N響オーチャード定期

2019-2020 SERIES

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ファビオ・ルイージ

世界で活躍する多忙なマエストロ、ファビオ・ルイージに、今回の演奏会について、メールでインタビューしました。

©Barbara Luisi

マエストロは、N響と2001年に初共演して以来、N響とたくさんの素晴らしい演奏を披露してくださいました。世界の一流オーケストラを指揮されているマエストロは、N響のどのようなところに魅力を感じられますか?
「N響は、とりわけ中央ヨーロッパのロマン派音楽や後期ロマン派音楽に偉大で深い伝統を持つ、まさに特別なオーケストラです。楽団員はとても献身的で、すべてのオーケストラ・レパートリーに莫大な経験をもっています。私は彼らにいつも非常にまじめな雰囲気と相互の尊敬を感じてきました。加えて、N響はいつも私の意図とアイデアを極めて早く理解します。つまり、音楽をする上での理想的なパートナーなのです」
 
マエストロは、2002年にN響オーチャード定期に出演されていますが、そのコンサートの思い出を話していただけますか?
「その演奏会はよく覚えています。というのも、ピアソラのバンドネオン協奏曲でソリストが演奏会直前に体調不良になり、曲順を変えなければならなかったからです(注:協奏曲を演奏会の後半にまわし、ブラームスの交響曲第1番を前半に演奏した)。しかしながら、素晴らしい演奏会となりました。特にブラームスの交響曲第1番の演奏は傑出したものになりました」
 
今回のプログラムについてうかがいたいのですが、どのように選曲されたのですか? オポライスさんとの共演はメトロポリタン・オペラでの「マノン・レスコー」をライブビューイングで観ましたが、彼女はどのような歌手ですか?
「私はリヒャルト・シュトラウスの音楽を熱烈に愛していまして、オポライスさんが『4つの最後の歌』を提案されたときには、私はとてもうれしく思い、すぐにそのアイデアを受け入れました。私はオポライスさんと何度も仕事をしています。最初は、チューリヒ歌劇場でのヤナーチェクの『イェヌーファ』の公演でした。最近ではニューヨークのメトロポリタン・オペラでのプッチーニの『マノン・レスコー』で共演しました。彼女はとても情熱的な歌手で、素晴らしい音楽家です」
 
メイン・プログラムである交響詩「英雄の生涯」についてお話ししていただけますか?
「『英雄の生涯』は、シュトラウス自身の生涯の自伝的側面を持つ、一つの人生の物語です。情熱、高揚、愛、挫折、勝利、生との訣別が、この美しい物語の中心的な要素です。N響はこの作品のすべての美を表現するのに理想的なパートナーとなると、私は思っています」
 
最後に、今回の演奏への抱負とメッセージをお願いします。
「N響という驚嘆すべきオーケストラの特色のすべてを表す、まさに興味深いプログラムであり、素晴らしいコンサートになると思います。聴き逃さないでください!」

インタビュー:山田治生(音楽評論家)