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2022.09.30 UP
次回のN響オーチャード定期は、「ウィーンのニューイヤー」と題して、2023年の開幕を祝う。ウィーンのニューイヤーといえば、もちろん、ヨハン・シュトラウス2世ら、シュトラウス・ファミリーのワルツやポルカが思い浮かぶ。ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「美しく青きドナウ」や喜歌劇「こうもり」序曲は定番中の定番。ヨハンの弟であるヨーゼフは、兄に勝るとも劣らないメロディ・メイカーとしての才能を持っていた。ワルツ「天体の音楽」では、ヨーゼフの美しいメロディを堪能することができる。 ヨハン・シュトラウス2世は、”ワルツ王”と呼ばれているが、オペレッタ(=喜歌劇)の人気作曲家でもあった。このコンサートでは、日本を代表するプリマドンナの一人であるソプラノの砂川涼子とウィーンで学びまさに今が旬といえるテノールの宮里直樹がウィンナ・オペレッタの名曲を歌うのも楽しみだ。ヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「ヴェネツィアの一夜」からのアリアのほか、彼の後の時代を代表するオペレッタ作曲家、レハールの喜歌劇「メリー・ウィドウ」の有名な二重唱、喜歌劇「ジュディエッタ」や喜歌劇「ほほえみの国」からのアリアが聴けるのがうれしい。ジーツィンスキーの「ウィーン、わが夢の街」はウィーンを讃える美しい歌。 今回の「ウィーンのニューイヤー」では、ウィーンのシュトラウス・ファミリー出身ではなく、ミュンヘン出身のリヒャルト・シュトラウスのウィーンゆかりの作品も取り上げられる。歌劇「ばらの騎士」は18世紀ウィーンの貴族社会を舞台とするオペラ。その華麗なオペラの名場面をオーケストラ用に編曲した組曲が演奏される。指揮は、ドイツのリューベック歌劇場音楽総監督などを歴任し、現在は神奈川フィルの音楽監督を務める沼尻竜典。オペラもコンサートも経験豊富なマエストロが、リヒャルト・シュトラウスの音楽を得意とするNHK交響楽団からゴージャスなサウンドを引き出すに違いない。
文・山田治生(音楽評論家)
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