キャパが、沢田教一が、長倉洋海ほかが撮った、子どもたちの約150年!
写真展 地球を生きる子どもたち 2005/2/5(土)〜3/21(月・祝)
主な見どころ

その1) 日本初、子どもの大写真展
子どもをテーマにした写真展はこれまでにも数多くありました。しかし、子どもの写真によって約1世紀半の歴史を地球規模で見渡す展覧会は、日本では初めての試みです。また、子どもというテーマで世界中からこれほど多くの著名な写真家の作品が集まることも、例がありません。
本展には、国内の約60名、海外30数カ国の約70名、あわせて200余名(撮影者不詳約70名を含む)の写真家が60数カ国で撮影した、259点の写真が展示されます。

主な出品作家
【日本】 【海外】
木村伊兵衛(1901-1974 )
影山 光洋(1907-1981 )
土門 拳(1909-1990 )
植田 正治(1913-2000 )
濱谷 浩(1915-1999 )
林 忠彦(1918-1990 )
沢田 教一(1936-1970 )
荒木 経惟(1940- )
広河 隆一(1943- )
長倉 洋海(1952- )
ルイス・キャロル(1832-1898 イギリス)
ルイス・W ・ハイン(1874-1940 アメリカ)
アウグスト・ザンダー(1876-1964 ドイツ)
ウォーカー・エヴァンス(1903-1975 アメリカ)
アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004 フランス)
ロバート・キャパ(1913-1954 ハンガリー)
ユージン・スミス(1918-1978 アメリカ)
ウィリアム・クライン(1928- アメリカ)
セバスチャン・サルガド(1944- ブラジル)
ジェームズ・ナクトウェイ(1948- アメリカ)


その2) 子どもの写真を通して世界の歴史を検証する
2005年は未曾有の惨事であった第二次世界大戦が終結して60年目にあたります。この年に本展を開催することには大きな意義があります。
展示される259点の写真には、第一次・第二次世界大戦、スペイン市民戦争、イスラエル・パレスチナ問題、ベトナム戦争、アフリカ飢餓、チェルノブイリ原発事故、旧ユーゴ紛争、イラク戦争、ロシア学校占拠事件などで、傷つき、命を奪われた子どもの姿が写し出されています。本展は、戦争や社会的混乱を生き抜き、あるいはその犠牲となった子どもたちの現実を直視することにより、世界の平和が実現することを願う展覧会です。


その3) 子どもを写した写真家たちのメッセージとは
本展は、多くの人々に感動を与えてきた有名な写真や、名作の数々を紹介します。
19世紀前半に写真が発明されて以来、子どもたちはその被写体として数多くの写真家を魅了してきました。子どもたちを見つめてきた心温まる優れた写真を通じて、子どもたちの生命力、いとおしさ、ひたむきさを感じとることができます。
また、さまざまな歴史の現場に立ち合い、すぐれたカメラワークによって目撃者となったこれらの写真家の中には、写真史の中で重要な位置を占めている写真家だけではなく、現在活躍中の写真家も数多く含まれています。本展は、世界の多くの写真家の賛同と期待にささえられて実現されます。
写真史を飾る名作
「パリ解放を祝う戦車の上で」ロバート・キャパ 1944 年
「楽園へのあゆみ」W・ユージン・スミス 1946 年
「煙草をくゆらす戦災孤児」林忠彦 1946 年
「パリ、ムフタール通り」アンリ・カルティエ=ブレッソン 1952 年
「近藤勇と鞍馬天狗 『江東のこども』より」土門拳 1953 年
「ガン1 、ニューヨーク 1955 」ウィリアム・クライン 1955 年
「『童暦』より」植田正治 1955‐ 1970 年
「『さっちん』より」荒木経惟 1963 年
「松島の少年」森山大道 1974 年
「裸のまま砂漠に行く少年」セバスチャン・サルガド 1985 年


その4)写真の役割は何か、何ができるか
写真は言葉や音をもたないからこそ、見る人が、みずから想像力を働かせ、1枚の写真の中にある真実を主体的に読み解く力を与えてくれます。
いまや「1枚の写真が国家を動かす」とさえ言われています。本展は、テレビやビデオなど動く映像が主流の多様なメディア時代にあって、映像の原点としての「写真」へ立ち返ります。子どもの一瞬の現実を凝縮し、記録したさまざまな写真を通じて、写真がもつメッセージの力強さと魅力を、再認識したいと思います。

写真が伝える歴史の真実
「製糸工の少女」ルイス・W ・ハイン 1909年
「蜂起の鎮圧中に地下壕で見つかったユダヤ人たち」(撮影者不詳)1943年
「被爆して3 時間後の御幸橋西詰」松重美人 1945年8月6日
「沖縄・米軍のトラックにひき殺された少女」嬉野京子 1965年
「『成人の日』をむかえ盛大な宴『水俣』より」桑原史成、1977年
「国境を越えた子どもたち」三留理男 1980年
「生後10カ月のベトちゃんとドクちゃん」中村梧郎 1981年
「4歳の息子を抱きしめるイラク人捕虜」ジャンマルク・ブジュ(AP ) 2003年


その5)かけがえのない一つ一つの生命の証
20世紀は、子どもたちにとって必ずしも明るい世紀ではありませんでした。先進国の経済的繁栄の一方で、発展途上国では1年間に約1100万人の子どもが5 歳にならないうちに生命を失っています。
21世紀に入ってからも、不幸なことに、子どもたちの生命が犠牲になる出来事が続発しています。地球環境と人類全体が深刻な事態に直面している今だからこそ、子どもたちについて真剣に考えなければ、人類の未来はないと言っても過言ではありません。
本展に展示される作品は、いかなる国家や地域、民族、性に生まれても平等に育まれるべき生命の証でもあります。子どもの写真を通して、人間本来の生命力を感じとってもらうことを願っています。そして同時に、大人がつくりだした社会状況の犠牲となった子どもの姿を直視する強い意志をもつことが、地球に生きる私たちの明日への道しるべとなることでしょう。



ページの先頭に戻る
Copyright (C) TOKYU BUNKAMURA, Inc. All Rights Reserved.