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2015.07.14 UP

稽古場レポート第1弾到着!

稽古場は燃える

8月10日の初日を控え、ただいま絶賛稽古中の『靑い種子』チーム。もはや当たり前のように本番さながらのセットが稽古場に組まれているのは蜷川組ならではの光景だ。今回の舞台は蜷川にとって初挑戦となるオーチャードホール。勝手が違う面は多々あろうけれど、若き日の寺山修司が手がけたロマンティシズムあふれる音楽劇を、早くも毒々しいほど猥雑なカオスに満ちた蜷川色に染め上げている。のっけからボー然となるオープニングで、一気に異世界へと連れ去られそうだ。
そのど真ん中で1960年代の青年・賢治として歌い演じるのは亀梨和也。傾斜のきつい舞台も何のその、「まずは自由に動いてみて」という蜷川の言葉に機敏に反応しつつ、恋に焦がれながらも社会正義と現実の狭間でもがく青年を熱く体現しようとしている。賢治のソロをはじめ、賢治を一途に想う弓子役の高畑充希とのデュエットや、父親役の六平直政とのデュエット(!)など、心情を歌に託したナンバーも多彩。松任谷正隆によるキャッチーなメロディが、テラヤマ×ニナガワの劇世界にポップなにぎやかさと甘い叙情を加え、新風を吹き込んでいる。やけっぱちでコミカルなスラム街の歌や、凄みと哀しみが入り混じった女たちの歌など、聴きどころも豊富だ。
……と、歌に気を取られていると、すかさず蜷川から「動きに根拠がないよ!」「予定調和で面白くねぇよ」「演技が一般的!」などと容赦ない声が飛ぶ。キレッキレの蜷川節炸裂に、稽古場の温度もぐんぐん上昇(なぜかあちこちで笑いも起きる)。主にその矛先は蜷川作品常連組俳優陣に向けられるのだが、初参加組もベテラン勢も安穏とはしていられない。さぁ、今日もスリリングな稽古が始まる!


(文/市川安紀)