パーヴォ・ヤルヴィ&N響『ウエスト・サイド・ストーリー』

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N響がミュージカルの最高傑作を全曲演奏!
パーヴォ・ヤルヴィが師バーンスタインの生誕百年を祝う

20世紀を代表する偉大な指揮者であり、作曲家であった、レナード・バーンスタインの生誕100周年を記念して、来年3月に、パーヴォ・ヤルヴィとNHK交響楽団が、彼の代表作である『ウエスト・サイド・ストーリー』全曲を演奏会形式で上演する。メイン・キャストにはアメリカのオペラハウスやブロードウェイで活躍する若手実力派歌手たちが招かれる。

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ヤルヴィは、名指揮者ネーメ・ヤルヴィの息子としてエストニアに生まれ、これまでにシンシナティ交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、パリ管弦楽団などの音楽監督や首席指揮者を歴任。2015年からN響の首席指揮者を務めている。青年時代、ヤルヴィは、ロサンゼルスでのマスタークラスでバーンスタインに指揮を学んだ。
「バーンスタインのマスタークラスでは、緊張して、手の震えが止まらなかったのを覚えています。子供の頃からのアイドルであったバーンスタインが横に立っているのが信じられませんでした。彼は、ポジティヴで、励ましてくれる、とても良い先生でした。いくつになっても好奇心旺盛で、生徒に質問をやめませんでした。彼からは音楽への姿勢を学びました」
晩年、指揮者として頂点を極めたバーンスタインだが、若い頃は、『ウエスト・サイド・ストーリー』を作曲するなど、ブロードウェイの寵児でもあった。
「『ウエスト・サイド・ストーリー』は、最高のミュージカルであると同時に最高のオペラでもあると思います。とにかく、音楽の質の高さが凄い。ジャズやラテン音楽の使い方が素晴らしく、様々な音楽的要素をひとつの作品にまとめたバーンスタインは天才ですね。まさに唯一無二の傑作です。この音楽ではスウィングしなければなりません(ジャズ的な意味ではありませんよ)。N響があまり演奏してこなかったレパートリーですが、才能豊かな彼らなら大丈夫です。高いレベルの演奏が期待できます。20世紀最高の舞台音楽のひとつですから、ぜひ、ホールに来て、体験してください!」

  • ©Julia Baier

    【指揮】パーヴォ・ヤルヴィPaavo Järvi

    プロフィール

    プロフィール

    2015年9月のNHK交響楽団首席指揮者就任以来、パーヴォ・ヤルヴィは、その幅広いレパートリーと既成概念にとらわれない作品の解釈や、今の時代を感じさせる演奏でオーケストラに新しい息吹をもたらし、多くのファンを魅了している。今春のN響とのヨーロッパ・ツアーでは、ベルリン、ロンドン、ウィーンをはじめとする各地で大成功を収めた。また本年5月から6月にかけて、モーツァルト/歌劇『ドン・ジョヴァンニ』で、ミラノ・スカラ座にデビュー。9月には同曲をN響特別公演で指揮、高い評価を得ている。今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』は、これに続く、オペラ・プロジェクトで、1980年の渡米後、ロサンゼルス・フィルハーモニックの指揮者コースで師事した恩師、バーンスタインへの思いを込めた情熱的な演奏が期待される。これまでにシンシナティ交響楽団音楽監督、hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)首席指揮者、パリ管弦楽団音楽監督などを歴任し、現在ドイツ・カンマーフィル芸術監督、エストニア国立交響楽団の芸術顧問の任にある。ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団をはじめとする欧米の著名オーケストラにも客演を重ね、世界的に活躍。1962年12月30日、ソビエト連邦タリン生まれ。

