Piano’s Monologue 亀井聖矢 ~オール・ショパン・プログラム~

Piano’s Monologue 亀井聖矢 ~オール・ショパン・プログラム~

会場 :

東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura 3F

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    Introduction見どころ

    3年にわたり、 新たな軌跡が描かれる――

    2022年ロン=ティボー国際音楽コンクールにて第1位、あわせて「聴衆賞」「評論家賞」を受賞した注目の俊英・亀井聖矢がオーチャードホールの新シリーズに登場!
    3年にわたる全3回で、ピアノ・ソロ、ピアノ・トリオ、コンチェルトと、様々なアプローチでショパンの魅力に迫ります。
    トークを織り交ぜながらお贈りする特別シリーズをお楽しみください。

    日本の若手ピアニストとして最も注目され、加えてさらなる飛躍が期待されている亀井聖矢さん。2022年秋には、超絶技巧とフレッシュな音楽性でパリの聴衆を魅了し、ロン=ティボー国際音楽コンクールで優勝した。そんな亀井さんが、今、集中して学び、ステージで弾くことで理解を深めていきたい作曲家として選んだのが、ショパンだ。
    ショパンはもちろん子供の頃から弾いてきたというが、「2020年に初めてオール・ショパンのリサイタルをしたとき、この繊細な音楽をどうするともっと大きくとらえ自然に作っていけるのだろうと苦労した」と振り返る。
    今はまさに、活動の場を世界に広げていこうとする最中。そこにBunkamuraから、好きなテーマで3年間の企画を考えてほしいという提案を受け、「内面的な成熟を目指すうえで必要不可欠」だと感じるショパンに向き合うことにした。

    「音数の多い難曲は、完璧に弾くだけでも形になります。これまでは好んでそれに挑戦してきましたが、今は少ない音で人を惹きつけられる表現を学ぶべき時だと思うのです」

    まず第1回に取り上げるのは、ソロ作品。超絶技巧が生かされる華やかな作品だけでなく、マズルカやワルツのような小品も選び、「美しいレガート、ハーモニーのバランス、文化特有のリズム感も追究したい」。最近はショパンの時代の楽器にも関心があり、プレイエルやエラールも並べて演奏してみたいと意気込む。

    そしてユニークなのが第2回の計画。ピアノソロが圧倒的に多いショパンから、唯一のピアノ三重奏曲を取り上げ、東亮汰(ヴァイオリン)、佐藤晴真(チェロ)と共演する。

    「ショパンはチェロが大好きでした。5月にウィーンで室内楽の演奏会をする機会があり、チェロの歌を尊重して弾く経験がとても勉強になったばかり。それ以降、ソロ作品への取り組み方も変わりました。ショパンがチェロにどんな音色を求めて音楽を書いたのかを知る機会になりそうです」

    最終回には、ショパンの二つのピアノ協奏曲と「アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ」の管弦楽つき版を演奏する。

    「オーケストラにピアノを乗せる時のタッチは、やはりソロと全く違います。自分が出す音だけでなく、その上で合わさった音を聴く感覚を持たないといけません。これからもっと勉強して、3年目にその成果をお見せしたいです」

    シリーズ開始の2023年10月時点でまだ21歳。健康的な音楽が魅力の亀井さんだが、「ショパンのような、体が弱く繊細だけれど激しさも持ち合わせていた人が困難に直面する時、どんな感情の起伏を味わうのか。3年間で近づいていきたい」という。
    聴衆にとっては、その変化を見届ける3年間になりそうだ。

    高坂はる香(音楽ライター)

    Messageメッセージ

    僕の興味・好奇心を贅沢なまでに叶えていただいた本企画。
    とても幸せな機会でありながら、僕にとってこれは、ショパンの真髄にどこまで迫れるかという挑戦でもあります。
    ピアノの詩人・ショパンは、どんな境遇の中でどんなことを感じ、どんな楽器でどんな音色を求めていたのか。

    第1回では、ショパンの生きていた時代のピアノ「エラール」と「プレイエル」を用い、彼の様々な作品を演奏します。
    普段なかなか触れることのない、ショパン自身の耳に聴こえていた音色の世界をお楽しみください。

    第2回ではソロに加え、東亮汰氏と佐藤晴真氏をお迎えしてショパンのピアノ・トリオを演奏します。ショパンはとてもチェロを好んでいたといわれています。弦楽器の音色は、彼のピアノ書法にどのような影響を与えたのか。チェロ・ヴァイオリン・ピアノの対立と融合、そして昂っていく感情をお楽しみください。

