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2026.02.27 UP

演出家・メインキャスト プロフィール・コメントを公開!

演出・振付 
マルコス・モラウ MARCOS MORAU
 
<プロフィール>
1982年スペイン・バレンシア出身。2005年にLa Veronal(ラ・ヴェロナル)を設立し、写真・演劇・身体表現を横断する演出で世界の主要劇場へ作品を送り出す振付家・芸術監督。2013年スペイン国家舞踊賞、2023年フランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章。ベルリン国立バレエのアーティスト・イン・レジデンスとして活動し、tanz誌「Choreographer of the Year」に選出(2023、2025)。民俗舞踊や儀礼的な身体の記憶を現代に語り直す手法で注目され、BNE『Afanador』では写真家ルーベン・アファナドールの世界を起点に、フラメンコの舞踊言語を脱構築し、官能と宗教性を交錯させた。代表作『Sonoma』は映画監督ルイス・ブニュエルへのオマージュとして、太鼓の連打や儀礼性を帯びた群舞で原初的なエネルギーを喚起した。『Firmamento』ではアラゴン地方の伝承を手がかりに、マスクやマリオネットの人形のモチーフを通して、思春期から大人への通過儀礼を描く。さらに近作『Notte Morricone』では、映画音楽家エンニオ・モリコーネのスコアを素材に、映像と身体の記憶を再構築している。2026年3月にはパリ・オペラ座で新作『Étude』を発表。さらに2025/26シーズンよりNDTのアソシエイト・コレオグラファーに就任。

<コメント>
私は長く、三島由紀夫に惹かれてきました。彼は思想を語る作家ではなく、それを自らの肉体で引き受けた人物だったからです。
『金閣寺』もまた、単なる史実の再現ではありません。美という観念が人の内側に入り込み、その人間を変えていく過程を描いた作品だと感じています。
文楽に出会ったとき、私はそこに近い感覚を見ました。
人が人形を動かしているはずなのに、いつの間にか人間の方が人形に近づいていく。主体と客体の関係が揺らぎ、崩れそうで崩れない緊張が生まれる。その状態に強く惹かれました。
今回の作品では、吉田玉助の人形、中村壱太郎と尾上眞秀の人形振り、洗練されたダンサーたち、そして末永光が、同じ舞台の上に置かれます。異なる訓練を積んだ表現が互いを映し合い、やがて境界は曖昧になっていくでしょう。
誰が操り、誰が操られているのかは重要ではありません。
私が舞台に立ち上げたいのは、その崩れそうで崩れない均衡です。
人が美を見つめ続けたときに生まれる、静かで危うい均衡。
三島が最後に触れたものに、最も近い瞬間を、観客の前にとどめたいと思っています。

 
出演

吉田玉助 TAMASUKE YOSHIDA —— 文楽人形遣い
 
<プロフィール>
父・吉田玉幸(4代目 玉助)、祖父(3代目 玉助)より受け継がれる人形遣いの家系に生まれ、立役を中心に第一線で活躍。国立劇場文楽賞優秀賞をはじめ主要な賞を受賞し、現在の文楽を代表する人形遣いの一人である。本作では、物語の登場人物であると同時に、三島由紀夫そのものを担う存在として人形を遣う。左遣いに吉田簑紫郎、足遣いに吉田玉延を据え、三人の呼吸によって人形は舞台に息づく。マルコスが長年探究してきた、からだをひとつの塊として扱わず、関節や部位がそれぞれに動き出すような表現に、どう応えるのか。「人形にできないことはない」と語る玉助の新たな表現が立ち上がる。

<コメント>
この度、文楽を代表してマルコス浄瑠璃に出演させて頂きます、人形遣いの吉田玉助です。
気軽にお受けしてしまったのですが、日が経つに連れて「どうしよう僕なんかには無理!」という恐怖と、新しい事に挑戦出来るという気持ちが交錯して、何か落ち着かない日々です。
歌舞伎の壱太郎さんや眞秀さんとご一緒するという事で、近しいお芝居をしていますので、歳は上ですが貪欲に色々と教えてもらって何かヒントをもらえたらと思っています。末永さんとも先日のマルコスのワークショップでご一緒して、その身体のキレに驚かされました。
他ジャンルの方とコラボレーションをするのは楽しいのですが、文楽以外の新しいお芝居の入口を探して、自分自身が楽しく順応出来る様になるかが今回のポイントだと思っています。
皆様、宜しくお願い致します。


中村壱太郎 KAZUTARO NAKAMURA —— 歌舞伎俳優
 
<プロフィール>
四世・坂田藤十郎を祖父に持ち、上方歌舞伎を中心に活躍する女方。日本舞踊吾妻流七代目家元・吾妻徳陽として映画『国宝』などにおいて所作指導でも活躍。マルコスが着目したのは、壱太郎が見せる「人形振り」。人と人形のあいだを行き来するその表現に、本作の入口を見出した。壱太郎は、主人公・溝口の前に立ち現れる「金閣寺」さえも舞踊として示すと同時に、玉助が遣う文楽人形の振付も担う。歌舞伎界を代表する若き踊りの名手がマルコスと呼応するとき、踊りの根源的な姿が浮かび上がる。