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    インタビュー

    パーヴォ・ヤルヴィ インタビュー

    「クラシック音楽界の大指揮者で、多くの名曲を生み出しているレナード・バーンスタインがミュージカルの金字塔『ウエスト・サイド・ストーリー』を作曲していることに不思議な思いを抱く人もいるでしょうね。でも、かくいう僕自身、この作品と出会った10代の時はクラシック音楽を勉強しながらロックバンドを組んでいましたから(笑)。こんな風に、どんな出会い方でも夢中になってしまうのは、バーンスタインがジャズやラテン音楽など、ありとあらゆる音楽の影響を受けている、懐の深い作曲家だからだと思います」
    こう語るのは、この度日本屈指のオーケストラ、NHK交響楽団を指揮して、演奏会形式の『ウエスト・サイド・ストーリー』上演に挑むパーヴォ・ヤルヴィ。同氏は、バーンスタインの作曲の他、あのスティーヴン・ソンドハイムが手がけた歌詞、ジェローム・ロビンスによる革新的な振付を絶賛しつつも「舞台を観る者にとっては、意識がいろんなところに行ってしまって、一つに集中できないという贅沢な悩みもありました(笑)」。
    「その点、オーケストラと歌手たちの歌声で聴かせる演奏会形式は、音楽だけに集中できます。実は私は、最晩年に近いバーンスタインが、ロンドンで自作の『キャンディード』の指揮をする上演を観ているのですが、彼は俳優たちにほとんど大きな動作や大げさな演技をさせなかった。それでも役の人物の思い、音楽の魂はちゃんと伝わって来て、本当に感動的な舞台でした。つまり、バーンスタインの音楽は、彼がスコアに書いたものをちゃんと丁寧に演奏すれば、それだけで素晴らしいものになる。小手先の仕掛けは必要ないんです」
    バーンスタインがいろいろな音楽の影響を受けている、という点では『レ・ミゼラブル』の作曲家がクロード=ミシェル・シェーンベルクと「“サムホウェア”はヴェルディのオペラ『椿姫』の“パリを離れて”に感じが似ている」「いや、どっちかと言えばプロコフィエフの『ロミオとジュリエット』じゃないか?」といった会話をしたことがある。それをヤルヴィに告げると「いや、僕はむしろベートーヴェンのピアノコンチェルトを思い出すよ(笑)。僕以外にそう指摘する人もいるし。ただ、あの“サムホウェア”は名曲中の名曲です。ミュージカル音楽は名ナンバーに強弱があるというか、耳に残る曲とそうじゃないものがあるのが普通なんだけど『ウエスト・サイド・ストーリー』は名曲ぞろいでどれも素晴らしい。でも僕にとっては“サムホウェア”がやはり特別で、あのパートにさしかかると胸がグッと詰まる。ノスタルジックなメロディ。人生に対する諦観のような静けさが感じられて。トニーとマリアだけでなく、ロミオとジュリエットにも歌わせてあげたくなるくらいですよ(笑)」
    ヤルヴィは「今回初めてこの作品に出会う方にも、その魅力を存分に味わって欲しい」と語る。「聴く人間の世代、国境、そして時代を超えた傑作ですから!」

    ライター:佐藤友紀

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パーヴォ・ヤルヴィとバーンスタイン

偉大なる指揮者ネーメを父に持つパーヴォが、父以外で唯一人尊敬する指揮者がバーンスタイン。タングルウッド音楽祭で出会い、その後、師事。バーンスタインが伝えようとする音楽への情熱、指揮者としての使命感に強い感銘と影響を受けた。そんなパーヴォは、生前のバーンスタインの日本での最期の公演地オーチャードホールを、生誕100周年記念の演奏会場に選んだ。

  • NHK交響楽団

    プロフィール

    プロフィール

    NHK交響楽団の歴史は、1926年にプロ・オーケストラとして結成された新交響楽団に遡る。その後、日本交響楽団の名称を経て、1951年NHK交響楽団と改称。今日に至るまで、カラヤン、アンセルメ、カイルベルト、マタチッチなど世界一流の指揮者を次々と招聘し、歴史的名演を残している。
    近年N響は、年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)をはじめ、全国各地で約120回の演奏活動を行っている。また、2013年8月にはザルツブルク音楽祭に初出演、2017年春にベルリン、ウィーンをはじめ、ヨーロッパ主要7都市で公演を行うなど、その活動ぶりと演奏は国際的にも高い評価を得ている。
    現在N響が擁する指揮者陣は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、名誉客演指揮者アンドレ・プレヴィン、正指揮者 外山雄三、尾高忠明。