    第3回では、ショパンの2つの協奏曲、そして『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ』を、沼尻竜典さん、そして東京フィルハーモニー交響楽団の皆様と共に演奏します。オーケストラと溶け合うことで、ピアノの繊細な響きが一段と際立てられる作品たち。素晴らしいホールの響きとともに、若きショパンの極上の3曲をお楽しみください。

    以上、全3回にわたって様々な角度からショパンの魅力を再発掘していけることを、僕自身とても楽しみにしております。
    皆様ぜひ会場で、一緒にショパンを味わい尽くしましょう 。

    亀井聖矢

    亀井聖矢

    Profileプロフィール

    亀井聖矢 Masaya Kamei

    2022年、ロン=ティボー国際音楽コンクールにて第1位を受賞。併せて「聴衆賞」「評論家賞」の2つの特別賞を受賞 。
    2001年生まれ。4歳よりピアノを始める。2019年、第88回日本音楽コンクールピアノ部門第1位、及び聴衆賞受賞。同年、第43回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、及び聴衆賞受賞。2022年、マリア・カナルス国際ピアノコンクール第3位受賞。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールセミファイナリスト。
    これまでに、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、大阪交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などと共演。テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHK「クラシック倶楽部」などメディア出演も多数。
    これまでに、青木真由子、杉浦日出夫、上野久子、岡本美智子、長谷正一の各氏に師事。作曲を鈴木輝昭氏に師事。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、飛び入学特待生として桐朋学園大学に入学し、2023年3月に同大学を首席で卒業。2023年には、文化庁長官表彰(国際芸術部門)、出光音楽賞、岐阜県芸術文化奨励賞、愛知県芸術文化選奨文化新人賞を受賞。2021~2022年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。第51回公益財団法人江副記念リクルート財団奨学生。

    Programプログラム

    第1回ピアノ・リサイタル

    2023年1029日(日)15:00開演

    出演
    亀井聖矢(Pf)
    曲目
    • 3つのワルツ 作品34
    • 3つのマズルカ 作品59
    • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22 他

    第2回室内楽

    2025年112日(日)15:00開演

    出演
    亀井聖矢(Pf)、東亮汰(Vn)、佐藤晴真(Vc)
    曲目
    • ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61「幻想」(ピアノ・ソロ)
    • ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8
    東亮汰(Vn)
    ©Shigeto Imura

    東亮汰(Vn)

    プロフィール

    東亮汰 Ryota Higashi

    第30回ヨハネス・ブラームス国際コンクール第2位。
    第88回日本音楽コンクール第1位。
    NHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団等と共演。
    反田恭平氏がプロデュースするJapan National Orchestraコアメンバー。
    年2回の全国ツアーをはじめ、ドイツ、イタリアなど海外でも公演を行う。
    東大寺奉納公演、横浜みなとみらいホール25周年音楽祭ではコンサートマスターとして出演。
    沼尻竜典指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第400回記念となる定期演奏会でコンサートマスターを務めるなど、国内主要オーケストラへの客演も重ねている。
    桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業。
    特待生として同大学大学院音楽研究科修士課程3年に在学し、辰巳明子氏に師事。
    OTTAVA「東亮汰 カプリチオーソ・ムジカ」のプレゼンターを務める他、テレビ朝日「題名のない音楽会」「未来への扉!ニュースターの音楽会2024」では注目の若手音楽家として特集されるなどメディア出演も多数。
    NHK Eテレのアニメ「青のオーケストラ」で主人公の演奏を担当したことでも話題を呼んだ。
    メジャーデビューアルバム「Piacere~ヴァイオリン小品集」をリリースし、第16回CDショップ大賞2024クラシック賞を受賞。
    第13回岩谷時子 Foundation for Youth受賞。
    使用楽器は株式会社文京楽器を通じて匿名のオーナーより貸与された1831年製 G.F. Pressenda。
    ユニバーサル ミュージックと専属契約を結んでいる。

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    佐藤晴真(Vc)
    ©Seiichi Saito

    佐藤晴真(Vc)

