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イギリス×日本×ベルギー国際共同製作 シディ・ラルビ・シェルカウイ振付最新ダンス作品

「テ ヅカ TeZukA」

2012年2月23日[木]―2月26日[日]

Bunkamuraオーチャードホール

トピックス

森山未來インタビュー

いよいよ『テ ヅカ』が日本に上陸!ダンサーとしてはもちろん、俳優としても重要な役割を託されている森山未來さんは、ミステリアスな魅力に富むこの作品の、頼れる水先案内人と言えそうです。

――約3年前の作品の立ち上げ時からかかわってきた『テ ヅカ』を、客観的に観た印象はいかがですか。

おもしろいのは、手塚治虫自身や彼が遺した作品に対する解釈が、日本人のそれとは、ちょっと違うというところですね。立ち上げ当初は、『火の鳥』を舞台化するというような話から出発した記憶があるんですけど、ワークショップを進めていくうちに、手塚治虫という存在自体に焦点が移って、彼自身の人生とともに、手塚の「手」という漢字から絵や文字を描(書)く人間の「手」が出てきて、その「手」が筆を持ってインク(墨)を扱うことによって生じる「動き」が導き出され、それが「マンガ」になってゆき、同時に生物のもっとも小さい単位である「バクテリア」の話とも重なっていく……。もう連想ゲームみたいに、いろいろなことがつながっていくんです。

 

――特にバクテリアの話は、直接手塚治虫とは関係なさそうに見えますが、この作品では重要なキーワード。未來さんの日本語によるかみくだいた説明が、観客の「?」をサポートしそうですね。

「バクテリアはどう会話するか」という話をするんですけど、英語による説明を直訳してもよくわからないので、今回自分がしゃべるにあたって改めてテキストを解釈していったら、すごくおもしろいと思えてきたんです。地球上に暮らす人間は、存在している限りは何らかの形で互いにコミュニケーションを図っている。そのひとつは、たとえば日本人どうしが日本語で会話するというように、同じ種族どうしの言語でしゃべることなわけですが、それとは別に、あらゆるバクテリアが、それぞれの共通言語をもってコミュニケーションしている――という説なんです。そこから始まって、バクテリアは病原となるばかりではなく、うまく使えばウランを抑制する作用まであるとされるけれど、それによって別の弊害が生まれる可能性もある。つまり、僕たちはまだ、こんな単細胞の微生物のことさえ、コントロールすることができないのだ、という現実に行き着く……。
 「手塚治虫」からインスピレーションを得て、いったいどこまで広がってるんだと(笑)。これは手塚という存在の偉大さでもあるし、ラルビ(シェルカウイ)の発想の、柔らかく豊かなところでもありますね。
 日本の題材を扱った海外の作品って、日本人から見ると間違った解釈に見えるものが多いですけど、今回すごいと思うのは、手塚プロの方たちや手塚さんのお子さんたちなど、手塚治虫に近い人ほど、ラルビの発想に手塚治虫を見ている、ということなんです。
 この作品が、手塚治虫に対する限られたイメージを取っ払う、ひとつのきっかけになればいいなと思います。僕もなるべく伝わりやすい日本語で、観客のみなさんに向かうつもりでいます。ぜひ、頭を空っぽにした状態で観に来てください。

取材・文=伊達なつめ