今回の楽員インタビューは、2015年2月入団、現在次席ヴィオラ奏者として活躍する中村洋乃理(なかむら ひろのり)さん。先ずは、音楽の溢れる素敵なご家庭について話してくれました。

「父親がクラシック音楽が大好きで。岡山県在住なのですが、カラヤン&ベルリン・フィルが来日した時は東京や大阪まで聴きに出掛けて行く程でした。家にはタンノイの巨大なスピーカーがあって何時も家の中には音楽が流れていました。当然の様に兄弟みな楽器を習っていて、兄はチェロ、姉二人はヴァイオリンとホルン、そして、僕はヴァイオリンを小学校4年生で始めました。」

ヴィオラとの出会いは。

「小学校高学年から倉敷のジュニア・オーケストラに入って演奏しました。本当に楽しくて、将来オーケストラ奏者になりたいと高校2年生で音大受験を決意した際に、当時習っていたヴァイオリンの先生からヴィオラを薦められたのが出会いです。 最初はどんな楽器かよく分かりませんでしたが、姉がヴァイオリンからヴィオラに転向していたので、それを借りて弾いてみるとすごくしっくりきました。」

そして、音大に進まれます。

「愛知県立芸術大学に入学しました。それまでは地元のジュニア・オーケストラでコンマスもしていましたが、流石に大学ではまわりが上手い人たちばかりで、それが楽しくて一生懸命練習しました。その後、東京藝術大学大学院に進学し、いい環境の中でのびのび勉強する事ができました。」

大学院修了と同時に東京フィルに入団されます。

「在学中にオーディションがあって、フォアシュピーラー(次席奏者)として入団しました。トップサイドで弾く事が多く、経験豊富な方々に囲まれて勉強になりました。東京フィルはオペラの演奏が多いのですが、最初はオペラを全然知らなかったので怖かったけれど、今では大好きになりました。中でも、2012年新国立劇場でペーター・シュナイダーが指揮した『ローエングリン』は主役のフォークトの素晴らしさも相まって想い出に残る公演です。」

そして、いよいよN響ですね。

「東京フィルがオペラやバレエも得意とするイタリア的な響きとすると、N響はやはりドイツ的と申しましょうか。ドイツ系の指揮者が多いですし。音楽には厳しいけれど、若い仲間が多くみんな仲良く和気あいあいとやっています。中村翔太郎くんは、同じ先生についていたので昔からの知り合いなんですよ。」

オーケストラにおけるヴィオラの役割とは?

「内声ですね、とても大切だと思っています。弦楽器の中で例えるとするならヴァイオリンがお肉(素材)、チェロとコントラバスがお皿とすると、ヴィオラはスパイスでしょうか。お客様にはヴィオラを味わって頂けると嬉しいです。」

ヴィオラ・カルテットの活動もされています。

「“アルト・ド・カンパーニュ”(田舎のヴィオラ弾き)という名前でいなかを音楽で盛り上げよう!とヴィオラ奏者四人が集まって活動しています。ヴィオラ四重奏のためのオリジナル曲は僅かしかありませんから、知り合いの作曲家に委嘱したり、翔太郎くんが編曲したりしてレパートリーを増やしています。」

最後に、オーチャードホールの印象をお聞かせください。

「東京フィル時代から何回も演奏していますが、渋谷の真ん中にあるのに落ち着いた雰囲気で、お客様もお洒落して音楽を楽しんでくださっていると思います。」

ありがとうございました。