N響オーチャード定期

2020-2021 SERIES

112

森麻季

第112回で独唱を務める森麻季さんにメールでインタビューしました。

© Yuji Hori

今回歌われる4曲はどのように選ばれましたか?
N響の皆様とのニューイヤー・コンサートということで、私にとっては大変光栄で、とても嬉しくもあり、コロナ禍で大変だった一年を振り返りながら、聴いてくださる皆様にとって、新年がより良い一年に、より素敵なものになるような音楽がお届けできればと思って、選ばせていただきました。
ニューイヤー・コンサートに相応しい、優美で、華やかで、美しいメロディのフランス・オペラのアリアや甘美なウィーンのメロディをお楽しみいただければと思います。
 
N響オーチャード定期には、これまで2度出演されていますね。今回の演奏会で楽しみにしていることを教えてください。
2014年にはミハウ・ドヴォジンスキー・マエストロと、2018年にはサッシャ・ゲッツェル・マエストロと共演させていただきました。それぞれの素晴らしいマエストロのお導きのもと、オーチャードホールの格別な響きの中で、N響の皆様の至極のハーモニーに包まれて大好きなアリアなどを歌わせていただき、とても幸せな時間を過ごさせていただきました。
今回はコロナの影響で、ベルトラン・ド・ビリー・マエストロの来日が叶わなくなり、代わりに渡邊一正マエストロとご一緒できることになりました。マエストロがどんなお導きをしてくださるか、今からとても楽しみです。
 
コロナ禍で自粛生活を強いられていたときは、どのように過ごしてられましたか?
2月の終わりから5ヶ月間コンサートなどが出来なくなり、この先がどうなってしまうのか、いつ再開できるのか全く分からず、とても不安な毎日でしたが、その中で私に出来ることとして、弾き語りで演奏をSNSに配信したり、無観客でのライブ配信なども行いました。
いつも通りに演奏活動が出来なくなって、お客様と素晴らしいホールの響きに包まれて音楽を共有できることがどれほど幸せで価値のあることか、改めて身に染みました。
 
演奏会再開後のご活躍が顕著ですね。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)とのバッハの「マタイ受難曲」やヘンデルのオペラ「リナルド」にとても感銘を受けました。
8月にはBCJの皆様と「マタイ受難曲」を歌わせていただき、コロナ後初めてオーケストラと合唱とのアンサンブルを再開することができました。医療チームも参加してくださり、演奏家たちも感染予防を学び、徹底しながらの公演となりました。久しぶりにホールの響きの中でオーケストラや合唱のハーモニーに浸れて、演奏家一人一人がいつも以上に感動に溢れながら演奏でき、お客様にもとても喜んでいただけました。
観客数を制限しつつ、コロナ対策を徹底して公演が実現できるのは、ホールや劇場のスタッフの皆様、またオーケストラのスタッフの皆様のご尽力なくしては成立しないので、感謝するばかりです。コロナ禍にご不安もある中でご来場くださるお客様方には、「心配もあったけれど来てよかった」「大変な状況だけれど音楽に癒された」と仰っていただけることが何よりですし、そう仰っていただけるように今まで以上に最善を尽くして演奏したいと心がけています。
「生の音がホールで聴ける幸せと感動は違う」と実感していただけることも大変ありがたく、音楽への想いがN響の皆様の崇高なハーモニーのお力を借りてお客様に伝われば本当に嬉しい限りです。
 
最後に、今回の演奏会に向けてメッセージをお願いいたします。
2021年がご来場いただける皆さまにとってますます素晴らしい一年になるように、心を込めて演奏いたします!

インタビュー:山田治生(音楽評論家)