N響オーチャード定期

2017-2018 SERIES

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アリス=紗良・オット

アリス=紗良・オットさんにメールで今回の演奏会についてインタビューしました。

©Jonas Becker

チャイフスキーのピアノ協奏曲第1番はいつから演奏していますか?CDにも録音されている得意のレパートリーと存じていますが、この曲のどんなところに魅力を感じますか?
「私がチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を最初に弾いたのは17歳のときでした。そして、この作品は、明らかに私にとって最も演奏のリクエストの多い曲となりました。この曲に帰ってくるたびに、古くからの癖や紋切り型の表現に陥ることなく演奏することは、私にとって、常にチャレンジなのです。何度も何度も楽譜を読み込んで新しい発見をすることが私には不可欠です(でもよく食べている料理に新しいスパイスを見つけるのはいつも簡単というわけではありません)。しかし、少し期間をおいて、この曲を弾くと、作品の美しさや舞台上でのオーケストラとピアノとのエキサイティングな対話をあらためて楽しんでしまいますね」
ウラディーミル・アシュケナージさんとは共演されたことがありますか?
「マエストロ・アシュケナージとは既に何度か共演させていただいています。最近では、中国とイギリスでのフィルハーモニア管弦楽団の演奏会でご一緒しました」
マエストロはどんな方ですか?
「彼は、私が子供の頃から録音を聴き、称賛し続けてきた素晴らしい音楽家であるだけでなく、若い世代の音楽家を支援し、気にかけてくださる、最も寛大な方なのです」
N響とは2015年に共演されましたね。
「私たちは素晴らしい北海道ツアーをすることができました。N響は世界最高のオーケストラの一つです。舞台上で、すべての楽員がそれぞれに違ったとても個別なつながりを持とうとしているのが分かりました。楽員もツアーのスタッフも私にとても親切で助けてくれて、ツアーの最後では、自分の家族に『さようなら』を言うような気分でした」
今回の共演では何を楽しみにされていますか?
「私は、楽員のみなさんとの新たな音楽的な物語や、私たちが聴衆の皆さまと共有できるすべての特別な瞬間を楽しみにしています」
オーチャードホールでは演奏されたことがありますか?
「オーチャードホールで弾くのは今回が初めてです」
渋谷にはよく来られるのですか? お好きな場所はありますか?
「本当に、渋谷にはよく来るのですよ。いまだにハチ公前は友達との待ち合わせに最も分かりやすい場所ですし、渋谷駅周辺にはたくさんの素敵なバーや居酒屋があるので」
ベルリンでの暮らしはいかがですか?
「私はベルリンの街が与えてくれる匿名性が大好きなのです。ベルリンは、地球上で唯一、人々が私にどこから来たのかを問わない街です。ドイツでは最大の街なのに、ご近所さんは小さな村のように感じられます。私の近所にも数多くの素敵な小さいレストランや店があり、私のお気に入りのバーは自宅から2,3百メートールしか離れていません。また、シュプレー川まで歩いて出かけ、橋に座って、タンゴを踊っている人々を見るのも好きです」
2018-2019シーズンの予定を教えていただけますか?
「私のドイツ・グラモフォンでの10周年を記念する新しいアルバム『ナイトフォール』が今秋、リリースされます。そして9月より、このアルバムに収めた曲を中心とするリサイタル・ツアーを日本(9都市)から始め、ミュンヘン、ウィーン、パリ、ロンドンなど、ヨーロッパ各地を巡ります。11月には、再び東京に戻り、マエストロ・ノセダの指揮で、N響の定期公演(注:ラヴェルのピアノ協奏曲を演奏)に出演します。2019年は、友人たちとの新しいエキサイティングな室内楽のプロジェクトが楽しみです。そのほか、フィルハーモニア管弦楽団やエーテボリ交響楽団とのヨーロッパ・ツアーも予定されています」

インタビュー:山田治生(音楽評論家)