<コメント>
昨年ふと『あ、今年は三島由紀夫生誕100年だ!』と気づいてより、様々な三島作品について思いを馳せていた折に今回のお話をいただき、奇遇なご縁に喜びを感じております。
これまで様々な三島作品が歌舞伎として上演されてきました。今回は日本の古典的な"所作による様式美"に着眼して、マルコス・モラウさんの演出の舞台で俳優としても舞踊家としても新たな発見・表現を組み立てていきたいです。尾上眞秀くんとはこれまで歌舞伎の舞台では共演したことはありませんが、今回こうした新たな取り組みでご一緒できることで歌舞伎の未来に向かい共に何かを見出していきたいと思います。また、吉田玉助さんの扱う文楽人形、末永光さん、世界屈指のダンサーの皆様との共演により多くの刺激をいただけることが楽しみでなりません!歌舞伎の女方が魅せる"人形振り"の世界、『金閣寺』を取り巻く執念のようなものを具現化することができたらと意気込んでおります。この作品が日本の初演より、世界へと羽ばたいていきますことを願い。



末永 光 KOH SUENAGA —— アイドル
 
<プロフィール>
2008年生まれ。STARTO ENTERTAINMENT 所属。2021年よりジュニアとしての活動をスタート。端正な佇まいの奥に、ふと立ち現れる繊細な表情を備え、その少年性は三島文学が描く〈美〉と〈フラジャイル〉と重なり、本作の空気を形づくる。来日したマルコスが稽古場で最も強い反応を示したのが末永だった。提示された振付の意図を瞬時に読み取り、説明を待たず動きとして示した理解力と即応性が、舞台の要に据える決断へと直結する。本作では7名の精鋭ダンサーに導かれながら、物語を推進する役割を担う。変化の途上にある17歳が、舞台上でどのような飛躍を遂げるのかも見逃せない。

<コメント>
いつもステージに立つ時は、同じ事務所の仲間や先輩が周りにいて、緊張感の中にも安心感があるのですが、今回は錚々たるみなさまと初めてご一緒するので、とても緊張しています。
マルコスのワークショップに参加した際には、これまで触れたことのない動きに苦戦しましたが、マルコスが丁寧に体の使い方を教えてくれたり、言葉をかけて安心させてくれたりして、抱えていた不安が少しずつ楽しみな気持ちへと変わっていきました。また、NDT2 来日公演にてマルコス振付作品『Folkå』も見学させていただいたのですが、次々と表情を変えるかのようなフォーメーションとその振付に衝撃を受けました。あれほど心を動かされたダンス作品は初めてで、今までのダンスの常識をいい意味で覆させられました。
相変わらず自分に務まるのかという不安は拭いきれませんが、新たな自分と出会い、自分の世界が広がっていくきっかけになりそうな予感がしています。自分とは異なる環境で活躍されている方々とステージを作り上げていく中で、そのコンビネーションがどのような変化を遂げるのか、とても未知数でワクワクしています。
これまでの経験も力に変えて、全力で目の前の事と向き合いながら、皆さんの心に響く作品になるよう精一杯頑張ります。


尾上眞秀 MAHOLO ONOE —— 歌舞伎俳優
 
<プロフィール>
名門・尾上家の寺島しのぶとフランス人アートディレクターの父、七代目尾上菊五郎を祖父に持つ13歳の若き俳優。2023年に初代尾上眞秀を名のり歌舞伎座で初舞台。国立劇場特別賞を二度受賞する他、映画『港のひかり』で映画初出演、森山開次演出『踊る。遠野物語』では初舞踊作品に挑み、その表現の幅を大きく広げた。本作では、壱太郎に付く「子人形」として舞台に立ち、呼吸を重ねながら役を形づくっていく。歌舞伎舞踊という確立された伝統とマルコスの演出が交差する場で何を掴み取るのか、期待が高まる。

<コメント>
​​​前回のK-BALLET Opto『踊る。遠野物語』は、僕にとって歌舞伎以外の舞台に立つ初めての挑戦でした。なにもわからない中、演出の森山開次さん、そして麿赤兒さんをはじめとする共演者の皆さんが温かく迎えてくださったおかげで、最後までやり遂げることができました。あの時、舞台の上で全身を使って表現することの喜びを知ったことは、大きな自信に繋がっています。
今回の作品は、三島由紀夫さんの名作『金閣寺』を、文楽・歌舞伎・ダンスという異なる美学を合体させて描く、とても贅沢で新しい挑戦です。世界初演という記念すべき舞台に立てることに、今からワクワクしています。
この作品を通じて、これまで学んできた歌舞伎の伝統を大切にしながら、ジャンルの垣根を超えた新しい表現をたくさん吸収したいです。素晴らしい先輩方と共に、現代的で鮮烈な『金閣寺』の世界を作り上げ、観に来てくださるお客様が楽しんで、そして喜んでくださるよう、一生懸命頑張ります。


音楽・歌
マリア・アルナル MARIA ARNAL —— 歌手/作曲家
 
バルセロナを拠点に活動する歌手・作曲家。アヴァン・ポップ、電子音楽、スペインの伝統的多声音楽を横断し、現代音楽を代表する声のひとつとして高く評価されてきた。Sónarをはじめとする主要フェスティバルに出演し、数々の音楽賞を受賞。マルコスとは『Sonoma』『Afanador』『La mort i la primavera』などで協働してきた。 本作では舞台上に立ち、自らの「声」を軸に物語の流れを導く。浄瑠璃の〈語り〉と正面から向き合い、 彼女の声を中心としたカタルーニャの音楽と、竹本の語りは、上下関係を持たず、互いの呼吸を探り合いながら舞台上で溶けあっていく。その〈語り〉は伴奏ではない。物語を前へ押し出し、舞台全体を先導する力として貫かれていく。


写真 マリア・アルナル:Nicola Delorme、その他:渡邉肇

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