STORYあらすじ
時は19世紀初め。人形の国ではねずみたちとの領地争いが起こっている。ある日、ねずみの王様は人形王国に魔法をかけ、マリー姫をねずみに、婚約者の近衛兵隊長をくるみ割り人形に変えてしまう。魔法を解く方法はただ一つ、世界一硬いクラカトゥクくるみを割るしかないが、そのためには純粋無垢な心を持つ人間の力が必要だ。人形の王から命を受けたドロッセルマイヤーはこの人物を探すため、人間界へと旅に出る。そこで出会った少女クララに待ち受けるものは……。
メンバーは厳正なオーディションにより選ばれる。審査には芸術監督の浅川紫織をはじめとする豪華教師陣があたる。
オーディションにより選定されたメンバーと教師陣が初めて一堂に会する団結式。この日からリハーサルがスタートする。
約1年におよぶリハーサルは、Kバレエ カンパニーが日頃公演に向けて行っているそれと同様のスタイルで行われる。技術や演技はもちろん、舞台に立つ心構えや厳しさもここで学んでいくことになる。キャストはリハーサル開始時に発表されるが、その後の成果により変更となることも。また、公演間際には劇場での公開リハーサルが行われ、初めて観客を前に踊ることを体験する。
12月にはKバレエ カンパニー『くるみ割り人形』公演のゲネプロを全員で鑑賞。メンバーそれぞれがプロフェッショナルの舞台から学び、その後のリハーサルに取り組む上でのヒントを得ることのできる貴重な機会となる。
『白鳥の湖』『眠れる森の美女』そして今回の『くるみ割り人形』のように、Kバレエ カンパニーのレパートリーを上演する際は、舞台美術も衣裳もすべてカンパニー公演で使用されているものとなる。
Kバレエ ユースはバレエの道を志す若手ダンサーに生徒からプロへの架け橋となる場を与えたいという思いから2013 年に創設しました。22歳以下を対象としたオーディションにより選抜されたメンバーは、リハーサルから本番までの過程、衣裳・美術に至るまでカンパニーと全く同じ環境を与えられます。当然求められるレベルは非常に高く、時に過酷といえる要求になることもあります。しかし、その環境に身を置くことで彼らが見せた成長は想像をはるかに超えるものであり、またその無垢な力が生み出す感動は、多くの観客の胸を打つものとなりました。私自身、次世代の才能が持つ無限のパワーを再認識するという恩恵を受けたといっても過言ではありません。
第1回記念公演『白鳥の湖』(2013年)、第2回公演『トム・ソーヤの冒険』世界初演(2015年)に続き、2017年の第3回公演では『眠れる森の美女』を上演いたしました。周知のとおりプロにとっても難度の高い超大作であり、当初上演は困難かとも懸念されましたが、アカデミックな古典バレエの世界にひたむきに取り組み、本番で彼らが生み出した見事なまでの感動は忘れがたいものとなりました。
そして、これまで身に着けてきた技術と表現力、貴重な経験がもたらした精神の成長を糧とし、新たに挑戦するのが、チャイコフスキー三大バレエ最後の一つである『くるみ割り人形』です。他の2作と同様にバレエを志す者にとって必ず通るべき作品であることは間違いなく、実際、多くの学びを得ることのできる要素が本作にはあふれています。多彩なキャラクター、多数のディヴェルティスマン、高度なスキルを要する雪の場面の群舞など、バレエダンサーに必要とされる素養や技量を多岐にわたって育てられることに加え、本作の持つ夢に満ちたドラマティックな物語展開は「踊りを通してストーリーを語る」ことを習得するうえでも重要な学習となるでしょう。
この『くるみ割り人形』において、才能あふれる彼らの“今だからこその輝き”が生む感動は、観客の皆様にとっても未来へと繋がる大きな活力となることと確信しています。
時は19世紀初め。人形の国ではねずみたちとの領地争いが起こっている。ある日、ねずみの王様は人形王国に魔法をかけ、マリー姫をねずみに、婚約者の近衛兵隊長をくるみ割り人形に変えてしまう。魔法を解く方法はただ一つ、世界一硬いクラカトゥクくるみを割るしかないが、そのためには純粋無垢な心を持つ人間の力が必要だ。人形の王から命を受けたドロッセルマイヤーはこの人物を探すため、人間界へと旅に出る。そこで出会った少女クララに待ち受けるものは……。
※8月4日(日)14:00公演〈マリー姫役〉が変更となりました。
※掲載キャストは2019年6月10日現在のものです。
photographs: Ayumu Gombi / Toru Hiraiwa