    プロフィール

    佐藤晴真 Haruma Sato

    その世代で最も注目を集める気鋭のチェロ奏者。
    2019年、長い伝統と権威を誇るミュンヘン国際音楽コンクール チェロ部門において日本人として初めて優勝して、一躍国際的に注目を集めた。2018年には、ルトスワフスキ国際チェロ・コンクールにおいて第1位および特別賞を受賞している。ほかにも、日本音楽コンクール第1位および徳永賞・黒柳賞など、多数の受賞歴を誇る。
    2019年には、本格デビューとなるリサイタル公演を行う。バイエルン放送交響楽団をはじめ、国内外の主要オーケストラと共演を重ねており、リサイタルや室内楽にも積極的に取り組んでいる。
    2020年には、名門ドイツ・グラモフォンよりデビューアルバムとなる「The Senses~ブラームス作品集~」をリリースし、2021年「SOUVENIR~ドビュッシー&フランク作品集」、2023年「歌の翼に~メンデルスゾーン作品集」をドイツ・グラモフォンよりリリースした。
    また、2023年にNHK Eテレで放送されたアニメ「青のオーケストラ」に演奏キャストで参加するなど、多方面での活躍が期待されている。
    林良一、山崎伸子、中木健二の各氏に師事。現在は、ベルリン芸術大学にてイェンス=ペーター・マインツ氏に師事している。
    第18回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第30回出光音楽賞、第32回日本製鉄音楽賞を受賞。2021年度文化庁長官表彰。江副記念リクルート財団第52回奨学生。
    使用楽器は宗次コレクションより貸与されたE.ロッカ1903年。現在、ベルリンと東京を拠点に活動している。

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    第3回協奏曲

    2025年713日(日)15:00開演

    出演
    亀井聖矢(Pf)、沼尻竜典(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団
    曲目
    • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22
    • ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
    • ピアノ協奏曲 第2番 へ短調 作品21

    公演概要・チケット情報

    沼尻竜典(指揮)

    沼尻竜典(指揮)

    プロフィール

    沼尻竜典 Ryusuke Numajiri

    神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア音楽監督、びわ湖ホール桂冠芸術監督。ベルリン留学中の1990年、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。以後、ロンドン響、モントリオール響、ベルリン・ドイツ響、ベルリン・コンツェルトハウス管、フランス放送フィル、トゥールーズ・キャピトル管、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響、スロヴァキア・フィル、シドニー響、チャイナ・フィル等、世界各国のオーケストラに客演を重ねる。国内ではNHK交響楽団を指揮してのデビュー以来、新星日本響、東京フィル、名古屋フィル、日本フィル、群馬響、日本センチュリー響のポストを歴任。ドイツではリューベック歌劇場音楽総監督を務め、オペラ公演、劇場専属のリューベック・フィルとのコンサートの双方において数々の名演を残した。ケルン歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、バーゼル歌劇場、シドニー歌劇場等へも客演。16年にわたって芸術監督を務めたびわ湖ホールでは、モーツァルト、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナー、R.シュトラウスからツェムリンスキー、ベルクまで数多くの意欲的なプロダクションを実現、ミヒャエル・ハンペの新演出による《ニーベルングの指環》を含めワーグナー作曲の主要10作品もすべて指揮、国内外から注目を集めた。2014年には横浜みなとみらいホールの委嘱でオペラ《竹取物語》を作曲・初演、国内外で再演されている。2017年紫綬褒章受章。

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    東京フィルハーモニー交響楽団
    Photo: Takafumi Ueno

    東京フィルハーモニー交響楽団

    プロフィール

    東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra

    1911年創立。日本で最も長い歴史をもつオーケストラ。メンバー約160名、シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。名誉音楽監督にチョン・ミョンフン、首席指揮者アンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者にミハイル・プレトニョフを擁する。Bunkamuraオーチャードホール、東京オペラシティ コンサートホール、サントリーホールでの定期演奏会や「渋谷/平日/休日の午後のコンサート」等の自主公演、新国立劇場等でのオペラ・バレエ演奏、『NHK名曲アルバム』『NHKニューイヤーオペラコンサート』『題名のない音楽会』『東急ジルベスターコンサート』などの放送演奏、『NHK紅白歌合戦』出演の他、ドキュメンタリー番組『情熱大陸』『BS1スペシャル』にも取り上げられた。また、各地学校等での訪問コンサート等により、全国の音楽ファンに親しまれる存在として、高水準の演奏活動とさまざまな教育的活動を展開している。海外公演も積極的に行い、国内外から高い評価と注目を集めている。
    1989年よりBunkamuraオーチャードホールとフランチャイズ契約を結んでいる。東京都文京区、千葉県千葉市、長野県軽井沢町、新潟県長岡市と事業提携を結び、各地域との教育的、創造的な文化交流を行っている。

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    亀井聖矢 Photo: Takafumi Ueno