いろいろななにかを手にいれるうちに、いろいろななにかを見失っていたように思う。
大きな公演をやるたびに、ボクは。
演劇を始めた頃、確かに手にしていたなにかが、知らず知らずのうちに手から滑り落ちていたんじゃなかろうか。
それを小さな劇場でとりもどすのは簡単だ。
コクーンという渋谷の大劇場で、東急というバックボーンもふまえつつ、「演劇」を描く演劇で、ボクは失ったなにかを手にとり直したいと思っている。
まばゆいばかりの出演者を前にボクの考えなど、うっとおしいかもしれませんが、今、書け、と言われて、書くことがこれしかないので、すいません。
それじゃあ、劇を始めます。よろしくお願いいたします。
松尾スズキ