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現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展 | Bunkamuraザ・ミュージアム | 2013/4/27(土)-6/16(日)

展覧会の内容

1936年にラ・マンチャ地方の町トメリョソに生まれたアントニオ・ロペスは、13歳のときに叔父の薦めでマドリードに出て、翌年から名門サン・フェルナンド美術アカデミーにて絵画を学びます。初期の作品にはシュルレアリスムの影響も見られます。また一方で、この時期のロペスの作品には自らの「故郷」を想起させるモチーフが数多く描かれます。叔父であり、ロペスが影響を受けた画家であったアントニオ・ロペス・トーレスや、その友人のフランシスコ・カレテロらの肖像は、ロペス自身の故郷を想うモチーフとして取り上げられました。

ロペスは自らの実生活から離れることなく、あくまでも日常の世界にモチーフを求めています。あるときは家族の肖像であったり、あるときは洗面台や冷蔵庫など室内の事物であったり、ありふれたものを淡々と表現しています。画家にとって絵画を制作することは日常であり、そこには何の気負いもなければ衒(てら)いもありません。等身大の画家によって描かれたそれらの作品には、画家自身の生の軌跡が刻み込まれているのです。

ロペスの日常を映像化したドキュメントタッチの映画(1992年制作)。日常の中で淡々と自宅庭のマルメロを描くロペスの制作を追っていますが、映画『ミツバチのささやき』の代表作で知られる監督ビクトル・エリセの視線もまたそれに合わせるかのように自然で奇を衒うことがありません。
「日常とは?」「家族とは?」ロペスの生活を通して、人間の根本的な「生」にまつわる問題を静かに問いかけてくる名作。日本ではこの映画によってアントニオ・ロペスの名を知った人も多いことでしょう。

ロペスは自らが居住するマドリードという都市に魅了され、1960年代初め頃から都市そのものをとらえるようになっていきます。長い年月をかけて繰り返し描かれたそれらの作品は、マドリードに対するロペスの愛情表現でもありました。時に10年を越える年月をかけ、刻々と変化していく都市の変化をもキャンヴァスに刻んでいくことで、描かれた風景は生き物のような存在感と時間性を獲得します。ロペスが「写真とは無縁だ」と言い放ち、単にリアリズムの画家という枠におさめることができない理由が、これらの作品にあるのです。ある時は丘の上から鳥瞰的に都市をとらえ、またある時は《グラン・ビア》のように低い視点からとらえるなど、ロペスは様々な角度からマドリードを描いていきます。

ロペスは若い時から、人体をモチーフとした制作を行っています。主にそれは彫刻作品として制作されました。若い頃からマドリードの美術館で慣れ親しんだ古代ギリシア・ローマの彫刻への憧憬を抱いていたロペスは、絵画同様リアリズムを基礎とした作品を数多く手がけています。特に近年は、幼児の頭をモチーフとして数多く制作し、モニュメンタルな巨大作品も手がけています。