展示概要
19世紀末にフランスで生み出されたイメージが、現代の私たちをつかんで離さない−。まるでいま時のマンガ作家が渾身の想像力で作り出したような怪物たち。しかもこの作家は、非常に精神性の高い、ほとんど瞑想にいざなうような作品群も私たちに送り出しています。色は「あらゆる色の中で一番本質的な」黒。そこには何か極限まで突き詰めたような、その絵でしか説明できないような作者の思いが込められているのです。
《石版画集『エドガー・ポーに』 I 眼は奇妙な気球のように無限に向かう》リトグラフ、紙 1882年 |
しかしそれは私たちに伝えようとするメッセージではありません。それはオディロン・ルドン(1840−1916)という、ある孤独な芸術家が見た夢であり幻想だったのです。ボルドーに生まれた彼はその2日後には里子に出され、親兄弟と別離し、殺風景な荘園が広がる親戚の老夫婦に育てられるなかで次第に心を閉ざしていきます。逆に、現代にも通じる普遍性はここにあるといえるでしょう。
その心の闇は、黒という色彩で彩られることになります。植物学者クラヴォーを通じて知った顕微鏡下の不思議な世界や、彼から導かれたエドガー・アラン・ポーやフロベールなどの怪奇な物語との出会い、そして放浪の版画家ブレスダンを通じて学んだ版画の魅力と想像力の重要性―。そしてその闇はいつしか、多くの異形の者たちが住まう魅力的な王国へと変貌を遂げていったのです。
本展は岐阜県美術館の世界的に有名なルドンの素描と版画のコレクション200点により構成され、美術史上きわめてユニークな「黒の世界」を堪能できる稀有な機会となることでしょう。
会 期 |
2007年7月28日(土)〜8月26日(日) 開催期間中無休 |
開館時間 |
10:00〜19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) |
協力 |
ヤマトロジスティクス株式会社、株式会社キャドセンター、株式会社キューフロント |
お問合せ |
Bunkamuraザ・ミュージアム TEL 03-3477-9413 |
プレスお問合せ |
「ルドンの黒」広報事務局
ピーアールコンビナート株式会社 担当/住田、鎌倉
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7
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