N響オーチャード定期

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2025.04.01 UP

【第133回】公演の聴きどころ

若い世代を代表する指揮者の一人、川瀬賢太郎がN響オーチャード定期に初登場!
現在40歳の川瀬は、2014年に弱冠29歳で神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任。2023年から名古屋フィルハーモニー交響楽団の音楽監督を務めている。第133回は、<Dance Dance!>をテーマとした2024/2025シリーズの最終回にふさわしく、マルケスの「ダンソン 第2番」、ピアソラのバンドネオン協奏曲「アコンカグア」、ヒナステラのバレエ組曲『エスタンシア』、バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」という、身体を動かしたくなるような音楽が並ぶ。マルケスはメキシコ、ピアソラはアルゼンチン、ヒナステラもアルゼンチンとまさにラテン系。バーンスタインはアメリカ人だが、『ウエスト・サイド・ストーリー』にはマンボやチャチャチャなどラテン系の音楽が使われている。
マルケスの「ダンソン 第2番」は、この半世紀の間に書かれたクラシック音楽のなかで最もヒットした曲の一つであろう。タンゴの革命家、ピアソラは、クラシック音楽も学んでいたが、バンドネオン協奏曲「アコンカグア」は彼の最も有名なオーケストラを使った作品である(「アコンカグア」は南米最高峰の山の名前で、出版社によってそのタイトルが付けられた)。第2楽章のバンドネオンのソロが心にしみる。日本を代表するバンドネオン奏者、三浦一馬のソロが非常に楽しみである。ヒナステラのバレエ組曲『エスタンシア』の第4曲「マランボ」はまさにノリノリの音楽。川瀬賢太郎がN響をどれだけのせるのか、興味津々だ。そして、バーンスタインのミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』についてはここであらためて説明をする必要がないであろうが、そのダンス・ナンバーを集めた「シンフォニック・ダンス」はオーケストラの魅力が披露される名曲だ。これからの日本の音楽界を担うマエストロとN響のコラボレーションに注目である。


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文・山田治生(音楽評論家)