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2024.10.15 UP
第131回は、2025年の幕開けにふさわしいシュトラウス・ファミリーの音楽によるニューイヤー・コンサート。指揮は、ウィーン生まれで、N響オーチャード定期には三度目の出演となる、サッシャ・ゲッツェル。喜歌劇『こうもり』序曲、「南国のばら」、「ウィーンかたぎ」など、ヨハン・シュトラウスII世の定番といえる名曲が楽しみだが、その弟のヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「うわごと」やポルカ・マズルカ「とんぼ」などの美しい作品が演奏されるのもうれしい。そのほか、ゲッツェルが近年熱心に取り上げている、ウィーン生まれの作曲家、コルンゴルトの作品にも注目である。コルンゴルトは、11歳で書いたバレエ『雪だるま』がウィーン国立歌劇場で上演されるなど、神童として騒がれたが、1934年にナチスを逃れてアメリカに渡り、以後はハリウッドで映画音楽の作曲家として大活躍した。1957年に書かれた「シュトラウシアーナ」は、ポルカ、マズルカ、ワルツからなる7分ほどの作品。コルンゴルトの“ワルツ王”ヨハン・シュトラウスII世へのオマージュであり、故郷ウィーンへのノスタルジーが感じられる優美な音楽である。 ニューイヤー・コンサートには、かつてカラヤンが名ソプラノ、キャスリーン・バトルを招いたように、華やかなゲストが必要である。このコンサートには、韓国出身の若き名花、ヘラ・イェサン・パク(ソプラノ)が登場する。彼女は、ジュリアード音楽院で学び、既に、メトロポリタン歌劇場、バイエルン州立歌劇場など、世界的なオペラハウスで活躍している。名門ドイツ・グラモフォンからアルバムもリリース。今回は、喜歌劇『こうもり』よりアデーレの2曲のチャーミングなアリアが披露される。 ゲッツェルは、ウィーン国立歌劇場などで活躍し、現在は、フランス国立ロワール管弦楽団の音楽監督を務めている。ますます世界から注目されるマエストロとNHK交響楽団による、華麗でエレガントなニューイヤー・コンサートが待ち遠しい。
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文・山田治生(音楽評論家)
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