TOPICS
2022.12.28 UP
3月の演奏会のテーマは「イタリアの幻想」。19世紀イタリアを代表する作曲家&ヴァイオリニスト、パガニーニの名作、ヴァイオリン協奏曲第1番、チャイコフスキーがイタリアに滞在した際に受けたインスピレーションから書いた「イタリア奇想曲」、そしてイタリアのヴェローナを舞台として書かれたシェイクスピアの悲劇に基づく、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」から第2組曲が演奏される。 超絶技巧が求められるパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番で独奏を務めるのは、今最も注目されている若手ヴァイオリニストの一人である、HIMARI(2011年生まれ)。既にモスクワ・フィルやロシア・ナショナル・フィルなど内外のオーケストラと共演を重ねる若き天才のN響オーチャード定期デビューは注目である。 指揮のケリ-リン・ウィルソンは、カナダのウィニペグ出身で、ジュリアード音楽院で学んだ。ロサンゼルス・フィル、サンフランシスコ交響楽団、バイエルン放送交響楽団などのメジャー・オーケストラを振るだけでなく、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、コヴェントガーデン王立歌劇場など、世界の一流オペラハウスにも客演。2014年には新国立劇場で「蝶々夫人」を指揮した。 また彼女のルーツはウクライナにあり、ロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナの人々をサポートする目的で、ウクライナからの亡命音楽家、ウクライナのオーケストラの奏者、ヨーロッパのオーケストラのウクライナ出身の奏者たちと、ウクライナ・フリーダム・オーケストラを組織して、ロンドンのBBCプロムス、エジンバラ国際音楽祭、ニューヨークのリンカーン・センターを含む、欧米ツアーを行い、大きな成功を収めた(日本でも、2022年7月のワルシャワでの創立演奏会の模様がNHKで放送され話題となった)。昨年のインタビューでも、大好きな作曲家として、チャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなどを挙げていたので、今回のプログラムが非常に楽しみだ。
文・山田治生(音楽評論家)
TOPICS一覧に戻る
Tweet