敵な時間だったに違いない。
私は今日もそんな彼の絵の中の世界に逃避し、また日常の世界に戻ってくるという体験を繰り返している。
―――――――――
絵画、彫刻、映画、写真だけでなく、音楽や建築など視覚芸術にとどまらない20世紀の芸術を幹とし、人・時代・場所を支点として好奇心の枝葉が広がっていくように、文学やライフスタイル系の書籍、絵本やデザイン雑貨なども集めた樹木のような書店。
http://www.bunkamura.co.jp/bookshop/
―――――――――