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2024/2025 SERIES
第
131
回
ヘラ・イェサン・パク
今回の公演で独唱を務めるヘラ・イェサン・パクさんに、メールでインタビューしました。
©Bruno Grandi
どうして歌手になろうと思ったのですか?子供の頃からオペラはお好きでしたか?
音楽は私が生まれる前から私の一部分であったと私は思っています。母は、私がおなかにいるときに音楽を聴いていると、私が既に音楽が大好きであるかのようにリズムに合わせておなかを蹴っていたと言っていました。子どもの頃、私は合唱団に入り、みんなと歌うのが大好きでした。でもある日、特別なことが起こりました。私はソロを歌わなければならなくなり、私は緊張して、歌い終えられずに、泣きながら舞台から走り降りたのでした。母は私を抱きしめて、私に「大丈夫よ、嫌なら歌わなくていいのよ」と言いました。でも、泣いてはいましたが、私は母に音楽をやめさせないで、歌うのだけはやめさせないでとお願いしました。私は舞台に戻り、歌い終え、もう振り返りませんでした。その日以来、私は一所懸命音楽を勉強するようになりました。その猛勉強によって、私は今ある私になりました。
私が真剣にオペラの世界に入り込んだのは、高校生になってからでした。父がオペラのDVDセットを買ってきてくれたとき、オペラという芸術の魔法を本当に感じるようになりました。プロダクションの複合性、物語の感情的な深さ、声の力に私は完全に魅了されました。でも、私にとってのオペラの意味やオペラがどれだけ私自身の表現を可能にしてくれるのかを本当に理解したのは20代になってからですね。
今回は「こうもり」からアデーレの2つのアリアを歌ってくださいますね。
ヨハン・シュトラウス2世の音楽は、特にウィーンでの新年のお祝いの象徴的なものとなっています。ウィーンでは、新年に彼の作品が、希望や喜びや新たな始まりの約束をもたらすものとして演奏されます。アデーレのアリアは、その精神を完璧に表しています。人生の豊かさ、ユーモア、生きることへの喜びです。マエストロ・ゲッツェルがアデーレのアリアをすすめてくださったとき、私のリリックな声にはチャレンジになるだろうと思いましたが、心からその準備にあたることを楽しんでいます。これらのアリアは、私を芸術的に後押ししてくれるだけでなく、楽しみにも満ちています。私の歌唱で多くの人々に幸せがもたらされるように心から願っています。
アデーレのアリアの魅力を教えてください。
アデーレのアリアが楽しいのは、それらがいろんなキャラクターやエネルギーで満載だからです。それらはお芝居のようでいたずらっぽく、そのことによって単なる声楽的な挑戦だけではなく、演劇的な挑戦にもなっています。私は、アデーレの個性がすべての音符を通して輝いているのが大好きなのです。私は、彼女がチャーミングで、自信家で、面白い人だと思いますし、それを舞台で実現するのはかなりスリリングだと思っています。音楽的に言えば、シュトラウスは、アデーレにキラキラのメロディを歌わせて、彼女の性格に楽天性をもたらしています。アデーレのアリアを歌っていると、聴衆のみなさまと純粋に祝福された瞬間を共有している気分になります。私たちに笑いや人生の楽しみや深刻になり過ぎないことを思い出させる素晴らしい魅力があると思います。
好きなオペラは何ですか?
素晴らしいオペラがたくさんあるので選ぶのは難しいのですが、私の心の中では『椿姫』が特別な位置をしめています。ヴィオレッタの役は、声楽的にも感情的にもとても深く、演じるたびに新たな発見をします。それから、『フィガロの結婚』が、ウィット、エレガンス、美しいアンサンブルがあり、歌うのも見るのも好きです。ほかには、グノーの『ロメオとジュリエット』。ロマンティックで抒情的な美に溢れています。これらのオペラが感情の幅広さや物語の表現方法を私に教えてくれるからこそ、私にとってオペラは魔法のようなものなのです。
今回の演奏会が日本デビューだと聞きました。日本の聴衆へのメッセージをお願いします。
日本は常に地理的にも文化的にも近く、それが私にも大きな影響を与えています。私がクラシック音楽を勉強し始めたとき、日本は、いつも偉大な歌手たちを招き、素晴らしい公演をしている場所で、そのことが私に大きな刺激を与えてくれました。最も鮮明に記憶に残っているのは、マリア・カラスの日本公演の映像です。私はそれらを数えきれないほど見ました。
私の叔母は日本の男性と結婚していて、私は子供の頃から何度も日本に来ています。でもこれまで日本で歌う機会はありませんでした。なので、私は日本デビューにとてもわくわくしています。NHK交響楽団とともにそのような経験ができることを本当に楽しみにしています。
今回は、私のプロの歌手としての初めての日本訪問で、とても興奮しています。私は、遂に、日本で歌い、皆様と時間をともにできることに本当に心が躍っています。日本のみなさんの温かい歓迎に対して心からの感謝を表したいと思います。日本のみなさんのクラシック音楽へのサポートに私は深く感銘を受けていますし、私の歌がみなさんに喜びをもたらし、音楽の美を通して私たちが結びつくことを望んでいます。みなさんとこの経験を共有することを楽しみしています。そして、これが、私のより数多くの日本での公演の最初となることを願っています。ありがとうございます。
インタビュー:山田治生(音楽評論家)
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