    (2017年4月現在)

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CAST出演者

  • 【マリア】ジュリア・ブロックJulia Bullock

    プロフィール

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    イーストマン音楽学校で学士号、バード大学のGraduate Vocal Arts Programで修士号、ジュリアード音楽院でアーティストディプロマを取得。今シーズンは、『Girls of the Golden West(西部の娘)』(ジョン・アダムス作曲/ピーター・セラーズ台本)のワールド・プレミアでサンフランシスコ・オペラにデビュー、オランダ国立オペラにて、アイヴォー・ボルトン指揮/サイモン・マクバーニー演出の『放蕩息子の遍歴』に出演、ピーター・セラーズ新演出の『ドクター・アトミック』(ジョン・アダムス作曲)キティー・オッペンハイマー役でサンタフェ・オペラにデビュー。
    また、ボストン交響楽団の今シーズンのオープニングを飾る『バーンスタイン・ガラ』(アンドリス・ネルソンス指揮)や、グスターヴォ・ドゥダメル指揮/ロサンジェルス・フィルハーモニックにおける『魔笛』(モーツァルト)のパミーナ役にも抜擢されている。

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  • 【トニー】ライアン・シルヴァーマンRyan Silverman

    プロフィール

    プロフィール

    近年ではブロードウェイでミュージカル『サイド・ショウ』に出演しドラマデスク賞の優秀男優賞にノミネート。その他代表作は『シカゴ』(ビリー・フリン役)、『オペラ座の怪人』(ラウル役)など。2008年にウエストエンドで開幕した『ウエスト・サイド・ストーリー』(ローレンス・オリビエ賞 優秀リバイバルミュージカル賞 ノミネート)にはトニー役として出演し好評を博した。また、昨年のフィラデルフィア管弦楽団による公演においても、同役を演じている。
    また、パリ・シャトレ座制作で絶賛を受けたソーンドハイム作曲の『パッション』では、ナタリー・デセイの相手役に抜擢された。
    カーネギーホールでのニューヨーク・ポップス、シアトル交響楽団、バンクーバー交響楽団、ヒューストン交響楽団、デトロイト交響楽団等、オーケストラとの共演も多数。

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  • 【アニタ】アマンダ・リン・ボトムスAmanda Lynn Bottoms

    プロフィール

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    ニューヨーク・タイムズが「魅力的な声」と称賛したギリシア・アフリカ系アメリカ人メゾソプラノ。フィラデルフィアを拠点に活動。カーティス音楽学校オペラ・シアターのプロフェッショナル・オペラ・スタディ修了見込。西ニューヨーク出身。ニューヨーク州立大学フレドニア校でローリー・トラムタに師事、Music Performance学士号を取得。これまでに、デトロイト交響楽団、シャトークア交響楽団、NY Cecilia合唱団、ジュリアード交響楽団等と共演。これまでにラヴェル『スペインの時』Concepción、ヘンデル『ジュリアス・シーザー』セスト、モンテヴェルディ『ウリッセの帰還』ペネロペ等。カーティス・オペラ・シアター2017-2018シーズンには、『Impressions de Pelléas』ジュヌヴィエーヴ役、『エフゲニー・オネーギン』オリガとフィリピエヴナの二役、『霊媒』フローラ役で出演。

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  • 【リフ】ティモシー・マクデヴィットTimothy McDevitt

