Daiwa House presents 熊川哲也 K-BALLET COMPANY Autumn Tour 2017『クレオパトラ』(新作・世界初演)

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Point見どころ

名だたる古典バレエを自身のプロダクションとして生まれ変わらせてきた熊川哲也が「新境地を拓いた意欲作」と評された『カルメン』の発表から3年――次なる題材に選んだのが『クレオパトラ』だ。
ビゼーの名作オペラを典拠にバレエ化した前作とは異なり、原作も音楽も存在しない全幕作品に着手するのは初めてのこと。熊川は紀元前のエジプトとローマを股に掛けた壮大な史実を紐解きオリジナルのストーリーを構築、全2幕にわたるグランド・バレエに仕立てるという。絶世の美女とされるその名はあまりに有名でありながら、彼女を取り巻く歴史はいまだ多くの謎に包まれている。
過去11作品のプロダクションで実証されてきたストーリーテラーとしての力量をフルに発揮し、今、熊川がその“謎”を独自の視点で解き明かす!

舞台美術デザインには、メトロポリタン歌劇場(MET)やミラノ・スカラ座にも度々招かれるなど世界の一流オペラ劇場でも引っ張りだこ、直近ではMETの『ルサルカ』新制作を成功に導いたダニエル・オストリングを起用。熊川との初コラボレーションとなった『カルメン』ではバレエの舞台における既成概念を打ち破る斬新な空間を生み出した。
事実、熊川も「その空間ありきでクリエーションを進めることで、これまで思いもよらなかった新たな振付の手法が生まれた」と語っている。
時代考証を踏まえながらも、削ぎ落とされた美が観客の想像力を刺激する――
そんなオストリングならではの流儀が、2つの大国をめぐるこの舞台では大いに生きるはずだ。

バレエにとって最も重要であり、作り手の創造力、ひいてはダンサーの表現をも左右する音楽は、デンマークの大作曲家カール・ニールセンの楽曲で構成される。たとえば『海賊』(2007年初演)に代表されるように、これまでも歴史の中で埋もれていた楽曲を発掘・採用し、作品を新鮮に蘇らせるなど音楽面でもバレエ界に一石を投じてきた熊川。本作はその手腕と経験の結晶となるだろう。


熊川作品の振付は緻密で難度が高いとダンサーたちは言う。
マエストロも感服する優れた耳が、一つのフレーズに対して与えるステップを密度の濃いものにし、自らの根底にあるダンサーとしての並外れた技術力がより高度なステップを生むのだ。
そして前作『カルメン』では、時に大胆ともいうべき振り幅で “型” を崩した振付を取り入れ、作品世界と登場人物のキャラクターを際立たせた。
それもまた「新境地」と評された理由の一つである。
だがもちろん、熊川にとってこれはあくまでクラシック・バレエとしての表現の追求にほかならない。
振付作業が進行中の今現在、本作でさらに発展した表現に挑もうとしていることは明白だ。

オリジナル・キャストとしてタイトル・ロールを務めるのは中村祥子
世界を見渡しても稀有といえるその美しい身体、完璧という一語がふさわしいテクニック、存在感……
そうした特質すべてがまさに女王そのもの。彼女の存在が熊川をクレオパトラという題材に着眼させたといっても過言ではない。だが、最高の素材を得てなお熊川は“その先にあるもの”を見据えている。今や名実共に世界の頂に立つこの名バレリーナのさらなる可能性を引き出そうとしているのだ。 “今の中村祥子”を超えるクレオパトラを――。

Storyストーリー

 紀元前1世紀、エジプトの首都アレクサンドリア。絶世の美女と誉れ高いクレオパトラは、父王プトレマイオス12世亡き後、200年以上にわたるこの王朝の慣例に則り、弟のプトレマイオス13世と結婚、共同で王位に就いていた。とはいえプトレマイオスはまだ少年。事実上、実権を握っているのはクレオパトラだ。王としての教育を受けながらも子供気分が抜けないプトレマイオスに、後見人である廷臣たちは自覚を芽生えさせる。そして姉の政治介入を嫌う弟とその一派は、クレオパトラを排除しようとしていた。

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 そんな折、共和制のローマで三頭政治を形成していたカエサルポンペイウスの間に戦争が起こる。カエサルに敗れてエジプトに逃げ込んできたポンペイウスをクレオパトラは介抱する。男たちの心を虜にしてやまない彼女の美しさにポンペイウスもまた魅了される。だが、弟一派はポンペイウスを暗殺。そして自分をも殺害しようとする弟たちからクレオパトラは逃れる。
 王位を奪われたクレオパトラだが、自らの魔性の美貌が男たちの心を捕らえるだけでなく、政治の武器とさえなることを、彼女は誰よりも知っていた。ポンペイウスを追ってアレクサンドリアにやって来たカエサルに、クレオパトラは王位奪還の協力を得るため直訴しようと画策する。弟たちに悟られずカエサルに会うため、クレオパトラはその身を絨毯にくるみ、貢物を献上するという口実で彼の前に姿を現す。聡明で美しく、目的のためには危険も厭わないクレオパトラに、カエサルは瞬く間に心奪われる。クレオパトラは王位を再び手中に収め、カエサルへの反撃に出た弟プトレマイオスは命を落とす。
 カエサルがローマの最高権力者となり、彼との間に子をもうけたクレオパトラは、エジプトのファラオとしてのみならず、我が子がやがてローマを治める野望をも抱き、まさに絶頂期を迎える。だが、幸せは長くは続かなかった。腹心ブルータスらによるカエサルの暗殺、カエサル亡き後のローマで実権を握ることとなったアントニウスとの恋、我こそはカエサルの正統後継者であると主張するオクタヴィアヌスとの決戦……
 そして激動の人生を生き抜いたクレオパトラに、最期の時が訪れる――。

Castキャスト

  • ※東京文化会館のチケットはBunkamuraでのお取扱いはございません。

指揮:井田勝大 管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
S席¥16,000 A席¥12,000 B席¥8,000 C席¥6,000 D席¥4,000(東京文化会館のみ) (税込)

Photographs:Toru Hirakawa/Shunki Ogawa/Jin Kimoto