N響オーチャード定期

2025-2026 SERIES

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ファビオ・ルイージ

6年振りのN響オーチャード定期への出演となるN響首席指揮者ファビオ・ルイージに、今回のプログラムやマーラーについて、メールでインタビューしました。

ファビオ・ルイージさんの写真

©NHKSO

2025年にNHK交響楽団と出演したマーラー・フェスティバルの感想を教えてください。
アムステルダムのコンセルトヘボウでのフェスティバルに参加したことは、本当に目を見張るような経験でした。世界のトップ・オーケストラとともに招待されたことは、N響の質の高さの証でした。演奏は素晴らしく、聴衆の反応がすべてを物語っていました。
今回演奏するマーラーの交響曲第5番の魅力について話していただけますか?
マーラーが彼のすべての情熱と人生での経験を注ぎ込んだ傑作です。
映画『ベニスに死す』についてどのような感想をお持ちですか?
『ベニスに死す』は私が最も好きな映画の一つです。ルキノ・ヴィスコンティ監督の作り上げた雰囲気とマーラーの「アダージェット」との組み合わせは天才のひらめきです。映画は、トーマス・マンの原作のように深く、暗く、いくらか問題も含んでいます。しかしながら、これらの点を詩的に、かつ洗練された形で再現したことがこの作品を本当の傑作にしています。
映画『ベニスに死す』の印象が、マーラーの「アダージェット」を理解する上で邪魔になっているとは思いませんか?
それはありえます。でも音楽家として、私は2つを分けてとらえて、これら2つの傑作の美と独創性を味わうことができます。
「アダージェット」は、楽曲のなかでの間奏曲でしょうか? あるいは、楽曲の中心でしょうか?
「アダージェット」は、間違いなく、この巨大な作品の一部を担っています。とても心に響く音楽であり、だから、独立して聴かれることもありますが、しかし、交響曲全体のなかでのドラマを形作る、まさに一つの重要な時間なのです。
マーラーはルイージさんにとってどういう存在ですか?
新時代の端境にいた、真にロマンティックな作曲家です。私は、彼の音楽で、彼の人生のすべての闘いや情熱や悲しみを感じることができます。彼の音楽は、真実味があり、私の心を強く揺さぶります。
モーツァルトのクラリネット協奏曲で最も心惹かれる部分はどこですか?
旋律の純粋さ、独奏楽器のメランコリーな性格ですね。
クラリネット協奏曲で共演する松本健司さんについてはいかがですか?
松本さんはN響のビッグ・スターの一人です。彼をソリストとしてこの協奏曲を指揮できるのは幸運ですし、とてもうれしいです。
モーツァルトはどういうところがお好きですか?
すべてです! 人類が生んだ最も偉大な音楽的天才の一人。
今回のN響との共演への抱負をお聞かせください。
私が首席指揮者である間、私たちはとてもたくさんのわくわくするようなプロジェクトに取り組んでいます。そのどれもがエキサイティングでチャレンジングです。私はこの素晴らしいオーケストラと演奏ができることを光栄に思っています。

インタビュー:山田治生(音楽評論家)