    プロフィール

    プロフィール

    オペラ、ミュージカル両方の分野で活躍するアメリカ人バリトン。
    昨年はアッシュ・ローン・オペラ(ヴァージニア州)でミュージカル「南太平洋」ケーブル海軍中尉役を演じる一方、NYのリンカーンセンターにてハイドンのオペラ「無人島」のエンリーコ役を歌うなど、その幅広さが彼のユニークさを表している。特に昨年10月、米国有数のオーケストラであるフィラデルフィア管弦楽団と世界的指揮者ヤニック・ネゼ=セガンによって行われた、バーンスタイン生誕100周年記念「ウエスト・サイド・ストーリー」の公演においては今回と同じリフ役で出演、好評を博した。同指揮者・管弦楽団とは、バーンスタインの「ミサ」でも共演しており、その信頼がうかがえる。
    これまでにはニューヨーク・フィルハーモニックによるエミー賞ノミネートのプロダクション「回転木馬」、マイケル・ティルソン・トーマス指揮ニューワールド交響楽団とモーツァルトのオペラ「ツァイーデ」、ノース・カロライナ・オペラとカロライナ・バレエによるフィリップ・グラスの”ダンス・オペラ”「恐るべき子供たち」など、意欲的な作品に参加している。ジュリアード音楽院の修士号及び博士号を持つ。

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  • 【ベルナルド】ケリー・マークグラフKelly Markgraf

    プロフィール

    プロフィール

    ボストン大学、シンシナティ大学音楽学院、ジュリアード音楽院の学位を取得。
    これまでにグスターヴォ・ドゥダメル、シャルル・デュトワ、アラン・ギルバート、マイケル・ティルソン・トーマス等の指揮者、また、ニューヨーク・フィルハーモニック、ボストン交響楽団、ロサンジェルス・フィルハーモニックをはじめとする国内有数の交響楽団と共演。
    2017年、サンタフェ・オペラ『The(R)evolution of Steve Jobs』にポール・ジョブス役で出演。また、Laura Kaminskyの『As One』でHannah-Beforeを演じ、BAMでの初演以来、コロラド・オペラでの再演を含め3回にわたり同役で出演。2018-19シーズンは、ジャンカルロ・ゲレロ指揮、ナッシュビル・シンフォニーとのジョン・ハリソン作曲『レクイエム』世界初演CDがリリース予定。

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  • 【アクション】ザカリー・ジェイムズZachary James

  • 【A Girl】アビゲイル・サントス・ヴィラロボスAbigail Santos Villalobos

  • 【ロザリア】竹下みず穂Mizuho Takeshita

  • 【フランシスカ】菊地美奈Mina Kikuchi

  • 【コンスエーロ】田村由貴絵Yukie Tamura

  • 【ディーゼル】平山トオルToru Hirayama

  • 【ベビー・ジョン】岡本泰寛Yasuhiro Okamoto

  • 【A-ラブ】柴山秀明Hideaki Shibayama

【ジェッツ、シャークス】東京オペラシンガーズ
【ガールズ】新国立劇場合唱団

オーチャードホールとバーンスタイン

1990年7月12日、ロンドン交響楽団を率いて来日していたバーンスタインは、既に悪化していた病を押して、オーチャードホールでベートーヴェンの交響曲第7番を指揮。終演後、容態が急変し、そのまま帰国。その年の10月に逝去した。伝説と化したバーンスタイン日本での最期の公演地は、ほかならぬオーチャードホールなのだ。

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当初はブルックナーの交響曲第9番が予定されていたが、バーンスタインの体調が悪く、7月10日サントリーホールと同じ以下のプログラムに変更になった。

・ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」から4つの生みの間奏曲op.33a
・バーンスタイン:「ウエスト・サイド・ストーリー」よりシンフォニック・ダンス
※大植英次が指揮
・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調op.92

バーンスタインは、この年、自分自身が提唱した第1回パシフィックミュージックフェスティバル(PMF)のために札幌を訪れ、これに続いてロンドン交響楽団との日本ツアーが組まれていた。オーチャード以降の公演は、マイケル・ティルソン・トーマスが代わりに指揮をした。